いよいよ始まった夏休み。さあ、今年の自由研究はどうしようと悩んだら、料理をテーマにすることをお勧めします。果たしてその理由とは?そこで今回「陰山メソッド」でおなじみの陰山英男先生に、子どもの料理と勉強の関係についてお話を伺いました。
毎年、子供と親の頭を悩ませるのが夏休みの自由研究。何をテーマにしたら、どんな風に研究したらよいのか、悩むことも多いですよね。そこで、迷っているなら今年は料理をテーマにしてみるのはいかがでしょうか。料理は身近な題材のため、子供も関心を持ちやすく、結果が分かりやすい点も魅力です。また、料理には子供の学力を伸ばす要素が多分に隠されているんだとか。
子どもの学力を驚異的に向上させた「陰山メソッド」でおなじみの陰山英男先生。小学校の教員の経験と知識から、料理と勉強の関係についてお話を伺いました。
■料理は、理科や算数に役立ちます
「料理は理科の実験ととても共通する部分があります。たとえば、料理は材料の量を厳密に測らないと、レシピ通りの味になりません。これは実験も同じ。料理できちんと測る力を身につけておけば、いざ理科の実験をするときにきちんと進められることでしょう。 また、正しい量にこだわって測ることで、数字というものを強く意識します。これは、算数を学ぶうえで大切なことです。 料理に真剣に取り組むことが、のちに理科や算数の学力につながっていくのです」
■小学生は学年別・習熟度に合わせて実験や体験を選んでみよう
「小学生低学年におすすめなのが、ゆで卵の実験です。加熱時間によってどのようにゆで卵が変化するのか目に見えてわかるので、興味をひくのではないでしょうか。 中学年には、包丁の技術取得ができるイカのさばき方などがいいでしょう。もちろん低学年から始めてもいいのですが、包丁の使い方を徐々に学んでいってほしいですね。 高学年は、バターや豆腐、グミなどに挑戦してみては。化学変化によってものの形が変わっていく経過を実体験できるタイプがいいでしょう。」
■中学生は社会的な見地から料理を研究するのも
「中学生くらいになったら、一歩踏み込んで料理を見てみるとおもしろいと思います。たとえば、海外の料理の調味料について調べてみる。または、日本の古代の食事について研究してみる。自分の住んでいるところの郷土料理について調査してみるなど。 料理は文化や環境が影響しています。ほかの料理との違いを比べていくと、やがてそこに暮らす人間までもが見えてきます。 最近、和食が世界遺産に登録されたことが話題となりました。和食は味が薄いことが特徴ですが、なぜそうなのか考察してみると、世界の中で日本はどのような文化なのか知ることができるのではないでしょうか。」
■小さな実験を繰り返すことで身につくことがあります
「いずれにしても、子どもによって興味は千差万別。「COOKPAD自由研究」であげられたような実験を入り口として、どんどん体験させてみてください。その中で、特に子どもの興味をひいたものを、大人は伸ばしていってあげるといいでしょう。 夏休みの自由研究というと、とかく大きなものを1回やっておしまいにしがち。でも、基本的なスキルというのは、繰り返してこそ身につくものです。小さな実験を何回も繰り返しおこなって、観察力・実験力を身につけていってください」(TEXT:クックパッド編集部)
●取材協力
陰山英男さん
立命館大学 教育開発推進機構 教授(立命館小学校校長顧問 兼任)。
兵庫県朝来町立(現朝来市立)山口小学校教師時代から、百ます計算や漢字練習などの反復学習や、規則正しい生活習慣の定着で基礎学力の向上を目指す「隂山メソッド」を確立し、脚光を浴びる。そろばん指導やコンピューターの活用など新旧を問わず積極的に導入する教育法によって子供たちの学力向上を実現している。
おもな著書:「人生にとって意味のある勉強法」(PHP研究所)、「親が伸びれば子は伸びる」(朝日新聞出版)など多数
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