将棋の羽生善治三冠が2月11日、東京・有楽町で開かれた「朝日杯将棋オープン戦」の解説会に登場した。
解説会では映画『聖の青春』や漫画『3月のライオン』など、自身が登場人物として描かれた作品についての感想を問われる場面も。羽生三冠は「実物よりも良い感じで…嬉しいです」と、はにかみながら話し、会場のファンを沸かせた。
この日の解説会には、羽生三冠のほか山崎隆之八段、山口恵梨子・女流二段が登壇した。
左から山口恵梨子・女流二段、羽生善治三冠、山崎隆之八段(2月11日、有楽町朝日ホール)
夭折の天才棋士、故村山聖・追贈九段(1998年死去、享年29)を描いた映画『聖の青春』や、アニメ化・映画化もされた漫画『3月のライオン』など、最近は将棋をテーマにした作品が数多く生まれている。日本将棋連盟の佐藤康光会長も6日の就任挨拶で「将棋を知らないファン層へのアピールにもありがたいことと思います」と述べるほどだ。
羽生三冠は「将棋の世界は、動きがあまりないので取り上げ方が難しい。そういうなかで、いろいろな表現の形で出ているのはありがたい。私自身も見たり、読んだりしています」と、プライベートでも将棋を題材にした作品に触れていることを明かした。
■『聖の青春』羽生三冠のメガネは「本物」だった
映画『聖の青春』ポスター((C)2016「聖の青春」製作委員会)
故村山九段にとって羽生三冠は「最強のライバル」だった。当時は「東の羽生、西の村山」と並び称さるほど。映画では松山ケンイチさんが故村山九段を、東出昌大さんが羽生三冠を演じた。
解説会で山崎八段から映画の感想を問われると、羽生三冠は「実在(リアル)で描かれているのは不思議な感じ。ノンフィクションの作品というのは、本人がいなくなってから(世を去ってから)出てくること多いので、リアルで出てくるのは変な感じですね。でも、実物よりも良い感じで嬉しいです」と語った。
また羽生三冠は、東出さんが劇中で着用していたメガネが、羽生三冠が実際に使用していた私物だという裏話も明かした。
「聖の青春」は、今から20年ほど前の物語。羽生三冠は、映画の撮影前に訪ねてきた東出さんから「当時のリアリティを再現したいんです」と聞いたという。羽生三冠は「家に帰って、昔使っていたものを探したら、メガネが残っていた。せっかく演じていただけるので、プレゼントした」という。
■『3月のライオン』は「棋士の視点で楽しんでいる」
11日の解説会では、羽海野チカさんが描く漫画『3月のライオン』に関する話も飛び出した。アニメ化もされた同作は実写映画にもなり3月公開予定。作品に登場するキャラクターは、実在する棋士をモデルにしたものも多いと言われる。
主人公の高校生プロ棋士・桐山零(『3月のライオン』コミックス1巻より)
映画『3月のライオン』予告
羽生三冠は同作について、「棋士は個性豊かな人が多いです。『このキャラは明らかにあの人(がモデル)だ』『あの人とあの人を足して、2で割ってるな』と分かることもあります。棋士としての視点で楽しんでいます」と、棋士ならではの鑑賞のスタイルを語った。
実はこの漫画、主人公の桐山零や天才棋士の宗谷冬司について、ファンの間では「羽生三冠がモデルの一人では」と推測する声がある。
羽生三冠と宗谷冬司(TVアニメ「3月のライオン」公式サイトより)
山口女流二段も「明らかに羽生さんなキャラもいますよね?」と質問。すると羽生三冠は、照れた様子で「だんだんと美化されるのは…(笑)」と、遠慮するような反応を見せた。その上で、「あくまで一つの作品、キャラとして楽しんでいただければ嬉しいです」と語った。
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