PRESENTED BY AQUA SOCIAL FES!!

【"ゴミの山"から世界遺産へ】富山出身の長田五月さんが富士山の環境保全に尽くすワケ

2014年6月に悲願の世界文化遺産登録となった富士山。その構成要素の1つが忍野八海だ。

あなたは住んでいる街のことをどれくらい大切にしていますか。

2014年6月に悲願の世界文化遺産登録となった富士山。その構成資産の1つ、忍野八海周辺の環境保全に長年にわたって取り組んでいるのが、忍野ユネスコ協会会長の長田五月さんです。

「自分ができるところから、無理なく始めることが大切」と、ゴミ拾いをしながらウォーキングするのが日課だという長田五月さん

富山出身で、大学進学をきっかけに山梨へ訪れた長田さんにとって、富士山は思わず手を合わせてしまう存在だったそう。「日本海側は青空がなかなか見られなくてね。抜けるような青空を背景に、どっしり構えた富士山が素晴らしくて、気が付けば住み着いてしまいました」と笑顔で話してくれました。

大学卒業後に、山梨県は忍野村でホテルを経営する男性と結婚。以降、日本はもちろん海外から訪れる観光客に富士山の魅力を伝え始めました。しかし、当時は「ごみの山」と呼ばれるほど富士山の自然環境は破壊された状況だったといいます。大好きな富士山を「何とかしたい」と、1995年に創立間もない忍野ユネスコ協会会員となり、環境保全活動を取り組み始めました。

長田さんは「大好きな土地をきれいに守っていくことは、住む人たちの責務」と力強く語ります。

「富士山をきれいにしたい」という想いは、今でこそ尊いものだと共有しやすいものかもしれません。しかし、美化活動をした当初は、地元の方から「物好き」と言われたり、釣り人たちがごみを捨てているのを注意すると「何の権限があってそんなことを言うんだ」と抗議されたりすることもあったそうです。

しかし、長田さんの信念は揺らぐことはなく、美化活動を重ねるうちに徐々に熱意が伝わったのか、変化が起こったといいます。美化活動に協力する地元の方も徐々に増え、釣り人たちもごみを持ち帰るようになったのです。

その後2007年に同協会の会長に就任。2009年には「忍野ユネスコこどもクラブ」を立ち上げると、桂川や新名庄川流域の清掃活動や水質検査を行い、次代を担う子どもたちとともにふるさとの環境を考える活動を始めました。

「ホタルが飛び交う水辺の再生事業」の一環で、池にホタルの餌となるカワニナを放流

並行して、2014年からは忍野村にホタルを呼び戻そうと「ホタルが飛び交う水辺の再生事業」を開始。村内の「さかな公園」の一角に、網を張るなどホタルの公開飼育場所の環境整備を進めています。同年9月には、ホタルの餌であるカワニナ、2015年の5月にはホタルの幼虫250匹を放流しました。着々と、ホタルが住みやすい環境が整っているのです。

とはいえ、「毎年放流するような過保護な飼育はせず、少しずつでもいいので忍野村の自然に溶け込み、いつしか昔のようにホタルが飛び交う村になれればいいと思います。それが未来遺産になると思います」と長田さんが語るように、環境改善は、短期間で達成できるものではありません。

作業を終えて、新たに命名した「ほたる橋」で記念撮影

夢や計画は尽きることはありません。「私が富士山を最初に見て感動したように、いつまでも美しい富士山を見ていただけるよう頑張りたいと思います。今は、村民の方に忍野八海の勉強会を計画しています。素晴らしい自然とおもてなしの心で感動を与えられる街づくりを進めていきたいと思います」と、長田さんは目を輝かせて話してくれました。

地元を愛する長田さんの熱い思いを私たち一人一人が胸に秘めて行動に移せば、人にも環境にも優しい素晴らしい世界が広がりそうです。お話を伺って、自分自身も「何かアクションを起こさなくては」と改めて感じました。

長田さんが理事長を務める忍野ユネスコ協会は、トヨタのハイブリッドカー「AQUA」が全国各地で展開する環境保全活動のAQUA SOCIAL FES!!に参加しています。

「AQUA SOCIAL FES!!」の様子(2013年)。

今年の山梨県内の清掃活動プログラム「富士山周辺美化活動」は7月4日(土)に忍野八海周辺で開催します。詳細は公式サイトをご覧ください。

(取材・執筆:山梨日日新聞社 小倉 浩二)

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