参院選(7月4日公示、21日投開票)で、公明党の支持母体・創価学会に入っている沖縄県の野原善正さん(59)が、山本太郎・参院議員が代表を務める政治団体「れいわ新選組」の候補として出馬することになった。
学会員たちは固い結束で公明党を支持することで知られるが、そんな中、組織に背いてまで男性が訴えたかったこととは━━。
「創価(学会)の変革」。7月4日夜。東京の参議院議員会館近くのホールで、野原さんがそう断言すると、集まった人たちからは拍手がわいた。
「東京選挙区に熱っつい候補立ててもうたでしょ?(公明党代表の山口)那津男さんにね、励まして欲しいですよね」。司会を務めた山本議員が冗談を飛ばすと、会場は笑いに包まれた。
野原さんは沖縄創価学会に所属している。創価学会は公明党の支持母体で、学会員たちは熱心な公明支持者として知られる。
野原さんがれいわ新選組として参院選・東京選挙区で立候補することは、自らの組織を裏切ることに等しい。
野原さんが苦渋の決断をしたのは、ふるさと沖縄で進む辺野古のアメリカ軍基地建設をめぐる問題があったからだ。
この問題をめぐっては、同じ沖縄にあるアメリカ軍の普天間飛行場(宜野湾市)を辺野古(名護市)に移設する計画が政府によって進められ、地元沖縄県では激しい反対運動が起きている。
2018年9月の沖縄県知事選でも争点となり、辺野古に基地を造ることに反対した玉城デニー氏が、公明党が支援した候補者を破って当選した。
この際、野原さんは玉城氏を支持、街頭演説などでも創価学会のシンボルとなっている三色旗を振るなどしていた。
れいわ新選組の発表資料には、公明党と創価学会に対する野原さんの厳しい批判の言葉が並ぶ。
「公明党が安保法制に賛成した結果、海外派兵ができるようになり、また現代版の治安維持法といわれる共謀罪も成立しました。立党以来、平和福祉を掲げてきた公明党が、このような戦争を肯定するような法案を通し、民衆を弾圧するような法案を通すことはおかしい」
「これだけ世の中が悪くなった根本的な原因は、キャスティングボートを握っている公明党と創価学会の変節にあります。解決のためには創価を変革し、原点に戻す以外にありません」
野原さんの演説全文
この度、東京選挙区から立候補することになりました野原しんのすけ、じゃなくて、よしまさと申します。よろしくお願いします。
今回立候補する際にですね、主張したい大きなこと、2点あります。
まず、辺野古新基地建設の問題です。日米安保条約のプラス面を肯定する方々は、そのマイナス面を一手に引き受けている沖縄の現状を真剣に考える時が来ている。
全国の皆様が自分のこととして、自分の痛みとして、応分な負担を真剣に考えていただきたい。
2点目が、創価(学会)の変革です。今の公明党の政治姿勢、本当にこれでいいのかと思います。
立党以来、平和・福祉を掲げてきた公明が、今や自民党と一緒になって暴走しております。
本当に危ないことです。絶対に止めないといけません。それは相も変わらず支援をしている創価学会の社会的な立ち位置、本当にこれでいいのかと。
宗教者として社会とどう関わっていくのか、根本的な問題です。
こういう関わり方は本当に許されるんだろうか。そういう思いでいっぱいです。
繰り返しになりますが、辺野古新基地建設ストップ、阻止、それと創価の変革を掲げて、皆様と一緒に真剣に頑張ってまいりますので、ご声援よろしくお願いします。