森友学園との国有地取引に関する決裁文書の改ざん問題で、麻生太郎財務大臣は6月4日、財務省の調査結果の公表を受けて、省内で記者会見を開いた。
冒頭、麻生氏は「決済を終えた行政文書を改ざんし、それを国会等に提出したことは、あってはならないことではなはだ遺憾」とし、学園と行政側との交渉記録について「極めて不適切な取り扱いがなされていた。深くお詫びを申し上げます」と陳謝した。
行政全体の信頼を損ねたなどとして、麻生氏も自身の閣僚給与12ケ月分を自主返納したと述べた。
また、財務省は、 国会審議の紛糾を回避する目的で改ざんが行われたと認定。 佐川宣寿・前財務省理財局長は、破棄や改ざんの方向を決定づけたとして、処分は停職3か月相当とした。
「私のリーダーシップのもと信頼回復に努める」
自身の進退については「大臣としての職責を全うしたい。自身の進退については考えておりません」とし、辞任を否定。また、「私のリーダーシップのもと、職員一同が一致団結し、再発防止、信頼回復に努めて参りたいと考えている」と話した。
文化みたいなもの
質疑応答では、改ざんや記録の破棄が組織ぐるみであったかどうかについて、質問が飛んだ。
これに対して麻生氏は、全省的に行っているとは見受けられなかったとしたうえで、次のように説明した。
「だからといって、一人だけの責任かと言われれば、そうとは言えないのではないか。となると、そういうようなものの『文化みたいなもの』がそこにあるのか、というようなことを考えなくてはと思う。再教育や、反省しないといけないと考える部分がある」と話した。
文書改ざんなどの問題については、「当時の理財局長が方向性を決定づけ、そのもとで総務課長が関係者に方針を伝達するなど、中核的な役割を担い、担当課長、担当室長が深く関与した」と説明した。
空気ってやつがそうだったのかも
改ざん起きた原因を問われると、「それが分かりゃ苦労せんのですよ。どっからスタートしたのか。佐川(元理財局長が)自身が、局長として他の担当課の課長に、『齟齬をきたしているから改ざんしろ。書き直せ』といった形跡はない。最初のきっかけは一番関心がある」と述べた。
そのうえで、答弁が間違っていたら、「書き直すのではなく言い直すということができたはずなのに、そうしなかった、その場の雰囲気、よく言う空気っていうやつがそうだったのかもと言えばそれまでなんでしょうけど」と話した。
また、安倍晋三首相の妻・明恵さんの関与と、それに対する忖度が働いたのではないかという指摘については「一連の発言の中で、安倍明恵という人が関与しているから文書を書き直した、もしくは修正をしたというようなものは認められていない」と否定した。
改ざんを「拒否した人もいる」
麻生氏はまた、改ざんの指示に対して疑問を程したり、拒んだりした人もいたと説明。
改ざんに関与したとみられる職員が自殺したことについては「はなはだ痛ましい話で、極めて残念」と語った。そのうえで「関与を嫌だと断った人たちもいる。断らなかった、断れなかった、そこにいくつかの差が出てきたことは確か。何となく、軽いつもりで罪の意識もなくやったのか、やばいんじゃないかなと思ってやったのかも人によって違う」と述べ「結果的に公文書に信頼性を失われる大きな被害と影響を与えたことが、大きな問題なんだと私は思う」と語った。