■パフェで1万年分の地層と歴史を再現
10月9日は、何の日かご存知だろうか?
そう、土偶の日である。縄文文化や土偶をモチーフに作品を制作している作家や考古学関係者らが共に手を取り、2013年から10月9日を「土偶の日」として提唱してきた。今年はネットで支援を募るクラウドファンディングを実施。9月には、初めて日本記念日協会から正式に「土偶の日」が記念日として認定された。
しかし、土偶と聞いて何を想像するだろう?
縄文時代につくられた人形? じゃあ、なんのために? どうやって使っていた? なぜ土に埋まっているの?
土偶のデザインは見ていて楽しいのだが、彼らのことをもっと知ろうとした時、考古学の知識が役に立つ。そこで、考古学のことをもっと知ってもらおうと、土器をクッキーで再現するなど、お菓子作りを通じて普及活動をしているのが、ハフィントンポスト日本版のブロガーでもある、お菓子考古学者・ヤミラさんだ。
「土偶の日」のイベントとして、ヤミラさんが9月に東京都中野区の古民家で開いたワークショップに参加してみた。その名も、「いちまんねんパフェ」。縄文時代から現代まで、実に1万年分もの地層を、パフェで再現してしまうという。
遺跡がどうやってできるのか、説明するヤミラさん。
考古学の基本的な研究方法のひとつに、層位学がある。地層の新旧などから、その地層に含まれる遺物や遺構の年代を知るというものだ。自分の立っている場所の下はどうなっているのか、想像したことがあるだろうか?
まず舗装を剥ぎ、盛られ、整形された土が出てる。掘り進めば、江戸時代に使われていたお茶碗の欠片が見つかるかもしれない。さらに掘ると、大昔の洪水の跡、地震の跡、もっとどんどん掘ると、弥生時代や縄文時代の建物の跡が出てくるかもしれない。行き着く果ては、関東ローム層だ。私たちは、普段は意識していないかもしれないが、突き詰めていけば、この関東ローム層の上に暮らしている、ということになる。
■フルーチェに竹炭混ぜて泥炭層!
では、さっそくそれをパフェで再現してみよう。画像は参加者の方のツイートより。
まず材料は、土偶、土器、動物の骨......といっても、もちろん食べられるものばかりだ。
それから、「地層」も。ココアやクッキーの破砕片一口に「地層」といっても、時代やその時の環境によって千差万別。どういった地層から遺物が出てくるかによって、考古学では時代や当時の様子などを知ることができる。
カップの一番下、つまり最も古い地層には、「関東ロームース」。あとは、縄文人が暮らしたように、土偶(クッキー)を埋めたり、動物(クッキー)を食べて捨てたり、家(アポロチョコ)を建てたり。その途中では洪水が起きて、遺跡が泥炭層(竹炭を混ぜたフルーチェ)に埋まったり、自然にキノコ(きのこの山)が生えたりと、歴史を積み重ねていく。
■食べる時は、考古学者になりきって!
こうして一万年の歴史を再現した「いちまんねんパフェ」が完成。
食べる時は、考古学者になりきって、発掘するかのように、丁寧に掘りながら、歴史に思いを馳せながら味わうのがポイントだ。
考古学といえば、珍しいものが発見されたというニュースのイメージが強いかもしれないが、実は当時の人たちの生活や文化をいかに再現するか、さまざまな研究がされている。発掘もその研究方法のひとつだし、ヤミラさんのように考古学に少しでも興味を持ってもらうおうと、普及に努めるのも大事なことだ。
家でもちょっと工夫すれば、一万年の歴史が再現できる「いちまんねんパフェ」。ぜひ、「土偶の日」のおやつにチャレンジしていただきたい。
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