当然のことだが、電気自動車(EV)は加速に優れている。エネルギー効率がよく、常に最大トルクで発進できるからだ。しかし公道用のEVでは、これほどの加速を目にしたことはないだろう。先日、スイスの学生たちが製作した実験的な電動レースカー「Grimsel(グリムゼル)」が、EVにおける0-100km/h加速の世界記録を更新したのだ。そのタイムはわずか1.513秒。それまでの世界記録である1.779秒を0.2秒以上も短縮した。ちなみに、最高出力1,500psを誇るブガッティ「シロン」でも、0-100km/hは2.5秒ほどかかる。
グリムゼルは、他のどんな高性能車もそうであるように、最高のパワーユニットを軽量な車体に搭載することでこの偉業を達成した。4輪に装備されたインホイール・モーターの出力は200hpに過ぎないが、トルクはなんと173kgmにもなるという。しかも、カーボンファイバー製の車体は重量が168㎏ほどしかないので、非常に楽々と加速する。車輪ごとのトラクション・コントロールも、パワーを路面に効率的に伝達するために役立っている。
このクルマが将来、レースに出場することになるかどうかは分からない。だが、これが電気自動車によるモータースポーツの未来を明るく照らしたことは間違いないだろう。フォーミュラEのレースカーは確かに速いが、そこにまだまだ改善の余地があることをグリムゼルは示してくれたのだ。
注:この記事は米国版『Engadget』に掲載されたJon Fingas記者による記事を転載したもの。
By Engadget
翻訳:日本映像翻訳アカデミー
(2016年6月25日「【ビデオ】スイスの学生たちが作り上げた電気自動車が、0-100km/h加速の世界記録を更新!」より転載)
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