写真:©Japan In-depth編集部
東京都知事選投開票日から一夜明け、豊島区池袋の小池百合子事務所では、朝8時前から各テレビ局のニュースや情報番組のリレー中継が行われたのち、8時45分から記者会見が行われた。
今回の選挙戦において、小池候補が終始訴えてきたのが、"都政の透明化"である。"都議会の一部の勢力"とか、"都議会のドン"などの言葉を使い、都政のブラックボックス化、意思決定システムの不透明さの解消を訴えてきた。都政の中に何らかの利権構造があるのなら、それは正さねばならない。除名覚悟で小池候補支持を打ち出した若狭勝衆議院議員もその可能性について指摘している。
記者会見でJapan In-depthの安倍編集長が、小池氏が今後若狭氏と進めていくとしている、"利権追及チーム"について聞いた。
「(利権追及は)大改革の中の大きな部分になってまいります。東京都の事業というのは多岐に亘っているわけです。その中でまず情報が必要になってくると思っています。様々な方々から、いわゆるWhistle-blowing(ウィッスル・ブローイング)、内部告発も含めてですね、情報を届けていただく、そのような受け皿作りを進めていきたいと思います。」(小池氏)
目安箱のようなものを作るのかどうかは別にして、不適切なカネの流れなどあったら、そうした情報を都知事に集中させる仕組みを作る、との意思を明確にしたということだ。
その上で、小池氏は、「(内部告発などの)分析については、若狭さんもまさしくプロ中のプロですので、又、いろんな方のご協力を得て、税金が正しく使われているかどうか、そのチェック、それに収まらず、オリンピック・パラリンピックも多額の税金がつぎ込まれている中、公私混同、または利益誘導などについてもやはり明確にしていくべきだと思います」と述べ、元東京地検特捜部副部長の経歴を持つ若狭勝議員とタッグを組んで利権追及を進めていく決意を新たにした。
一方で、具体的な追及の為の組織や進め方について聞かれると、「どのような形か、どのような方法が効果的なのか、そして陣容がどうなのかは、これから詰めてまいりたい。」と述べるにとどまった。
このように都議会の一部勢力との対決姿勢を鮮明にしている小池氏だが、今後の議会運営を不安視する声もある。これについて質問が出ると小池氏は、「二元代表制ということで、知事も議員もそれぞれ都民が選んだ代表ということです。都民の民意、利益、そこには接点があると思っています。その意味で議会の皆様方には協力をお願いすることになろうと思います。さもなければ都政が停滞することで都民に不利な状況になってしまいます。」と述べ、当面、議会各会派と話し合い路線で臨み、都政を停滞させないようにする、との考えを明らかにした。
しかし、都議会は増田候補、鳥越候補を推薦した与野党会派が多数を占めており、小池氏の思惑通りことが進むかどうかはわからない。新知事と都議会の対立が先鋭化し、議会がストップするような事態も十分考えられる。
都民は小池氏を都知事に選んだ。しかし、新都知事を選んでそれで終わりではない。これから小池都政が正常に行われているか、氏が掲げた政策が実現に向けて正常に動いているか、厳しくチェックすることが求められる。