油井亀美也(ゆい・きみや)さん(45)が、日本時間の7月23日午前6時2分、宇宙に向けて出発する。
油井さんら3人の宇宙飛行士が乗ったロシアのソユーズ宇宙船が、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地から打ち上げられる。約6時間で、地球の400km上空にある国際宇宙ステーション(ISS)に到着。12月まで滞在する予定だ。日本人の飛行は、1990年のTBS記者(当時)秋山豊寛さん(73)から数えて10人目だ。
油井さんは航空自衛隊のテストパイロット出身で、今回が初飛行。人類初の宇宙飛行士となった旧ソ連のガガーリンや、月面に初着陸したアメリカのニール・アームストロングなど、米ソの宇宙飛行士はパイロット出身者が多かったが、日本人では初めて。
油井さんは、どんな人なのか。その横顔を探ってみた。
記者会見する3人の宇宙飛行士。左からアメリカのチェル・リングリンさん、ロシアのオレッグ・コノネンコさん、日本の油井亀美也さん
■映画「ライトスタッフ」を見て一念発起
毎日新聞によると、油井さんは1970年に長野県川上村で生まれた。幼少期は家業のレタス栽培を毎日手伝う親孝行な子だったという。宇宙に関心を持ち始めたのは小学校3年生の時だった。実家には愛用した望遠鏡が大切に残されている。「新しい星を見つけたら自分の名前が付くんだ」と、熱心に夜空を探していたという。
宇宙飛行士を夢見て、小学校の卒業文集には「火星に行く」と書いた。だが家計を心配して、学費の不要な防衛大学校に進学。航空自衛隊に入隊後は、F-15戦闘機の編隊長や高い技術が求められる軍用機のテストパイロットを歴任した。
夢を諦めかけていたが、戦闘機のパイロットが宇宙を目指すアメリカ映画「ライトスタッフ」をレンタルビデオ店で借りて見て一念発起。2009年に国内で10年ぶりに実施された飛行士候補の選抜試験で、競争率500倍の難関を突破した。
2012年10月5日、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する乗組員になることが決定。そのときの記者会見では、「まだ6等星レベルであり、これから頑張って立派にミッションをやり遂げて、将来的には1等星として、空に燦然と輝けるような“中年の星”になりたい」と、ミッションへの意気込みを語っていた。
油井さんらが乗るロシアのソユーズ宇宙船、組立中の模様
■油井さんのミッションは?
ISS滞在中の活動では、宇宙にあると言われる暗黒物質(ダークマター)の観測をめざすほか、8月に打ち上げられる日本の無人補給機「こうのとり」5号機がISSにドッキングする際、油井さんが補給機をロボットアームで捕らえ、地上側の管制を若田光一・宇宙飛行士(51)が担当することも決定した。
油井さんは21日夜、現地で記者会見に臨んだ。日米露の3カ国語を使い分けながら、「100%準備は整っている。自信もあるし、安心して打ち上げを待っている」と、笑顔で意気込みを語ったという。
油井さんはTwitterでも積極的に情報発信している。22日には「それでは、宇宙へいってきます!美しい亀の飛躍の一歩をご覧ください」と書き込んでいた。
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