年末年始の休暇を目の前にして、シンディ・レイヴィー(雑誌『グラマー』編集長)とミカ・ブルゼジンスキー(MSNBC「モーニング・ジョー」司会者)と一緒に、私はある決心をしました。生活からテクノロジーを排除し、新しい年を迎えるまでに自身を充電、再生させるのは今しかないと思ったのです。そのためには、手持ちのデバイスの電源をオフにして、解放されるのが最もよい方法ではないでしょうか?
常時接続(あるいは着信音)の誘惑に囚われているのは、私たちのように一年中メディアの世界で働いている人間ばかりではありません。ビッグデータや無限の情報、絶え間なく交流し続ける能力、そしてますます強くなるテクノロジー依存など、それらが全部が組み合わさって、私たち人間と、私たちが持つ見識と安らぎの場との間にノイズだらけの混沌とした状態をつくり出しています。言ってみればiParadox(アイ・パラドクス)です。スマートフォンは、知恵への道を塞いでいるのです。
情報とデバイスがもたらす混沌としたノイズがあまりにひどいため、私は安らぎと知恵を求め、シンディやミカと共に、日頃から誓い合っていた「デバイスから解放される時間を取ること」を実行に移しました。もっと大きなことをしたかったわけです。
4年前、シンディと私は、1か月間の「スリープ・チャレンジ」を企画しました。十分な睡眠をとろうと女性たちに呼びかけ、経験したことをブログで発表していきました。
デバイスの画面に対する依存症も、同じように私たちの幸福、生産性、創造性に悪い影響をもたらしています。そんなわけでシンディやミカと一緒に、この問題に対して同じアプローチを取ることにしました。「アンプラグ・チャレンジ」に、みなさんも参加していただきたいのです。私は、テレビとソーシャルメディアを絶って、Eメールに関しては、1週間のうちオフィスが開く3日だけ、それも1日2回のハフポスト編集者とのチェックに限定します。デバイスに常時つながっている代わりに、娘と妹、そして前夫と一緒にクリスマスをハワイで過ごします。美しい日没を写真に撮ったり、食事の写真をツイートしたりはしません。また、画像の共有もやめます。ただ、過去に起こったことを話し合って、その瞬間に起こっていることに浸ることにします。シンディは、テレビとソーシャルメディアを控えるとともに、Eメールに関しては、『グラマー』誌のオフィスが開く日の1日2回のチェックに限定します。出版社は年末年始も変わらずに稼働するからです。彼女は「考えるだけで、じん麻疹になりそう」なんて言っています。シンディ、あなたならできるわ! そしてミカは、この20年間で初めて完全にデバイスを絶ちます。家族と一緒に遠くの島に出かけるそうです。
「アンプラグ・チャレンジ」を行うことで、日常生活で私たちが得がたい幸福感、クリエイティビティ、そして知恵に焦点を当てたいのです。インターネットは情報の宝庫であり私たちがすぐに使えるものです。しかし過剰な接続は、デジタルの「エデンの園」にひそむ蛇のようなものです。4台のブラックベリーを所有する私が言うのも何ですが。
「人々はデバイスと病的につながっている」とスタンフォード大学の薬学部教授で、セルフコントロールを研究する心理学のケリー・マクゴニア氏は言います。「ただ単に中毒になっているのではなく、全く抜け出せないのだ」
マイク・ウィリアムズ教授は、人々が自分自身に与えているダメージを次のように要約しています。
神経科学の研究ーーすなわち、食べ物を味わうことなく、何をしているのかさえ分からないまま次々とタスクに従事している、そんな常に駆け回っている人々の脳のスキャンから判明したことがある。感情を司って人を駆り立てる脳の部分が、常に高レベルの警報を発しているような状態にあるということである。言ってみれば「自分は仕事をやり遂げるために走り回っているんだ」と考える人は、生物学的な観点からすれば、捕食動物から逃げるためにかけずり回っているのとよく似ている。同じ脳の部位が活性化しているわけだ。しかし、自らが抱える不安から逃れられるほど速く走れる人間はいない。
ハフポストのライフスタイル編集主任ローリ・リーボビッチは、「お母さんのデジタル・ダイエット」というタイトルの巻頭記事で、携帯電話を絶った最近の家族休暇について書いています。彼女は子供たちに言ったそうです。「お母さんがiPhoneで写真を撮る以外のことをしていたら、電話を取り上げてね」。どんなダイエットでも同じですが、続けるのは容易ではありませんでした。しかし、その成果は現れました。「それまでiPhoneがアラートで新しいメッセージやツイートを知らせてくれないと、自分の中で何か大事なものを失っているのではと感じることがありました。しかし、スクリーンをタップする代わりに、ただ砂のトンネルを掘って、本のページをめくることだけに手を使っていると、気分が軽やかになりました。自分でも分からないほど久しぶりに子供たちを眺めました。子供たちも見られることを楽しんでいました」
この断絶は相互的なものです。子供と家庭に関するNPO「コモンセンス・メディア」のキャロライン・クノールは、自分たちが行った調査について書いています。8歳以下の子供の72%、2歳以下の子供の38%がすでにモバイル機器の利用を始めていることが分かったそうです。
コメディアンのルイスCKは、スクリーン依存症を面白おかしく表現しています。子供のイベントで見られる親の馬鹿馬鹿しい一面をネタにしているのです。何とかビデオ撮影しようとして、子供たちのサッカー試合や、学芸会の劇や、幼稚園の卒園式を直に見られない親たち。「現実の子供たちのビジョン」が妨げられるわけです。子供たちの節目の出来事を記録するのにがむしゃらになりすぎて、完全に子供たちを見失ってしまうのです。「ただ見ているだけで、子供たちは信じられないほどの解像度になります。フルハイビジョンなのですから」とC.K.はジョークを飛ばします。
ミカとシンディと私も、年末年始、2014年、そして残りの人生をフルハイビジョンにできると信じています。ただしそうするためには、時にスクリーンから目を離し、デバイスから解放され、周囲の世界についてじっくりと考えることが必要です。デバイスから離れて生活する1週間が終わった2014年の1月には、私たちはそれぞれどのように過ごしたか、何を学んだか、そしてメールやスマホのない生活でどんな機会を失うことがあったかをブログで発表します。そして、1月9日(木曜日)のトーク番組「モーニングジョー」において、チャレンジについて語ります。あなたも是非「アンプラグ・チャレンジ」に参加してください。参加していただけたら、どんな風だったか、何が大変で、何が容易だったか、そして何を学んだかを是非教えてください。また、完全にパラドックスを受け入れるわけなので、コミュニケーションが途絶えてしまわないよう、チャレンジの前後にハッシュタグ#holidaysunpluggedを使うことにします。よい休暇を、そしてよいアンプラグをお過ごしください!
ハフィントンポストUS版編集長
アリアナ・ハフィントン