「生活考察」という、その愚直なネーミングからもお察しいただけるように、本誌は、〈生活〉について考えることをテーマにしています。よって、〝ある種の〞ライフスタイル・マガジンではあります。
しかしながら、いわゆる定石の「理想の生活」「ワンランク上の生活」及び「理想の生活を実現するためのアイテム」等にとりわけ重きを置きません(中略)かつ雑誌をあげて提案する「スタイル」もとくに持ち合わせておりません。むしろハナから「スタイルの提案」を放棄し、積極的に多様なスタイルにまみれてみること――そこから生活を考察していきたいと考えております。
(中略)
ともすれば、あっさりと取りこぼしてしまう、ささやかな生活の断片。そして、そこから導き出される、「考えようによっては得るところがある」かもしれぬ〈何か〉――そんな中にこそ、現代を〝楽しく〞サヴァイヴするための術・発想・考え方が潜んでいるように思えるのです。つまり、生活が孕む/生活から立ち上がる〈想像力〉を、衣・食・住と同等に重要な要素として捉え直すこと、そして、その想像力をもって私たちの生活を照射してみること、それがこの雑誌において試みようとしていることかもしれません。(後略)
はじめまして。
この度、こちらでブログを始めることになりました辻本力と申します。
私は、『生活考察』というインディペンデント・マガジンを作っています。
唐突な始まり方に「?」となった方もいらっしゃったかもしれませんが、先の文章は、その創刊号の巻頭言から引用しました。
『生活考察』Vol.01(2010年)
普段、「生活してますか?」などと問われることは、まずないかと思いますが、もしそんな質問を投げかけられて、「いや、してません」と答える人も、また同様にいないと思います。
なぜなら、「生」きて「活」動している限り、誰にも〈生活〉はあるからです。
しかし、誰にでもあるのに一様ではなく、それこそ千差万別なのが〈生活〉というものです。
そして、それが傍から見てひどく奇妙な、信じがたいものであっても、それを送る当人にとっては、「普通の生活」だったりする。
当たり前すぎる話ですが、これが、私にはとても面白いことに思えるのです。
とはいえ、生活していくことは楽ではありません。
面白い/面白くない、などと言っていられない時もあります。
「いろいろ、きっついな・・・・・・」そんなふうに思うことも少なくありません。
でも、悲観的になる必要はありません。
なぜなら私たちは、生活にかまけ、とらわれながらも、それを楽しみ、なんなら時に逃避したり、あるいは飛躍したりする〈想像力〉を有す生き物だからです。
それに、生きていかねばならない以上、なんとか生きていくしかないわけで、だったらせめて「生活、面白いですよ」と言いたいし、思いたいじゃないですか。
そのために考えうることは、まだまだ残されていると思うのです。
と、そんなようなことを考えながら、私は雑誌を作っています。
まずはご挨拶まで。
どうぞよろしくお願いします。