9月19日 火曜日 天気:曇り 肌:ペタペタ
3連休が終わり、まだ「仕事モード」になれないまま、出社した。
そろそろ、同僚は「1カ月すっぴんプロジェクト」について気づいてくれているのだろうか、と考えながら、会社に向かう。
私の「1カ月すっぴんプロジェクト」よりも前に、ある大物アーティストが「ノーメイク」ムーヴメントを実施している。
アメリカで活躍する女性アーティスト、アリシア・キーズだ。
彼女は2年前の5月31日に、「包み隠すことを止める」と誓い、ノーメイク宣言をした。
そして同年8月28日、アメリカのMTVが主催する「Video Music Awards(VMA)」にすっぴんで出席した。この音楽の祭典は、同時にファッションの祭典でもある。レディ・ガガが生肉ドレスで登場したのもこのイベントだった。
アーティストのファッションが受賞者と同じくらい注目されるイベントで、彼女の行動はメディアの大きな注目を集めた。そして、人々からは彼女の勇気ある行動を称えるとともに、批判する声も寄せられた。
一部の人は、Twitter上で「やり過ぎ」とか「VMAなんだからマスカラくらいしたら」「アリシア・キーズのノーメイクキャンペーン、終わった方がいい」と非難した。
私は、彼らが批判する理由がよくわからなかった。彼女が、英雄のように見えたからだ。「人の目をうかがいながら、『カメレオン』のように自分の姿を隠したくなかった」と語る彼女の言葉からエンターテインメントの世界で生きるプレッシャーが伝わる。
私の「1カ月間メイクしません」チャレンジよりも、はるかに勇気のある行動だった。私は、彼女を心から尊敬している。
私と彼女のすっぴんチャレンジの大きな違いは、彼女が外見も含めて「売り」にしている有名人だということだろう。彼女自身はもしかしたら「歌」だけで評価されたい人なのかもしれないが、音楽の祭典がファッションの祭典になっているように、外見も含めて評価されることが多い。
彼女が「ノーメイク」を選ぶことは、応援している人への裏切り行為となるのだろうか。
今回はその考え方の違いが、彼女のアクションを支持する人としない人の境目になったのではないかと思う。
アリシア・キーズ以外でも私たちは、有名人の体型変化や見た目の変化を敏感に受け取り、時には批判してきた。マライア・キャリー、ブリトニー・スピアーズ、マイリー・サイラス、最近はリアーナもその標的となっている。
しかし、彼女たちの体型や見た目の変化は私たちに何を示しているのだろうか。もしかしたら、アリシア・キーズと同様に、あるいはそれ以上にプレッシャーのかかったエンターテインメイントの世界に対する叫びかもしれない。もしくはそのプレッシャーへの抵抗を身体で表現したのかもしれない。
そうであるならば、私たちは一度は彼女たちの歌声に感動した一人として彼女たちが自分らしさや笑顔を取り戻すために、温かく見守ってもいいと思った。
そして、アリシア・キーズのようにその変化自体(ノーメイク)が自分らしいと感じているなら、心から応援したい。
数々の批判を浴びながらも、アリシア・キーズはキュートな画像とともにTwitterでこんなメッセージを送っている。
「みなさん、私はメイクをしないことにしたけれど、だからといってメイクに反対してるわけじゃないんです。それぞれ、心が感じるままに自分らしく生きましょう!😘😘 」
なんてかっこいいんだろう。ますます応援したくなった。
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ハフポスト日本版でエディターとして働く私(27歳)は、2017年9月いっぱいを「ノーメイク」で過ごしました。仕事も、プライベートも、あえてメイクを塗らないことで見えてきた世界を、1カ月間少しずつ書き留めていきました。これから平日朝7時ごろ、順次公開していきます。
第6話:女が「女装」することの快感。
ハフポストでは、「女性のカラダについてもっとオープンに話せる社会になって欲しい」という思いから、『Ladies Be Open』を立ち上げました。
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