サッカー・ワールドカップロシア大会のマスコットはオオカミをモチーフにした「ザビワカ」だ。女子大生がデザインした愛くるしいキャラクターだが、最近、自らの名字をザビワカにしようとする男が出現し、注目を集めている。改名の理由とは?
ザビワカは、シベリアにある国立トムスク大学の元学生、エカテリーナ・バチャロワさん=モスクワ在住=が原作者だ。ロシア各地の大学生ら約500人から応募があり、バチャロワさんがデザインしたオオカミに加え、トラとネコをモチーフにした3作品が最終候補となった。
国民に投票を呼びかけたところ、オオカミが得票の5割を獲得。国際サッカー連盟(FIFA)はバチャロワさんからデザインの権利を500ドルで買い取り、ワールドカップの公式マスコットにした。
ザビワカは、ロシア語で「シュートを決める」を意味する「забивать(ザビバーチ)」に由来。ロシア国旗の3色(白、青、赤)をコスチュームにあしらうほか、ゴーグルをかけているのが特徴的だ。
そんなザビワカをめぐって、ロシアで今、一騒動が起きている。雑誌「論拠と事実」によると、モスクワに住むイワン・マクロンさん(36)が、自らの名字を「ザビワカ」に変更するべく、準備を進めているという。マクロンさんはすでに手続きに必要な書類は集めたといい、その本気度がうかがえる。
なぜ突飛な行動に出ることになったのか。マクロンさんは説明する。
「みんなロシア代表を笑いものにして、愛が感じられない。もううんざりだ。俺はロシアの優勝を信じてる。選手を応援するために改名を決意した」
ロシアは大会前の国際親善試合で、大会に出場しないオーストリアにも負けるなど、立て続けに敗北を喫し、国民からも代表チームに対する厳しい視線が向けられている。そんな状況にマクロンさんの不満が爆発したとみられる。
ロシアの法律では、国民は1回、自らの名字を変更することができるという。だが、法律の専門家は、改名すれば、ザビワカの権利を持つFIFAとの間で問題が生じる可能性があると指摘している。