ファッション通販サイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」が10月1日、商品の配送料を「買い手」が決める「送料自由」の仕組みを実験導入した。
今までは、全国どんなユーザーであっても一律で送料を設定していたが、実験的に導入した新送料は、ユーザーが決済するタイミングで送料を自由に指定する。
特に指定しない場合には初期設定の400円が適用される。送料無料にすることもできるが、送料を選ぶ選択肢の中には0円がないので、手入力で「0」と入力する必要がある。
■これまでの送料
・商品の合計代金が4,998円(税込)以下の場合、399円(税込)
・商品の合計代金が4,999円(税込)以上の場合、無料
■これからの送料(実験導入中)
・買い手が送料を指定する
(100円〜1500円の100円単位の選択肢から決定するか、手入力で0円〜3000円で自由な金額を指定する)。
▼ちなにに3001円以上を入力するとエラーになる。
同社の広報担当者によると、新設定の送料は「増収を見込んだものではない」という。
ZOZOTWONを運営するスタートトゥデイの前澤友作社長は、1日、自身のTwitterアカウントで「送料自由」の開始を告知し「自由に価格を決めていただくことで、運ぶ人と受け取る人との間に、気持ちの交換が生まれれば素敵だなと思います」と綴った。
前澤氏は、9月27日に送料の仕組みが変わることを予告しており、「ビジネス感度の高いNewsPicksユーザーの皆様の予想が聞きたいです」とTwittr上で投げかけていた。
実際に「送料自由」のシステムが公開されるとTwitter上では早速、送料自由に対して賛否を含む様々な意見が投稿された。以下に一部を紹介する。
●「みんな0円にしちゃうんじゃないの?」
Twitter上では「送料自由にすればみんな0円を指定するのではないか」という声が相次いだ。
●他のサービスで、「似てる」仕組みありましたよね。
●「炎上した頃の前澤さんいったいどこへ...」
前澤氏は2012年に、ゾゾタウンの送料について「(送料が高くて)まじ詐欺やろ」とツイートしたユーザーに対して、「ただで商品が届くと思うんじゃねぇよ。お前ん家まで汗水たらしてヤマトの宅配会社の人がわざわざ運んでくれてんだよ。お前みたいな感謝のない奴は二度と注文しなくていいわ」という返信をして大きな話題を呼んだ。
そういった経緯を経ての「送料自由」の発表に対して「炎上した頃の前澤さんはいったいどこへ」といった声もあがった。
●「PRとしてうまい」
また、新しい配送料導入直後からのTwitter上での盛り上がりを受けて「PRとしてうまい」という感想を漏らすユーザーもいた。
●配送会社の人に伝わるだろうか...。
ECサービスの成長で、配送会社のドライバーの労働環境が劣悪であることが問題視される中、きちんと送料を支払う設定にすれば運送会社に還元されるのだろうか、といった疑問を持つ人もいた。
送料を多めに支払ったということが配送員に伝わればいいのに、という意図のツイートに対して、前澤氏は「考えてみます」と応じた。
ハフポスト日本版では、自由設定で支払われた送料が、スタートトゥデイと配送会社との間でどのように分配されるかについて同社広報に問合わせているので、回答があり次第追記する。
【UPDATE 2017/10/4 14:10】
スタートトゥデイ広報担当者はハフポスト日本版の取材に対し、宅配会社への還元方法について「現在、検討中」とした上で、「(これまでの送料による売上を)上回った送料は、皆様からの様々なご意見を参考にさせて頂きまして、宅配会社様ご協力のもと、物流サービス全般のレベルアップ、サービス向上・改善のための投資とさせていただく」と回答した。
前澤氏は、「送料自由」の実験導入が始まった翌日10月2日に、送料による増収が0.2パーセントだったことをツイートした。
買う側が送料を決めるという実験。買い物と物流の未来を占う施策になるだろうか。