サラリーマンの8割は“ふわふわ層“。仕事がダルい ⇒ ヨッピーさん「こうすれば変わる」

意識高い人なんて、少数派。
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Kaori Sasagawa

ウェブライターのヨッピーさんが、会社に寄りかからないで働く方法を解説した「明日クビになっても大丈夫!」(幻冬舎)という本を書いた。

かつて自分も商社マンだったからこそ、"サラリーマンのリアルな気持ち"が分かるというヨッピーさん。

朝7時から走って体を鍛え、バリバリ仕事をして出世することを目指すような「意識の高い人」は実は少数派。会社員のうちの8割は「ふわふわ層」に所属している、と話す。

「ふわふわ層」は、「残業だるい」「あの上司が嫌だ」「会議が眠くてしょうがない」と考えながら働いている人たち。

でもそういう層だって、このまま行けば、会社がつぶれたり、年金が十分もらえなくなったりした時にヤバいのではないか。そんな"非常事態"に備えて、「ふわふわ層」にも出来る転職や副業のヒントを本で伝えたかったという。

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ヨッピーさんが書いた「日本のサラリーマン分布図」
Kaori Sasagawa

「サラリーマン分布図」で、日本が分かる。

僕、「サラリーマン分布図」というのを最近考えるんです。まず「ヒケヒケ層」。腰が引けている、という意味です。働くこと自体が嫌だ、とか逃げ出したい、とか。

出来れば家でずっとゲームして暮らしたいわ、とかそういうの。会社や組織、社会に対してちょっと腰が引けている人達ですね。

もう一つが「イケイケ層」。意識が高くて、出世に興味あって、「俺は仕事で一発当ててやるんだぞ」と考えている人たち。勉強して仕事して偉くなって、それこそが正義だ!みたいな。

この「イケイケ層」の人達は大前研一さんの本を読みます。あとは「朝7時からジョギングしよう」とかそういう本を読むんじゃないですかね。全部カンで言っていますけど。

ちなみに「ヒケヒケ層」の人達はphaさんの「ニートの歩き方」なんかを読みます。家入一真さんの本も読むかな。

「社会を良くしよう」なんて思ってない。

でも、僕が思うに、日本社会のサラリーマンで一番多いのは「イケイケ層」でも「ヒケヒケ層」でもない、「ふわふわ層」なんじゃないかって。8割ぐらいがそうなんじゃないかな。

統計取ったわけではないから全部仮説に過ぎませんけど、でもけっこう合ってるんじゃない?って思っていて。

僕もサラリーマンをやってたからわかるんですが、サラリーマンって、みんな別に「社会を良くしよう」とか「俺はこの仕事を通じて人生に意義を持たせる」なんて思いながら働いてないですよ。

入社時は壇上で立派な事言ってた先輩も、一緒に働きだすと「は~!キャバクラ行きてぇ~~~!」とかまあ、そんなもんじゃないですか。

かと言って別に働く事自体を否定しているわけでもなく、なんとなく意義もあって、なんとなく給料をもらえてるから、なんとなく辞める理由もないし、なんとなく目の前の仕事をこなしながら毎日会社に行くっていう。いやホントに。

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Kaori Sasagawa

メディアに出て来る人はイケイケ層が多い。

もちろん業種、業態によってもだいぶ変わりますよ。ITやメディアの人達なんかはけっこう目的意識が高いと言いますか、実際に世の中にインパクトを与える仕事なのでやり甲斐もあるだろうし、成果も目に見えやすいですから「ふわふわ層」はそこまで多くないかもしれない。

でも他の会社はそうじゃないんですよ。「世の中を良くするんだ!」みたいな気持ちより「上司に怒られない程度にやろう!」みたいな気持ちの方が強いのがふつうの会社員です。たぶん。

なんか、サラリーマンとしてメディアに出て来る人達って、だいたい「イケイケ層」なんですよね。就職活動の会社説明会や取材なんかもそう。「イケイケ層」ばかりが出てくるんですよ。

もしくはイケイケ層のフリをして、出て来る。「我が社はやりがいがあって云々」「目の前の課題に全力で取り組んで云々」って立派なことを言うじゃないですか。雑誌の偉い人達のインタビューもだいたいそうですよね。

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よくメディアに出てくるような、イケてる会社員たち(あくまでイメージ写真です)
Getty Images/iStockphoto

でも、「ふわふわ層」からしたらイケイケ層が言うことってちょっと鬱陶しい。鬱陶しいし、「出来るかそんなもん!」ってなる。「朝7時からジョギングをすることでパフォーマンスを高めよう」とか言われても、「いやいや眠いわ」ってなるじゃないですか。

「普通の人が8時間働いてる時に12時間働けば1.5倍のスピードで成長できる」とか。「やってられるか!」って。

もちろんそういう習慣を持って仕事に取り組むのは素晴らしい事なんですけども、こっちはふわふわ層なんだから、イケイケ層の人たちみたいに「リスクをとって海外行こう!」とか「さあ、起業するぞ!」とはいかないんです。怖いじゃないですか、普通。

でも、かと言ってそのまま「ふわふわ」した感じで働いてる事に漠然とした不安みたいなのを抱えている人も多いはずなんですよね。

「年金ちゃんと貰えるかなー」とか。「倒産したらどうしよう」とか。東芝がまさかあんな風になるとは思ってないですもん。

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REUTERS/Toru Hanai
Toru Hanai / Reuters

マイルドな選択肢が大事。

最近もあったんですよ。友達が「会社やめるんですよ」って言うから、「会社やめて何するの?」って聞いたら、「エロコンテンツの会社をやりたい」って。

AVとかじゃなくて、例えばちょっとエッチな脱出ゲームとか、ちょっとエッチな女の子のゾンビが出て来るお化け屋敷とかがあったっていいじゃないかと。そういうのをやりたいって。

それは確かに面白そうだけど、なんで会社を辞めるの?って思う。だったら、平日の夜と土日を使って、イベントを月に1回やってみるのを続けて、手応えがあったらやめればいいじゃん、って。

会社員やりながらでも出来ることってけっこうあるじゃないですか。ライターでもブロガーでもデザイナーでも漫画家でもプログラムでもなんでも良いんですけど、基本的にサラリーマンやりながらでもちょっとしたチャレンジ自体は全然出来るんですよね。

それなのに、「リスクを取れ」「リスクを取れ」ってイケイケ層の人が言うのを真に受けて、マジでリスクをとって会社をやめて貯金も突っ込んで、結局にっちもさっちもいってない脱サラ組がいたりするじゃないですか。

まあそれって流石に自己責任だけど、それもあんまりよくないなぁと。イケイケ層の人達って、超人みたいな人達がたくさんいるんですよ。寝ずにめちゃくちゃ働くとか、すごく自分を律してるとか。

そういう人達が言う事って、「正しいとしても、そうそう真似できないよね」って事が含まれてる事も多いよなぁと思っていて。

結局、イケイケ層のえらい人達の言うことを理解して、ちゃんと実践できるのって元々イケイケの気質がある人達だけなんですよねたぶん。

そんな風に上位層だけ引っ張っても、そこまで社会は変わらないと思うんですよね。やっぱり圧倒的ボリュームゾーンのふわふわ層の人達が変わるのがいいのかなと。

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Kaori Sasagawa

僕も、うだつの上がらないサラリーマンだった。

自慢って言うわけではないですけど、僕がサラリーマン時代に稼いでいたお金よりも、今のほうがたくさん稼いでたりするんです。経費として使うお金も含めたらもっと多いわけで。

社会への経済効果としても、サラリーマン時代の僕より今のライターの仕事してる僕のほうがやっぱりいいわけじゃないですか。

僕だって元々はうだつの上がらないサラリーマンだったのが土俵を変えてみたら楽しくやれているように、ふわふわ層の皆さんもそれぞれ活躍できる土俵があったりするんじゃないかなと思ってます。それぞれ、そういうのが見つかるといいよねー、って。

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Kaori Sasagawa

ちょちょん、とやってからチャレンジする。

会社をやめて退路を断ってこそ本気になれるんだとか言う人がいますけど、本気のやつより、そもそもそれが好きなやつのほうが強いですから、絶対。

何かを好きなヤツと、それを一生懸命やってるヤツだったら、好きなヤツには勝てないんですよね。好きなヤツは"一生懸命ですらない"のが強みですから。「一生懸命派」の人が苦労して苦労して1年間頑張った事を、大して頑張ってるつもりもなく、「好き派」の人は楽しくやれちゃったりするわけで。

そういうのって、見つかってないだけでそれぞれにあるものなのかもしれないなって。

だからいきなり退路をたつのではなくて、「ちょんちょん」って行き先に足を少しだけのっけるんです。いきなり飛び乗ってそこが沈んじゃったら最悪じゃないですか。

サラリーマン辞めなくてもいい、っていうのはそこなんですよね。

「足先でちょんちょん」くらいのことでも、実践できてる人は、まだ「ふわふわ層」の20人に1人ぐらいなんじゃないかな。

そうやって「ふわふわ層」の人達が少しずつ変わって、生きがいみたいなものを見つけられると、もっとみんな楽しく過ごせるんじゃないかなーって。

「明日クビになっても大丈夫!」(幻冬舎)は全国の書店やAmazonなどで発売中。

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