北欧音楽を語る上で外せない!環境に優しいノルウェーの音楽祭オイヤ

8月5~9日、ノルウェーの首都オスロで「世界で最もエコな音楽祭」のひとつといわれる「オイヤ・フェスティバル」(Øyafestivalen)が開催された。ノルウェー国内ではアーティストとファンが交流できる最大規模の音楽祭としても知られており、1999年に開催以降、来場者の数は年々増加し、主催者側によると2014年度は6万4千枚のチケットが完売した(※)。1年前から販売されるチケットは毎年完売する人気ぶりで、観客の85%はオスロの地元民、平均年齢層は18~29歳で、52%が女性、48%を男性が占める。

8月5~9日、ノルウェーの首都オスロで「世界で最もエコな音楽祭」のひとつといわれる「オイヤ・フェスティバル」(Øyafestivalen)が開催された。ノルウェー国内ではアーティストとファンが交流できる最大規模の音楽祭としても知られており、1999年に開催以降、来場者の数は年々増加し、主催者側によると2014年度は6万4千枚のチケットが完売した(※)。1年前から販売されるチケットは毎年完売する人気ぶりで、観客の85%はオスロの地元民、平均年齢層は18~29歳で、52%が女性、48%を男性が占める。チケットは曜日ごとに購入が可能の1日券となっているため、会場内でさまざまなコンサートを行き来しながら1日中楽しむ人が多い。

※ 本会場での売り上げのみ、オイヤ夜間開催のクラブなどへの入場者数は含まない。

北欧出身の人気アーティストが勢ぞろい

オイヤには国内外からの人気あるアーティストが数々参加し、今年は10カ国の国籍のアーティストたちによって本会場では85ものコンサートが行われた(加えて夜間開催の市内のクラブなどでのコンサートは150を超える)。北欧を中心に、アメリカ、イギリスなど、国際色豊かな顔ぶれがポップ、ロック、エレクトロニカなどの幅広いジャンルの音楽を披露。ノルウェーとスウェーデン出身者による北欧大御所ユニット「ロイクソップ&ロビン」や、北欧のブラックメタル史を語る際には伝説となっている「メイヘム」も参加し、ファンを熱狂させた。

オイヤでは大規模なトイエン公園を貸し切り、5カ所のコンサート会場のほかに、ショップや飲食店などの施設が設けられた。本会場でのイベント終了後も、各地のクラブやバーでは夜通しコンサートが催され、毎年この時期のオスロはにぎやかな音楽の街へと姿を変える。

学生が手作業でゴミを15種類に分別

オイヤはただの音楽祭ではなく、「環境にやさしいエコな音楽祭」としても注目されている。ノルウェーにある「自然と青少年」団体からは170人の若者ボランティアが、会場のゴミの分別活動に取り組んだ。一般家庭でのゴミ分別は3種類だが、音楽祭では約200のゴミ箱が設置され、来場者は4種類に分別する。その後、「環境の駅」と名づけられた舞台裏で、16~25歳の若者たちがさらに手作業で15種類に仕分けるのだ。

ボランティアの多くは中学生・高校生。決して楽な作業とはいえないが、ヨハネス・グリートネス(20)さんは「ボランティアだと入場チケットも無料でもらえるし、楽しいよ」と語る。

人間掃除機のようにゴミ拾いをする若者たち

会場各地ではゴミ袋を手にした若者が、まるで人間掃除機のように、あっという間に芝生の上のゴミを拾い集める。加えて、親と一緒の小学生も参加し、来場者が飲み終えた空のコップやボトルを集め、「パント」と呼ばれるリサイクルコーナーに持ち寄り、現金に換金する光景は、この音楽祭ではお馴染みのものとなっている。リサイクル活動が、子どもにとっては夏休みの楽しいお小遣い稼ぎの機会となっているのだ。

健康的な音楽祭、93%がオーガニックフード!

オイヤがノルウェー人に支持される理由のひとつが、会場の飲食の93%がオーガニックということだ。ハンバーガー、コーヒー、お茶、アイスクリーム、ピザ、フィッシュ&チップス、タパスなど、有名なオーガニックやエコ、ベジタリアンにこだわる飲食店がずらりと並ぶ。出店を許可されているのは、地産地消の食材にこだわり、徹底的に健康・環境志向の高いブランドだけ。

画家ムンクもベジタリアン! 家庭菜園をしよう

オスロといえば有名な「叫び」を描いた亡き画家エドヴァルド・ムンクで知られるが、飲食店が集まるエリアは、自らもベジタリアンで家庭菜園を好んだとされるムンクにちなんで、「ムンクのエリア」と名づけられた。オイヤの主催者たちも家庭菜園を実行し、会場にはスタッフが栽培した小さな野菜の畑があちらこちらに設置されていた。

オイヤの緑プロジェクトに携わるスタッフのイングリ・クレイヴァ・ムッレルさん(28)の隣には、自ら毎日水をあげて育てたというトマトが育っていた。

今年の緑のテーマは「自転車」、自転車で音楽祭に来て!

オイヤが「エコ」や「緑」にこだわり始めたのは環境思考が高まり始めた2002年。毎年エコにこだわったテーマがあり、昨年は「オーガニックフード」、今年は「自転車」。来場者の多くが会場付近に住む住民ということから、環境に優しい自転車での来場を促す。今年はオスロ市の協力のもと、約500台の自転車が自由に無料で使用できる駐車場を入り口前に設け、会場内では自転車で持久力を試す景品付きのコンテストも開催された。

電力は水力発電、送迎は電気自動車、スポンサーの無料サンプルはお断り

ノルウェーの通常のイベント行事では電気供給方法としてディーゼル発電が一般的だが、オイヤでは環境面を考慮して2008年を境にこれを全面廃止。現在は一般家庭でも供給されている再生可能エネルギー電気(水力発電)を採用(よって80%の節電に成功)。会場照明はLED電球、アーティストの送迎は電気自動車で、会場で無駄なゴミが出ないようにするために、各スポンサーには無料サンプルの提供や広告の配布をしないように協力を要請するなど、さまざまな取り組みを行っている。

毎年チケットが完売する緑の音楽祭、来年は...!?

オイヤの2015年のチケットはすでに販売が開始されており、来年はどのアーティストが出演するのか注目が集まっている。北欧ノルウェーの音楽市場を語る際に外すことのできないオイヤ・フェスティバル、来年はどのようなグリーンな取り組みがされるのか、今から楽しみである。

Photo&Text: Asaki Abumi

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