「横浜って、言われてるほどゴミの分別、厳しくないんですけどねぇ」。
そう話してくれたのは、横浜市の資源環境局・3R推進課長の江口洋人さんだ。
切っても切り離せない「ゴミとのくらし」。何でもかんでも「楽に」燃やすのではなく、かかる費用と環境負荷のバランスを見ながら、最適なゴミの分別のあり方を探ってきたという横浜市。
3月6日から公式ホームページで公開している「イーオのゴミ分別案内」がネットで大きな話題を呼んでいる。ホームページの右下で小さくジャンプしている横浜市のキャラクター・イーオのアイコンを押すと会話がスタートできる。「これは何ゴミになるんだろう」というユーザーの質問に対して瞬時に分別の仕方を回答してくれるチャット機能だ。
NTTドコモが開発している人工知能「Repl-AI(レプルエーアイ)」とコラボして作ったサービスだという。
横浜市はこれまで、ごみの分別方法を検索できる仕組み「ミクショナリー」を提供してきた。それに加えて「LINEなどの会話形式のオンラインコミュニケーションに慣れ親しんだ人たちに、よりストレスフリーに問い合わせをして欲しい」という狙いで提供を開始したという。
3月6日から「実証実験」と称して公開しはじめたこの機能。
当初、6月末までを実験期間として予定していたが、予想以上の反響と利用数を受けて「回答の精度をより高めていくデータを集められそうだ」という判断で9月末まで公開を延長したという。
江口さんは「楽しく、らくに、ゴミの分別に興味を持っていただけたら嬉しい」と話した。
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早速「イーオ」使ってみよう。
■お役立ち篇✊
普段から悩んでしまう品目を入力すると...
また、分別が細かい品目に関しては、質問が分岐するようになっている。
意外な回答も...
江口さんによると、7月5日までの時点で最も入力の多いゴミは「自転車」、続いて「電池」だったという。
■暇つぶし篇😇
質問に対して、自動回答してくれる「イーオ」を使ってみると、ついつい関係ない質問や、意地悪な質問を投げかけたくなるのが人間の性分だ。
●「夫」を捨てたい。。。⇒しれっと逃げられる
●やっぱり「夫」を捨てたい⇒名言を引用される
●「妻」を捨てたい場合には、諭してくれない...?
しつこく打ち込むと、「夫」の時と同じ言葉をかけてくれました。
他にも「人生」「愛」などの言葉を入力すると、古典や偉人の言葉を引用し、哲学的な回答をくれるイーオ。
NTTドコモとの打合せの中で、イーオを楽しんで使ってもらうために、ゴミに関係ない言葉も入れておこうと決まったという。
当たり前だが、従来のゴミ分別検索エンジン「ミクショナリー」には搭載されていない品目だ。
最終的な応答の文言は、3R推進課の職員が考えたという。
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予想を大きく上回る反響に「ありがたい限りです」と語る江口さん。
「横浜って分別が大変だって有名だから、こういう機能も助かるんでしょうね」というハフポスト日本版の問いかけに対して、「いえいえ、全国の自治体の中では分別品目の数は真ん中くらいだと思いますよ」と前置きした上で「以前はもっと分別の種類や品目が少なかった(市民にとっては楽だった)のですが、2003年に打ち立てた『横浜G30プラン』で分別を厳しくしたんです」と話した。
環境への配慮、持続可能なゴミとの付き合い方を目指したこの施策は、ゴミの"総量"を大きく減らす結果につながった。
変更以前に燃えるゴミにされていたものが資源ゴミに分けられるようになったことと、そもそものゴミの"総量"が減ったことで、横浜市のゴミの焼却料は43.2%も削減されたという。
「分別のストレスでゴミが出にくくなったのだと思いますが、非常に好ましいことだと思います」と江口さん。
ゴミの分別でかかるストレスは地球に優しい。
ストレスフリーで問い合わせ可能な「イーオ」も、同じく地球に優しい。
ゴミが存在し続ける以上、どうしても市民にかかってしまうストレスを、乗りこなそうとする横浜市の挑戦がうかがえた。
「夫の捨て方」を聞いている場合じゃない...。