青森県内の写真コンテストの最高賞に内定していた作品に、8月に自殺した青森市内の女子中学生(当時13歳)が写っていたことが審査後に判明し、遺族が快諾したにも関わらず、内定を取り消していた。遺族は「娘の願いを伝えたい」として氏名を葛西りまさんと公表、最高賞を撤回された写真を、地元紙の東奥日報で10月18日に公開した。
葛西りまさんの写真を載せた東奥日報のオンライン版「Web東奥」(※東奥日報社の許可を得て掲載)
この写真は夏祭りをテーマとした「黒石よされ写真コンテスト」に、津軽手踊りを舞う少女を青森市内の男性が8月15日に撮影して応募した。最高賞の黒石市長賞に内定後に、いじめ被害を訴えて8月に自殺した浪岡中学校2年の葛西さんが被写体だったことが判明した。撮影されたのは葛西さんが亡くなる10日前だった。
東奥日報によると、コンテストを主催する黒石よされ実行委員会は、「関係者の承諾があれば良い」と考え、撮影者や遺族に事情を説明し、授賞や写真公表の快諾を得ていた。
しかし、10月13日夜、実行委の担当者や審査員らの再協議の結果、内定取り消しを決めた。コンテスト責任者の須藤重昭・元黒石観光協会長は、16日までの取材に「写真が公になり、さまざまな臆測が出ることを懸念した」と話したという。
葛西さんの祖父は、「孫が一生懸命に踊っている写真が受賞したと連絡を受けた時は家族みんなで喜びましたが、取り消されて残念です。主催者側に理由を尋ねても納得できるような説明ではありませんでした」と話していた。
産経ニュースによると、葛西さんの父親は撮影者から提供を受けて写真を公開した理由を「いじめられても、笑顔だった姿をたくさんの人に見てほしい。二度といじめをしないでという娘の願いを伝えたい」と話したという。
葛西さんは8月25日、JR奥羽線・北常盤駅のホームから列車に飛び込み亡くなった。スマートフォンに残された遺書には「もう生きていけそうにないです。いじめてきたやつら、自分でわかると思います。二度としないでください」などと書き込まれていたという。