フランスのパリ検察当局は、フォルクスワーゲン(VW)の排出ガス検査不正問題に関する捜査の一貫として、VW現地法人本社へ家宅捜索に入った。検察当局が18日に発表したところによると、今月16日、フランス環境保健局がパリから北へ84kmの所にあるヴィレル・コトレ市のVWフランス本社で捜査を行い、パソコンや資料を押収したという。VWフランスの広報を務めるレスリー・ペルチャー氏は捜査があったことを認め、VWは捜査に全面的に協力していると語った。
スペインでは、VWによる排ガス不正問題への関与を巡り、詐欺と環境侵害の疑いがあるとして、スペイン検察当局がVWの捜査を最高裁判所へ請求。この違法行為はスペイン国内の人々に影響を及ぼした可能性があるとして、今月19日、イスマエル・モレノ裁判官に書面を送ったという。また、問題となっているディーゼル車が国の補助金の対象となっていることを考えると、国家に対する詐欺の可能性にあたると述べている。検察はスペインの反腐敗を訴える団体、「Manos Limpias(英語で"Clean Hands"、潔白の意)」と被害者団体による告訴により動いていた。
VWグループに属するスペインの子会社、セアトによれば、排出ガス不正ソフトウェアが使われていたEA189型ディーゼル・エンジンは、これまで約70万台の車両に搭載されたという。VWでは、全世界で販売された約1,100万台の車が該当すると発表している。なお、VWは今回の排出ガス不正問題から会社を立ち直らせるために、また恐らくは、ドイツ自動車業界全体を立ち直らせるために、来年1月よりダイムラーからクリスティーン・ホーマン・デンハート氏を倫理法務担当取締役に迎えると発表した。
世界各国の政府が新しい排出ガス検査の導入に取り組む中、今後作られるディーゼル車の価格は消費者が許容できる以上に値上がりする可能性が指摘されている。
翻訳:日本映像翻訳アカデミー
(2015年10月24日「autoblog日本版」より転載)
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