【朝方勤務】国家公務員の「ゆう活」はじまる、本当に長時間労働はなくなるのか

慢性化する長時間労働の抑制に向けて、国家公務員を対象に実施する夏の朝型勤務「ゆう活」が7月1日、スタートした。
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Prykhodov via Getty Images

慢性化する長時間労働の抑制に向けて、国家公務員を対象に実施する夏の朝型勤務「ゆう活」が7月1日、スタートした。全国で約22万人の職員が8月末までの2カ月間、勤務時間を1〜2時間前倒しする。時事ドットコムなどが報じた。

「ゆう活」の「ゆう」は、夕方の「夕」や、友だちの「友」、遊ぶの「遊」などを意味する。朝方勤務は、明るい時間が長い夏は朝早くから働き始め、夕方を家族などと過ごす“オフ時間”にして生活を充実させてもらうのが狙い。働き方の見直しにつなげ、ワークライフバランスの実現を目指すとしている。安倍晋三首相は1日朝、首相官邸で記者団の取材に応じ、「この『ゆう活』を日本の長時間労働の慣行を変えるきっかけにしたい。私も有効に活用したい」と語った。

通常よりも約2時間早い午前7時半に出勤した内閣官房内閣人事局の土屋絢子係長は、「これまでの働き方を見直す良い機会。夕方以降の時間で英語の勉強をするつもり」などと語ったという。

霞が関のすべての中央省庁と地方機関で実施し、約4割が実践する。期間中、早朝出社した職員は定時退庁を原則とし、概算要求の関連資料の提出期限延長などで取り組みを後押しする。午後4時15分以降は会議も原則禁止とし、夜間には職場の早期消灯も促すという。

■賛同する企業、慎重な業界

この趣旨に賛同し、制度を期間限定で導入する企業が出てきた。産経ニュースによれば、石油開発会社「国際石油開発帝石」や大手損害保険会社「損害保険ジャパン日本興亜」などは、サマータイムの始業時間を朝8時にするという。

一方、始業時間の変更には慎重な企業もある。百貨店業界や流通業界などは、店舗の営業時間が決まっているため、簡単に始業時間を変えることが難しいとみられる。

■アンケート、朝方勤務で残業は「減らない」が81%

webR25」が20〜30代の男性社会人200人に実施したアンケートでは、「朝型勤務で残業は減ると思う?」という質問に対し、「減らないと思う」と回答した人が81%に上った。「減ると思う」は19%にとどまった。

「減らない」と回答した人からは「そもそも仕事が多すぎるのが問題であり、時間をずらすだけなんて意味がない」(39歳)、「内勤の場合は減ると思うが、得意先が絡めば時間の融通がきかないから」(29歳)などの意見が寄せらせた。

「減ると思う」と回答した人は、「朝型生活の方が頭が冴え、効率的に物事が進むと思うから」(31歳)、「ラッシュを避けられる」「プライベートが充実する」ことを期待する声が目立ったという。

■「朝方勤務」の制度については約7割が肯定的

一方、ORICON キャリアが20~40代の男女1200人に行った調査によると、朝方勤務という制度については肯定的な意見の人が約7割。「もし自分が勤めている会社が朝方勤務制度を導入したら?」という質問をみると、「あまり嬉しくない」「嬉しくない」と答えた人が50.8%だったという。

自分の会社に朝方勤務が導入されることに否定的な見方をする人からは、「早起きに自信がない」「夜遊びできなくなる」という意見のほか、幼稚園の送迎を心配する声や、会社に家が遠い人からは朝の電車が始発になるというような懸念の声が上がったという。

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