ラスベガスで4月3日(現地時間)に開かれた第64回グラミー賞授賞式で、ウクライナのゼレンスキー大統領が、事前に録画された動画でサプライズ登場した。
Varietyによると、スピーチは首都キーウ(キエフ)の掩蔽壕(えんぺいごう)で48時間以内に録画された。
2月24日にロシア軍が侵攻して以降、街が破壊され、多くの人たちが死亡しているウクライナ。
ゼレンスキー大統領は「戦争。それ以上に音楽と反対のものは何があるでしょうか?」と、戦争と音楽の力のつながりを示しながら、次のように呼びかけた。
「破壊された街と殺された人々は沈黙しています。私たちの子どもたちは流れ星ではなく、急降下してくるロケットを描いています。400人以上の子どもたちが負傷し、153人の子どもが亡くなりました。私たちは、彼らが絵を描く姿をもう見ることはできません」
「親たちにとって、防空壕で目を覚まし、生きていることが幸せです。愛する人たちと、再びともになれる日が来るかどうかもわからない状況です。戦争は、誰が生き残り、誰が永遠に沈黙するかを私たちに選ばせてはくれません」
「私たちのミュージシャンは、タキシードの代わりに防弾チョッキを着ています。彼らは病院で負傷した人たちのために歌っています。歌声を聞くことができない人たちのためにも歌っているのです」
「しかし、最後に音楽は打ち破ります。私たちは自分たちの自由を守ります。生きるために。愛するために。音を響かせるために」
「私たちは自分たちの国で、爆撃で恐ろしい沈黙をもたらしているロシアと戦っています。死の沈黙です。沈黙をみなさんの音楽で満たしてください。今日満たしてください。私たちのことを伝えてください。みなさんのソーシャルネットワークやテレビで、戦争の真実を伝えてください。沈黙するのではなく、あなたができる方法で私たちをサポートしてください。そうすれば平和が訪れます」
ゼレンスキー大統領はさらに、チョルノービリ(チェルノブイリ)やハルキウ、ボルノバハ、マリウポリなど、破壊されたの多くの街について夢を抱いている、とも述べた。
「私には彼らが生きるという夢があります。そして自由になることを夢見ています。みなさんが、グラミー賞のステージで感じているのと同じ自由です」
スピーチの後、ジョン・レジェンド氏がウクライナ出身の詩人リューバ・ヤキムチュク氏や歌手ミカ・ニュートン氏、スザンナ・イーグルダン氏とともに新曲『Free』を演奏。パフォーマンスの最後には、ウクライナ難民をサポートする寄付ページも紹介された。
ゼレンスキー大統領については、3月27日に開催されたアカデミー賞授賞式でスピーチするのではないかという憶測があったものの、最終的には参加しなかった。
その代わり、アカデミー授賞式ではウクライナに30秒の黙祷が捧げられ、視聴者に「それぞれができる方法でサポートしてほしい」と呼びかけた。
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。