張成沢氏罪状 穴あくほど読んでみた-朝鮮中央通信「張成沢」死刑執行 報道全文(翻訳)ー

朝鮮中央通信から出された判決報道文を巡って様々な解釈が街角やら酒席を飛び交っているようだ。日本人もこの報道文をじっくりと読んでどうも雲行きの怪しい東アジアの明日を占うべきだと思い日本語に翻訳してみた。

産経新聞の編集日誌に張成沢氏の「罪状」を「穴のあくほど」読んで、我が日本といわば「腐れ縁」を続けて行くしかない「北朝鮮」の今後を占うことの重要性が指摘されていた(参照)が、私も同じ思いである。眼光紙背に徹することで北朝鮮の内部で何がどう変化しているかを垣間見ることもできるかもしれない。

私が留学生時代から現在大学に勤務するようになるまで約25年間住み続けて来た韓国「大邱広域市」は言ってみれば保守派の牙城で、今回の張成沢処刑の報に接して「ボアラ、イゲパロ パルゲンイドウリ ハヌンジシヤ」(ほら見ろ、これがアカどものやることだよ)という溜飲を下げるが如き反応が多いが、連行時の彼の悲惨な姿が写真入りで細かく報道され、流石のパルゲンイ(アカ)嫌いの自由主義者を自認する人々の心胆を寒からしめるところもあったらしく、朝鮮中央通信から出された判決報道文を巡って様々な解釈が街角やら酒席を飛び交っているようだ。

そういう声の一つを紹介しよう。従北派のやつらは北韓(北朝鮮)がまともな国であるように言うが、結局やつらは我々よりも50年遅れているのだ。選挙ごとに国を挙げてお祭り騒ぎを繰り広げる民主制国家とは異なり統治権力の継承が制度化されていないことが結局どういう結果を招来するのかをこの報道文はよく語っているし、この決定の背後にいる軍部はひょっとして60年代に決起した韓国国軍の青年将校たちのようなものかもしれない。結局、合理性をもった近代組織は軍隊に始まるというセオリーが北韓にも適用できるのかもしれない。 朴正煕(大邱の英雄)の如き清潔な軍人がリーダーになって真の近代化を進めてくれれば良いのだが・・・。

私も同じように感じた。確かにこの文章からは例の農村出身の純粋に国造りに燃えた「青年将校」の檄文の匂いがある。北には「正統」のない韓国とは異なり「白頭山の血統」という「天皇」みたいなものも存在するのだからむしろ韓国の轍を踏まずに容易に開発独裁のような形で近代独立国の体裁を作っていける可能性もあるだろう。もちろん「核」もあるし・・・。そうなればたぶん呑み込まれるのは韓国だということになるのか?

ともかく、日本人もこの報道文をじっくりと読んでどうも雲行きの怪しい東アジアの明日を占うべきだと思い日本語に翻訳してみた。

朝鮮中央通信「張成沢」死刑執行報道全文(翻訳)

朝鮮中央通信は12月13日北朝鮮がその前日に国家安全保衛部特別軍事裁判を開き張成沢前国防委員会副委員長に対して 「国家転覆陰謀行為」容疑により死刑を判決し直ちに執行したことを報道した。

これは朝鮮中央通信の報道全文である。

- 千万軍民の込み上げる憤怒の爆発。 万古逆賊を断固として処断 -

『天下の万古逆賊、張成沢に対する朝鮮民主主義人民共和国国家安全保衛部特別軍事裁判進行』

朝鮮労動党中央委員会政治局拡大会議に関する報道に接し、反党反革命宗派(党派)分子たちに革命の峻厳な審判を下さなければならないという我々軍隊と人民の怒りの叫びが全国を震撼させている中、天下の万古逆賊張成沢に対する朝鮮民主主義人民共和国国家安全保衛部特別軍事裁判が12月12日にに執り行われた。

特別軍事裁判は現代版宗派の頭目として長期間にかけて不純勢力を糾合して分派を形成し我が党と国家の最高権力を簒奪する野望の下に、あらゆる謀略と卑劣な手法で国家転覆陰謀の極悪犯罪を敢行した被訴者張成沢の罪行に対する審理を進めた。

特別軍事裁判に起訴された張成沢の一切の犯行は審理過程の中で100%立証され、また被訴者もそれを全面的に是認した。公判では朝鮮民主主義人民共和国国家安全保衛部特別軍事裁判所判決文が朗読された。

判決文の一句一句は反党反革命宗派分子で凶悪な政治的野心家, 陰謀家である張成沢の頭に振り下ろされた憎悪と憤激に満ちた我ら軍隊と人民の峻厳な鉄槌の如きものであった。

被訴者張成沢は我が党と国家の指導部と社会主義制度を転覆する目的の下に反党反革命的宗派行為を敢行して祖国に反逆した天下の万古逆賊である。 張成沢は早くから偉大なる首領金日成同志と偉大なる領導者金正日同志の厚い政治的信任を得て党と国家の責任的な職位に登用されて偉大なる大元帥御両方(金日成・金正日)の恩徳を他の誰よりも多く授かった。そして、張成沢は特に敬愛する金正恩同志より以前よりさらに高い職務と大きい信頼を授かった。

張成沢が白頭山絶世の偉人の方々より授かった政治的信頼と恩恵はあまりにもその分を越えたものだった。信頼には義理で報い恩恵には忠誠をもって応えることが人の初歩的な道理だ。しかし犬にも劣る醜い人間のゴミ張成沢は党と首領から授かった天空の如き信頼と熱い家族的愛情を裏切り天人共怒する反逆行為を敢行した。

奴はずいぶん前から汚らわしい政治的野心を抱いていたが偉大なる首領様と将軍様の御健勝時はその御前で敢えてその頭を上げることもできず、その御顔色をうかがいつつ、同床異夢、陽奉陰違(面従腹背)を事とし、革命の代が変わる歴史的転換の時に至りついにその時が来たと悟りその本性を現わし始めたのである。

張成沢は全党、全軍、全人民の一致した念願と意志によって敬愛する金正恩同志を偉大なる将軍様の唯一の後継者として高く推し戴くことに対する重大問題が討議される時期に背後で悪だくみをめぐらしながら領導の継承問題を陰に陽に妨害する未来永劫に許し得ぬ大逆罪を犯した。

奴は自身の巧みな策動が通じず歴史的な朝鮮労動党第3次代表者会議で全体党員たちと人民軍将兵、人民の総意によって敬愛する金正恩同志を朝鮮労動党中央軍事委員会副委員長に高く推し戴くという決定が宣布され全場内が熱狂的な歓呼の渦になった時もやむを得ず席を立ち上がりおざなりの拍手をしながら傲慢不遜な態度を見せたことで我々軍隊と人民の込み上げる怒りを買った。

奴があの時無意識的にそのように行動したことは、敬愛する金正恩同志の軍令基礎と領軍体系が固まったあかつきには、それが今後奴が党と国家の権力を奪取した時の巨大な障碍になると考えたからだと自ら認めた。

張成沢はその後偉大なる将軍様があまりに急に、あまりに早く、そしてあまりに名残惜しく、我々のもとを立ち去ってしまわれるや否や、以前より抱いていた政権簒奪の野心を実現するために本格的に策動を始めたのである。

張成沢は敬愛する元帥様のお側に仕えて現地指導にしばしば随行するようになったことを悪用し、元帥様の常なるお側役であることをいいことにして自身が革命の首脳部と肩を並べる特別な存在という事を内外に見せびらかせ、奴自身に対する(間違った)幻想をでっち上げようと謀った。

張成沢は、自身が党と国家指導部を覆すのに使う反動主義者たちを糾合するために、偉大なる将軍様のお言葉に逆らって、奴に媚び諂いおべんちゃらを並べ立てていたことにより厳重処分を受け免職・解任された者どもをはじめとする不純異色分子どもを、巧妙な方法で党中央委員会部署と傘下諸機関に戻し入れた。

張成沢は青年工作部門を主管しつつも敵方に買収された変節漢や裏切り者どもとグルになり我が国の青年運動に重大な害毒を及ぼしたのみにあらず、その者どもが党の断固たる措置によって摘発粛清された以後にもその手先どもをずっと温存し党と国家の重要役職に無理やりネジ込んだ。

奴は1980年代から李龍河のゴマすり野郎を、奴が他の役職に配置替えされる度に一緒に引き連れ党の唯一領導を拒否する宗派的行動をして追い出されたその者を系統的に党中央委員会第1副部長の地位にまで引き上げて奴の腹心走狗に仕立て上げた。

張成沢は党の唯一領導を拒否する重大事件を発生させて追い出された側近たちとゴマすりどもを巧みな方法で数年のうちにに奴がいる部署と傘下諸部門に吸収し、前科者、経歴に問題がある者、不平不満を持つ者どもを系統的に自分の周りに糾合しその上に神聖不可侵の存在として君臨したのである。

奴は部署と傘下部門の機構を大々的に拡大しながら国の全般的事業を掌握し、省や中央諸機関に深く網を張り巡らせるべく策動し、奴がいた部署を誰一人としても侵すことができぬ 《小王国》に仕立て上げたのである。

奴は不届きにも大同江タイル工場に偉大なる大元帥御両方(金日成・金正日)のモザイク壁画と現地指導史跡碑を建立する事業を邪魔したのみならず敬愛する元帥様(金正恩)が朝鮮人民内務軍の軍部隊に送ってくださった親筆書簡を天然花崗岩に刻んで部隊指揮部庁舍前に鄭重にお飾りしようという将兵たちの一致した意見を黙殺したあげくに、しぶしぶと陰になった片隅に建立するように無理強いするという妄動に出た。

張成沢がこれまでに我が党の組織的意思である党の路線と政策に系統的に逆う反党的行為を敢行したことは奴を、党で結論を出した問題も党の方針も覆すことができる特殊な存在である如くに見せ、奴に対する極度の幻想と偶像化を助長させようとする故意的で不純な企図の発露であった。

張成沢は奴に対する幻想をでっち上げるために党と首領に対する我々軍隊と人民の清き忠情と熱き至誠が込められている物資までも中途で横領し、腹心走狗たちにそれを分け与えつつ奴自身の顔を立てるという無謀を働いたのである。

張成沢が奴に対する幻想と偶像化を助長させようと執拗に策動した結果、奴がいた部署と傘下機関のゴマすり分子,お追従分子たちは張成沢を 「一号同志」と煽てあげながら、奴に褒められようとよりによって党の指示にも逆うまでに至った。

張成沢は部署と対象機関に対し、党の方針よりも奴の言葉をより重んじ聞き入れる異質的な事業系統を打ち立て、腹心走狗とお追従ものどもが朝鮮人民軍最高司令官命令に服さないという反革命的な行為までもためらいもなく敢行できるようにした。

最高司令官の命令に服さないような者どもはそれが誰であろうと革命の銃卒隊は絶対に許さないだろうしそんな奴らは死んだとしてもこの地に埋める場所はない。

張成沢は党と国家の最高権力を簒奪するための第一歩として内閣総理の地位に就くという愚かしくもバカバカしい夢を追いつつ、奴がいた部署が国の重要経済諸部門をすべて掌握し内閣を無力化させることで国家の経済と人民生活を収拾のつかない破局へ追いたてようと画策した。

奴は偉大なる将軍様が最高人民会議第10期第1次会議にて打ち立てた新しい国家機構系統を無視して内閣所属検閲監督諸機関を奴の配下に所属させ、委員会、省、中央機関と道、市、郡級機関を設立したり解消したりする問題,貿易及び外貨獲得部門と在外機構を組織する問題,生活費適用問題をはじめとした内閣に任された一切の機構事業とそれに関連するあらゆる問題を掌握し、奴の思いのままに牛耳ることで内閣の経済司令部としての機能と役割をまともに果たせないように麻痺させた。

奴は国家建設監督機構に関連した問題について内閣や当該の省との合意もなしに党へ虚偽報告を提出しようと試みたがが当該の幹部たちが偉大なる大元帥御両方によって定められた建設法に反するという正当な意見を提議するや「それでは建設法を修正すればいいではないか」という妄言を吐いた。

張成沢は職権を濫用し偉大なる大元帥御両方が打ち立てた首都建設に関連する事業系統を混乱させ数年のうちに建設建材諸基地をほとんど廃虚の如くに変え、狡猾な手法で首都建設部門技術者,技能工の隊伍を弱め、重要建設諸部門を腹心たちに引き渡し金儲けができるようにすることで平壌市建設を故意的に邪魔した。

張成沢は石炭をはじめとする貴重な地下資源をむやみやたらと売りとばさせ、それで腹心たちがブローカーどもにだまされて大変な借金を負うはめとなり、本年の5月にはその借金を返すためだと羅先経済貿易地帯の土地を50年期限で外国に売り渡す売国行為もためらわなかった。

2009年万古逆賊朴南基の奴をけしかけて数千億ウォンに上る紙幣を濫発しおびただしい経済的混乱を招来させ民心を惑わすべく背後操作した張本人もまさにこの張成沢だ。

張成沢は政治的野望実現に必要な資金を確保するためにいろいろな名目をつけて金儲けを奨励し不正腐敗行為に明け暮れ、我らの社会に安逸弛緩し無規律的な毒素をまき散らすことを率先した。 

 

1980年代光復建設時から貴金属をかき集めて来た張成沢は手元に秘密機関を作り置き国家の法は眼中になきが如しに銀行から巨額の資金を引き出して貴金属を買い込むことで国家の財政管理系統に巨大な混乱を招く反国家犯罪行為を敢えて犯した。

張成沢は2009年からあらゆる淫乱で汚らわしい写真図画の数々を腹心走狗たちに流布させて資本主義の退嬰文化が我が国の内部に侵入するよう音頭を取り、あちらこちらで金をむやみやたらにばらまきながら浮華放蕩の生活を欲しいままにした。

張成沢が2009年の一年間だけでも奴の秘密金庫から460余万ユーロを引き出し使い尽くしたことと海外のカジノ通いまでした事実のみを見ても奴がどれほど堕落し変質したのかが知れる。

張成沢は政権掌握の野心に狂い分別を失い暴れ狂ったあまり、軍隊を動員すれば政変を成功させることができると愚かにも計算しつつ人民軍隊にまでその魔手を伸ばそうと執拗に策動した。

張成沢の奴は審理過程において 「私は軍隊と人民が現在の国の経済実態と人民生活が破局に落ちこんでゆくにもかかわらず現政権がいかなる対策も立てることができないという不満を抱くように仕向けようと試みた」としながら政変の対象がまさに「最高領導者同志である」と万古逆賊の醜悪な本心をあからさまに暴露した。

奴は政変の手段と方法に対して「人脈関係にある軍幹部や側近たちを動員して手中に握り置く武力にしようと思った。最近任命された軍幹部たちはよく知らなくとも以前の時期に任命された軍幹部たちとは面識がある。そしてこれから人民と軍人の生活がさらに悪化すれば軍隊も政変に同調する可能性があるのではないかと考えた。そして私がいた部署の李龍河、張秀吉をはじめとした腹心たちはいくらでも私に付くと思ったし人民保安機関を担当した人物も政変に参与する私の側近として利用して見ようと思った。この以外に何人かも利用できると思った」とためらいもなくほざいたのである。

張成沢の奴は政変を起こす時点、そして政変以後にはどうするつもりだったのかという質問に対して「政変時期はこれといった考えがあったわけではない。しかし一定の時期を見て経済が完全に挫折し国家が崩壊直前に至れば私がいた部署とすべての経済諸機関を内閣に集中させて私が総理の座に着こうと思った。私が総理になった後には今までさまざま名目で確保した莫大な資金で幾らかの生活問題を解決してやれば人民と軍隊は私の万歳を叫ぶはずで政変は順調に事を運べると計算した」と白状した。

張成沢は卑劣な方法で権力を奪取した後、外部世界に「改革者」と見なされた奴の醜悪な面の皮を利用し短い期間に「新政権」が外国の「認定」を受けることができると愚かにも妄想したのだった。

すべての事実は張成沢が、米国と傀儡逆賊集団(韓国のこと)の「戦略的忍耐」政策と「待つ」政策に便乗して我が共和国を内部から瓦解崩壊させ党と国家の最高権力を掌握しようと相当以前から最も狡猾で腹黒い手段と方法を総動員しながら悪辣に策動して来た天下に二人といない万古逆賊、売国奴であるということをはっきりと示している。

張成沢の反党的、反国家的、反人民的な罪悪は共和国国家安全保衛部特別軍事裁判所審理過程にその憎々しくも醜悪なる全貌が一つ一つ明かされたのである。

時代と歴史は党と革命の仇、人民の仇であり極悪の祖国反逆者である張成沢の歯が鳴るが如き罪状を永遠に記録し絶対に忘れないだろう。 歳月が流れ世代が十代百代交替しようと改変も交換もできないものが白頭山の血統である。

我が党と国家、軍隊と人民はただひたすらに金日成、金正日、金正恩同志の其他に絶えて人を知らず。

この天下で敢えて金正恩同志の唯一領導を拒否して元帥様の絶対的権威に挑戦して白頭山の血統と一個人を対峙させる者どもを我ら軍隊と人民は絶対に許さず、その者が誰であろうとも、いずこに隠れようとも悉く掃き出して歴史の峻厳な審判台の上に立たせ党と革命、祖国と人民の名において情け容赦なく懲罰するだろう。

朝鮮民主主義人民共和国国家安全保衛部特別軍事裁判所は被訴者張成沢が敵方と思想的に同調し我が共和国の人民主権を覆す目的で敢行した国家転覆陰謀行為が共和国刑法第60条に該当する犯罪を構成することを確証し凶悪な政治的野心家、陰謀家である万古逆賊の張成沢を革命の名において、人民の名において峻烈に断罪糾弾しつつ共和国刑法第60条によって死刑に処することを決した。

判決は即時執行された。

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