山本太郎氏「67万人と約束したので辞めない」 会見で議員辞職を否定【発言全文】

山本太郎参議院議員が11月5日に記者会見を開き、10月31日の園遊会で天皇陛下に手紙を手渡した問題について「自分自身で職を辞することはない」として議員辞職を否定した。
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参院議員の山本太郎氏が11月5日に記者会見を開き、10月31日の園遊会で天皇陛下に手紙を手渡した問題について「自分自身で職を辞することはない」と議員辞職を否定した。ただし、秋の園遊会という公的な場所で手紙を渡したことで大きな騒動になったことについては、「園遊会という場に対しての僕自身の認識が足りなかった」と反省の弁を述べた。同日の参議院の岩城光英・議院運営委員長の事情聴取後に会見を開いた。

ニコニコ生放送の中継によると、山本太郎氏の会見での全文は以下の通り。

■山本太郎氏からの冒頭のあいさつ

どうもお疲れ様です。今ですね、議運(議院運営委員会)の方、さきほどですか、お話がありまして、今月の8日までに自分で、自分自身の進退を明らかにするようにというお言葉を頂きました。

「8日までこれは、待つ必要はあるんでしょうか。すぐにお答えしてもいいものなんでしょうか」とお伺いしましたところ、「今日でも問題ない」ということを言っていただきまして、僕が言った言葉は「自分自身で職を辞することはない」と。

(参院選で一票を入れてくれた)67万人近くの方々と約束したことがありますので。そのことをまだ達成できてない。僕には67万人近くの方々と約束したことがあるので、今、職を辞する訳にはいかない。

で、今回のことなんですけれども、僕が陛下に手紙をお渡しすることによって、このような大きな騒ぎになってしまった。その中で僕が一番猛省しなければならないことは、陛下の御宸襟を悩ませることになってしまった。

そのことについて猛省する必要があると思います。そして、今も猛省してる最中であります。なにより、園遊会という場に対しての僕自身の認識といいますか、思慮深さっていう部分において、足りない部分があったのかと思います、ということをお伝えしました。そのような状況をたくさんの方々、議員の先輩の方々であったりとか、いろいろな方々から教えていただきました。

まあ、あの……国権の最高機関、その一員である、というもっともっと強い認識が自分自身の中に必要であるとともに、今こうやってしゃべっているこの瞬間にも被曝され続けている子供たちがいて、それだけではなく、安全ではない食品の安全基準、これによって日本中が被曝させられているような事態が今、進行している。

それだけじゃなく、今、僕達がこの場でこういう風にしゃべっていられるのも、収束作業に命を削りながら、劣悪な労働環境の中で、搾取されている収束作業員のみなさんがいていただけるおかげだと。でもこの全てを秘密にできてしまう、そして僕達の人間としての尊厳を奪ってしまう、特定秘密保護法案。このことに関しても、全力で、自分自身立ち向かっていかなきゃいけない、ということを新たにしました。

■記者団との質疑応答

以下は記者2人からの質問に山本氏が答えた内容。約15分たったところで「次の予定がありまして」という司会者の説明によって、会見は打ち切られた。

――今、福島の人にどういうことを言いたいですか?

山本氏:まず言いたいことは、東京電力のために、本当につらい立場に置くような状況になってしまって、不条理を押し付けるような形になってしまって、申し訳ありません、と。その東京が被曝という事実を隠して、そして嘘まで付いて、オリンピックっていうものを誘致すると、そして実際に復興支援をその部分に割かれるはずのお金が全然関係ないところに使われていると。この国は、本当に東北を福島だけではなく東北も、そしてこの国に住む人々を守る気があるのかと、そのような局面だと思うんです今。

なによりも、この原発事故による不条理というものを一気に押し付けられた、汚染は福島にしか存在しないような政府発表、そして報道姿勢。福島だけではない。福島には3カ所ありますよね。浜通り、中通り、会津。会津地方は東京よりも線量が低い場所だってある。どうして福島という一カ所だけに、その汚染というものを……ものだけでなく、その、感覚として押し付けるのかと。東京にだってホットスポットはあるよ。今もその中で声を上げられないお母さんたちがどうやって子供を守るのかということで闘ってるよって。

まあ、なんといいますか、今、本当に、福島はもちろんのことですけど、福島の人々に押し付けられた不条理というものをこの国全体で立ち向かっていかないことには、必ず、福島の東電原発との距離がいくらあろうとも、すべての人が有事には……(長い沈黙)……ま、違いますね。切り捨てられたのは福島だけじゃないんですよね。すべての、この国に住むすべての人が切り捨てられたという現状があります。本当に。同じこの国に住むものとして、日本人として、この不条理に対しては絶対的に反対していきながら、そして少しでも、本当の意味で寄り添う。言葉だけの復興じゃなく、言葉だけの応援ではなく、本当の意味での、根本の命を守るっていう意味での変革っていうものが、今政治の中に必要なんだ。そういう部分、そういう思い、余ったのが今回のことにつながってしまった部分があると思うんですけれども。

――園遊会でのパフォーマンス、天皇の政治利用ということに関しては?

山本氏:まあ自分の想像力のなさといいますか、ここまで長期間に渡って、あの……たくさんのバッシングを受けたり励ましの言葉を頂いたり、ということになるとは思わなかった、という部分が、本当に浅はかな部分だなと思います。でも本当に、今自分が国会議員になって3カ月、本当にいますぐにやりたいこと、命を守るためにすぐにでも始めないといけないこと、予防原則に則って、やらなきゃいけないことになかなか変化がもたらせない。そのはがゆさ、焦り、そのようなものが……自分自身を動かしたのかなと思います。

――陛下に具体的に何をしてもらおうかと思ったのか?

山本氏:陛下に対してしたためさせていただいたお手紙、その内容については、本当に今、東日本全域に広がるこの汚染、全て均一ではないです。まだら状に広がっています。この状況下から健康被害というものが報告されている中で、今、手をうたないとまずいことになってしまうという現状をお伝えしたかった。それだけじゃなく、収束作業員の方々が本当に、搾取されながら、命削りながら、僕達のために働いてくださっていること、まあ自分自身、下請けの方々だったりとか、下請けの社長さんだったりそういう方々から直接、お話を伺う機会があったので、その実情を知っていただきたい。

まあ、もちろん、政治というものに対しての、あの……介入するような、あの……ポジションにはいらっしゃらない、ということはあの……存じ上げてます。あの……天皇っていうんですか。でも、自分自身の今知っていることを、ぜひ知っていただきたいと。もちろん、その、お手紙をお渡しする前にも、陛下が東北、そして福島に自ら足をお運びになって、いろいろな方々と寄り添っている姿というのはもう十二分に知っていました。でも直接の現場の声というものは……ひょっとしたら、お知りにならないかもしれない。そういう部分もあったかもしれないです。その部分をぜひ、知っていただきたいという思いですね。

で、今日の内閣委員会なんですけれども、あまりにもバタバタとしておりまして、間違えて、秘書のブレザーを着て行ってしまったんですね。すみません……。で、質問のまえにあーってこう、軽くちょっと背筋を伸ばした時に「アレ、まったく違和感がない」というか。バッジが付いてなかったんですよね。何か、皆さんの中では何か意味合いがあることなのかなと思われたのかもしれないですけれども。急ぎすぎていて秘書のジャケットを着てきてしまった、というだけです。

――知っていただいた上で、陛下に何をしていただきたかったのか?

山本氏:もちろん先程も申しましたとおり、その政治に対して、何かの権限をお持ちになるわけではないということは存じ上げていましたので、この現状、もちろん、聡明で博識な方だということはもういろんな方からお伺いしているのでわかっていることなんですけど、自分自身が知っていることを陛下に知っていただきたい、という思いでした。

※初出時、「陛下のご親近を悩ませること」と表記しておりましたが、「陛下の御宸襟を悩ませること」の誤りでした。お詫びし、訂正いたします。(11/06 10:18)

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