PRESENTED BY AQUA SOCIAL FES!!

【2020年度までの完成が目標】青森駅前にビーチをつくる。けん引するのは、高2でNPOを立ち上げた現役慶大生

NPO法人あおもり若者プロジェクト「クリエイト」理事長の久保田圭祐さんは、青森と東京を何度も行き来して活動している。

松尾芭蕉は青森を訪れなかった。長い距離を歩き、数々の句を詠んだ俳人でも、江戸から本州の最北の地に足を運ぶことは厳しい。これは容易に想像できることであろう。しかし、もし現代に芭蕉が生きていたら...新幹線に乗り、未踏の地である青森に訪れ、「青森や ああ青森や 青森や」なんて句も生まれたかもしれない。

そんな文章を書いたのは、NPO法人あおもり若者プロジェクト「クリエイト」理事長の久保田圭祐さんだ。久保田さんは慶應大学の4年生。2009年、高校2年生の春に「クリエイト」を立ち上げた。冒頭の内容は設立から1年経った高校3年生の時に記したものだ。「地域にもっと愛着を 地域をもっと豊かに」をモットーに、地域の人に地元の良さを知ってもらい、県内を元気にするために活動を始めた。

ポリシーは「地域に愛着を持ってもらうこと」と話す久保田さん

「趣味でやっていたネットラジオの仲間と一緒に始めました。東北新幹線の新青森駅開業の前年です。当時市民活動に動きがないことが不思議で。よく青森には何もないと聞くけれど、本当に何もないはずがないと思い、みんなが知らないものを発掘して発信していました」

故郷への思いは「東京の大学に進学して、外から青森をみて『いいな』って」と、より一層強くなった。学業はもちろん、東京に住む同郷の学生たちとPR活動や研修を行う。一方で「クリエイトまち塾」という名のもと、青森に住む高校生たちの人材育成にも力を入れる。そこでは、地元商店街の協力をあおぎながら行う高校生たちによるカフェを運営など、自立性、社会性を身につけるプロジェクトを数多く手がける。当然、久保田さんは東京と青森を何度も何度も往復する多忙な毎日を送っている。指導者がいるわけでもない。活動のモデルケースもない。「在り方は常に手さぐりですね」。

今年、久保田さん率いる「クリエイト」は新たな挑戦に踏み出す。それは、青森駅前にビーチを造る県事業への協力だ。青森駅前の海辺に新たなランドマークを創るもので、水棲生物のすみかとなる空間をつくり、育み、守っていこうというもの。今年度からスタートし、2020年度の完成を目指す。長年、若者を中心に街づくりに携わってきた「クリエイト」に白羽の矢が立ち、県庁から声がかかったそうだ。

4月下旬、青森駅前ビーチ予定地で県担当者や海洋環境の専門家らとキックオフミーティングが行われた

この取り組みの一環で、トヨタのハイブリットカー「AQUA」と全国のNPO法人、地方紙の協力で環境活動を行うAQUA SOCIAL FES!!(以下ASF)がこの干潟で開催されることになった。今年は、海のゆりかごと呼ばれる海草アマモを海辺に移植する。

魚などのすみかとなるよう、今年のASFで海辺に移植する海草「アマモ」

「青森県にとって三方を囲む海は素晴らしい財産。青森駅前へ魚の棲む砂浜をつくることは新たな財産をつくることを意味します。他のどこにもないような、『市街地にビーチのある街』となって欲しいと思います。きっとそんな場所がみんなの手で生み出すことができれば、きっと街に対する愛着がもっと強くなると信じています」

「より雇用があれば、地方の人口流失は防げるといいますが、雇用だけでは歯止めはかからないと思います。雇用に加えて地元への愛着がなければ。この2つは車の両輪です。市民が愛着を持てるようなシンボルを造る事業、その一翼を担えることは光栄です。夏の海水浴場だけではなく、冬に活用できるアイディアも練っていますよ」

青森市民が知らないものを発信しようと思った― 

東京に住んで「青森っていいな」と思うようになった―

青森駅前にビーチを造り、街を元気にする取り組み、その一翼を担えることは嬉しい―

全国でここにしかないような「海ある街」になってほしい―

久保田さんの想いは熱い。

久保田さんや青森県が中心となって行う「AQUA SOCIAL FES!! 2015 青森の海を守ろう第1回 青森駅の目の前に、魚が棲まう砂浜をつくろう!!」は青森市で7月11日(土)に開催です。詳細は公式ホームページをご覧ください。

(取材・執筆:東奥日報社 菅井大輔)

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