9月7日 木曜日 天気:曇り時々雨 肌:クーラーのあたりすぎで乾燥
今日は友達と久しぶりに会う約束をした。
仕事を終えて、雨の中早歩きで駅に向かう。
彼女は、元敏腕編集者で男性社会の出版業界で当時社内一番の業績を残していた。
働きすぎが祟って今は仕事をしていないのだが、彼女の仕事に対する情熱は今も消えていない。
肌も綺麗で、完璧な眉を描く彼女に「ビジネスにおける化粧」について聞いてみた。
「私は、会う人によって化粧を変えていたよ」
え!!
「眉で人の印象って変わるから、相手に合わせた眉を描いていた時もあったの」
「男性ばかりの会議の時は、少し強めの眉にした。相手が女性の時は、ふんわりしたアイシャドウに柔らかい眉を描いた。もちろん相手の女性がどういう雰囲気を好むのかを想像しながら、人によって変えたの」
何一つ顔に塗ってない私に向かって、彼女は淡々と話した。
そんな仕事の仕方があるのか。人によっては当たり前に行われているのかもしれないが、衝撃を受けた。
そうすると、化粧はマナーと言うより、もはや仕事の一部だ。
マナーのための化粧なら、そこまでする必要はないだろう。
眉ひとつだけで、確かに人の印象は変わるから、それをビジネスに生かすのは、ネクタイの色やハンカチにこだわる男性と一緒なのかもしれない。
「だけどさ、一番気をつかうのって女なんだよね。女性はほとんどの人が化粧をしているから、相手のことを細かく見ている。そのプレッシャーからいつもよりメイクに力が入る相手は女性かもしれない」と彼女は付け加えた。
女性同士のプレッシャーは、本当に重い。メイクでも、仕事でも、一番気をつかう相手は「異性」ではなく、「同性」なのかもしれない。
メイクの出来栄えが仕事に影響するなんて、本来あってはいけないことだと私は思う。
それが理想論だということもわかるし、相手に良い印象を持ってもらうために、最低限清潔感を保った方がいいと主張する人の気持ちもわかる。
ただ、肌のアレルギーによって、化粧ができない人も絶対いるはずだ。
その人たちに対して、メイクを強要することはできるだろうか。
そもそもなぜ男性のノーメイクは許されて、女性のすっぴんは「清潔感がない」とレッテルを貼られてしまうのだろうか。女性の本来の肌は、そんなに汚いのだろうか。
女性の多くが当たり前のように、ほとんど毎日している化粧。
もし、誰かがすっぴんの道を選んだら、その人は「変わっている」と思われるのだろうか。
それは女性たち自身が強いてきた「メイクはマナー」という暗黙のルールを破った罰なのかもしれない。
同性同士で、お互いに鎖をかけることに何の意味があるのだろうか。
まずは、何であなたが毎日メイクをしているのかを問い直す。
そして、問い直した上で毎日メイクをし続けることをやめなかったとしても、それはきっと正しい。
あなたが選び取った選択肢なのだから。
◇◇◇
ハフポスト日本版でエディターとして働く私(27歳)は、2017年9月いっぱいを「ノーメイク」で過ごしました。仕事も、プライベートも、あえてメイクを塗らないことで見えてきた世界を、1カ月間少しずつ書き留めていきました。これから平日朝7時ごろ、順次公開していきます。
第6話:女が「女装」することの快感。
ハフポストでは、「女性のカラダについてもっとオープンに話せる社会になって欲しい」という思いから、『Ladies Be Open』を立ち上げました。
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