ヨガを小学校で教えるのは「宗教的だ」 アメリカで議論に

アメリカ中の学校で、ヨガを科目に取り入れる動きが出ている。
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Lotus position (Padmasana)
Julie Toy via Getty Images

アメリカ中の学校で、ヨガを科目に取り入れる動きが出ている。ヨガが生徒のストレスや不安を軽減する効果があると証明されているためだ。しかし、ジョージア州のある地域で、他宗教の文化であるヨガを学校教育に取り入れることに対して批判的な反応が起きた。

同州ケネソーにあるブラード小学校では、キリスト教徒の親たちがヒンドゥー教に起源があることに対して苦情を述べたため、ヨガの授業に一部変更を加える決定をした。

「学校にはお祈りの時間がありません。宣誓をしないところもあります。それなのに、イデオロギーを生徒に押し付けています」と母親の1人は、地元メディア11アライブに対して述べた。「それらのいくつかは宗教活動で、学校で子供たちにして欲しくはありません」

学校はヨガの授業を中止するまでには至っていないが、同校の校長のパトリス・ムーア氏が直々に親たちに謝罪の手紙を送り、授業の内容を修正することを誓うという騒ぎに発展した。

11アライブによれば、校長は手紙の中で「授業でヨガの動きをするとき、生徒には『ナマステ』という言葉は使わせず、また、胸の前で手を合わせる動作もさせません」と書いたという。「また、休憩として取り入れる『塗り絵』をするときは、マンダラの描かれたページは使用しません」とも書いた。

「ナマステ」という言葉と、それに伴って手を胸の前で組む行為は、インドでは典型的なあいさつとして用いられている。

文字通りには「あなたにお辞儀をする」といった意味であるとされるが、「私の中の光があなたの中の光を見る」「私の内なる神があなたの内なる神に挨拶をする」「あなたの霊を敬い、私の霊も敬う」など、翻訳によってはいろいろな解釈がなされる。

例えば、ヨガの情報サイト、ヨガ・ジャーナルでは「ナマステの動作は信条を表現しており、私たちそれぞれの内に神性の火花があり、それは心のチャクラの中に位置しています」と説明されている。「この動作はある魂が別の魂に承認されることを意味しています」

同校の近隣地域で働いているあるヨガのインストラクターは、ヨガは信仰の表明ではなく、落ち着きを維持し、リラックスするための道具だと話す。

グラウンデッド・キッズ・ヨガのインストラクター、シェリル・クロフォード氏はに「ヨガは、子供たちに自分の呼吸パターンや傾向、癖などを自覚させる方法です」と語った

「子供たちは外のことにはよく注目しているのですが、内面に対してはそうではありません。ヨガは不安な時、助けとなります。そして、不安な気持ちをの何かに向けられるようにしてくれます」

クロフォード氏はまた、学校で精神的な問題やいじめ、悩みを抱えている子供に対してもヨガは効果があると述べた。

ヨガの効果はアメリカで広く認知されている。国民健康調査によると、2100万人以上の成人と170万人の子供が現在、ヨガを取り入れてという。しかし、ヨガは多くのキリスト教徒、特に原理主義者たちにとっては「宗教的でない」とは言い切れないようだ。

キリスト教護教学研究省のジェレミー・バトラー氏は「キリスト教では、私たちは神とその言葉にのみ瞑想します」と述べた。「自己に注目し、心を浄化することはありません。聖書は心を自由にする処方箋を私たちに与えてはいません」

キリスト教徒であっても、ヨガに問題はないとする意見もある。

キリスト教のサイト「カトリック・アンサーズ」のミッシェル・アーノルド氏は「精神的な道として、ヨガはキリスト教の精神と相容れるものではありあません。しかし、精神的な面や瞑想といった面を、ヨガのポーズや呼吸法と切り離せるのなら、そうしたポーズやテクニックを健康促進のために使えるかもしれません」と述べた。

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。