PRESENTED BY AQUA SOCIAL FES!!

川のクリーンアップだけでなく被災地支援も カヌー仲間で立ち上げたNPO「秋田パドラーズ」

秋田県一の水量を誇る雄物川で、カヌー仲間たちが立ち上げたNPOが「秋田パドラーズ」だ。

秋田県一の水量を誇る雄物川(おものがわ)。全国の一級河川の中でも類のない豊かな自然を有している、数少ない川の1つだ。

今から20年ほど前、雄物川を中心にカヌー愛好家たちが集まり、カヌーイングを楽しんでいた。美容師として働きながら、NPO法人「秋田パドラーズ」の理事長を務める舩山仁さんは、そんな愛好家たちに誘われてカヌーを始めた仲間の1人だった。

初めて誘われた時、船山さんは「カヌーをやるのはきっと一度だけだろう」と思っていたそうだ。しかし実際に体験してみると、カヤックの側面に当たる波、野鳥のさえずり、朝もやの幻想的な風景...身体全体で自然の中に飛び込む感覚が忘れられなくなったのか、「もう一度やってみてもいいかな...」と思うように。こうして次第にカヌーにのめり込んでいくことになる。

NPO法人秋田パドラーズ 理事長 舩山仁さん

しかし当時から雄物川流域では、ゴミの多さや川の汚れが目立ち始めていたという。そこで自分たちの遊び場をきれいにするために、舩山さんたちは自主的に流域のゴミ拾いを始めた。だが、自分たちでは処理しきれないほど大量のゴミに困っていると、知り合いからNPO設立を提案される。非営利団体を設立すれば、行政などからの支援も受けやすくなるからだ。

秋田県が誇る美しい川を守るため、舩山さんはカヌー仲間ら7人と共に、2003年6月、NPO法人秋田パドラーズを立ち上げた。初めて川を下ってから、5年の月日が経っていた。創立から12年、会員数は160人を超える。カヌーを通じて自然と共生することの大切さを多くの人たちに伝え、自然環境を保護していくことが活動の主旨だ。

秋田パドラーズは現在、雄物川流域でカヌーイング教室や体験会を定期的に開催し、参加者とともに流域の自然観察やクリーンアップ活動を行っている。また、雄物川の自然を生かしたイベントを開いたり、子供たちに川での安全講習会も実施したりと、その活動は多岐にわたる。

雄物川流域のクリーンアップをする秋田パドラーズメンバー

そもそも「パドラーズ」とは、水辺で遊ぶ人とか、船を漕ぐ人などという意味を持つ。自然環境の保護はもちろん大切だが、その前にまずはカヌーに乗って川に親しんでもらうことが第一だと舩山さんは言う。

自然の中で楽しく遊ばせてもらうためにも、自然を知り、自然を大切にする。流域のクリーンアップは、自分の部屋を片付けるような気持ちと似ているそうだ。

秋田パドラーズは環境保全に尽力したことを評価され、2006年には、設立からわずか3年で秋田県環境大賞を受賞。その後も環境活動に関する賞を多数受賞した。

そんな中、2011年3月に東日本大震災が起こった。

直後の3月末から7月までほぼ毎週末、舩山さんはパドラーズを率いて宮城県気仙沼市へ向かった。そこでは、炊き出しや泥上げなどの支援活動に尽力したという。

美容師である舩山さんは、自ら経営する美容室が定休日の月曜日には、店のスタッフとともに岩手県陸前高田市の避難所で、散髪ボランティアも行った。

被災地入りした回数は2011年だけで34回。活動日数はのべ60日間を数え、参加したパドラーズ会員はのべ191人、舩山さんの活動に賛同したボランティアは1200人を超える。その中には「頼ってばかりはいられない」と、現地ボランティアも100人以上が駆けつけた。舩山さんの熱い想いが、これだけの人を動かしたのだろう。

被災者と直に接し、「もし秋田で何かあったら、今度は自分たちが行く」と言われた時がとても嬉しかったと、舩山さんは当時の思い出を語った。

当時の被災地のがれき前で(写真中央が舩山さん)

「今私たちにできることをやる」、「私たちから美しい秋田へのウェーブを広げる」という理念は、秋田パドラーズの日々の活動はもちろん、震災時のボランティア活動にも共通している。

今後も雄物川流域の豊かな自然を守り、人々が健康に暮らせる地域社会をつくるため秋田パドラーズは活動していく。舩山さんのふるさと秋田への愛情と、豊かな自然に対する情熱は、冷めることがなさそうだ。

秋田パドラーズは、トヨタのハイブリッドカー「AQUA」が全国各地で展開する環境保全活動のAQUA SOCIAL FES!!に参加しています。雄物川水系を理解して未来へつなぐプログラムを開催しており、参加無料。親子で、仲間同士で、カヌー体験を楽しみながら、大自然の中で秋田パドラーズ舩山理事長の熱い思いを共有しませんか?

2014年のAQUA SOCIAL FES!!の様子

開催は6月21日(日)、募集締め切りは6月8日(月)まで、定員は100人です。詳細は公式ホームページを御覧ください。

(取材・執筆:秋田魁新報社 八嶋宗夫)

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