「闇落ちとまと」って何? 出荷できない変色トマトに命名したら直売所で大人気に

まさに逆転の発想。「絶妙なネーミングセンス」「闇落ちして敬遠されるのに実は甘いって、キャラとして良すぎる」と称賛の声が挙がっています。
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曽我農園の公式Twitterで紹介された「闇落ちとまと」
Twitter/pasmal0220

トマトでよく見られる「尻腐れ」。果実の一部が黒く変色してしまう症状で知られている。味は問題ないのに見た目が悪いため、一般には流通していない。しかし、それではもったいない。あるトマト農園が、一計を案じて「闇落ちとまと」の名前で売り出したところ人気商品となった。ピンチをチャンスに変えた試みが、SNS上で話題になっている。

■「暗黒面に落ちたアナキン・スカイウォーカーみたいでかわいそうですよね!」と命名

新潟市にある曽我農園の公式Twitterは5月22日、「尻腐れ」のフルーツトマトを「闇落ちとまと」と命名したところ人気商品になったと写真付きでツイートした。農園内にある直売所で絶賛販売中だという。

 

 

直売所に掲示された案内には「トマトを甘くするために水やりを少なくすると必ずでます。大変甘いのですが見た目が怖いので敬遠されてきました」と解説。SF映画『スター・ウォーズ』の登場人物になぞらえて「並外れた資質を持ちながら暗黒面に落ちたアナキン・スカイウォーカーみたいでかわいそうですよね!」とイラスト付きで書かれている。

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曽我農園の公式Twitterで紹介された「闇落ちとまと」
Twitter/pasmal0220
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曽我農園の公式Twitterが紹介した「闇落ちとまと」の案内
Twitter/pasmal0220

補足するツイートで「黒い部分は切り落として食べてください!フルーツトマトの闇落ち(尻腐れ)は高密度で甘いです!」と食べ方を説明してる。

「闇落ちとまと」のツイートは投稿から6時間ほどで5万回以上もリツイートされ、大きな反響を呼んだ。「絶妙なネーミングセンス」「食べてみたい」「闇落ちして敬遠されるのに実は甘いって、キャラとして良すぎる」「ソースと共にあらんことを」などの反応が出ている。 

ハフポスト日本版では、曽我農園を営む曽我新一さんに取材した。実は、この「闇落ちとまと」は「コロナ禍で商品が売れなくなり原料がだぶついてしまった」ことが商品化のきっかけだったという。

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黒く変色した部分をカットした「闇落ちとまと」(曽我農園の公式Twitterより)
Twitter/pasmal0220

  

■曽我農園の曽我新一さんとの一問一答

 

—— 「闇落ちとまと」はどんな味ですか?

濃厚で甘みが強いです。 

 

—— 曽我農園では「尻腐れ」のトマトはよく出るのでしょうか?

よくでます。フルーツトマト(甘いトマト)を作ろうとすると必ず出てしまう宿命のような生理障害です。

 

——これまで「尻腐れ」のトマトはどうしてきましたか?

地元の農家さんは近所にあげたり捨てたりしていますが、当農園ではフルーツトマトジュースやフルーツトマトケチャップの原料として使用してきました。

 

——「尻腐れ」のトマトは病気ではないけど、見た目の問題から一般的には流通していないということでいいでしょうか?

はい。これは生理障害です。病気ではありませんが見た目が腐っているようにみえるので市場には流通しません。あっても直売所の「道の駅」の産直市場みたいなところにしかないと思います。

 

——「闇落ちとまと」として直売所で販売した経緯は何でしょう?

加工品の原料として使用してきたことは前述しましたが、2020年からのコロナ禍で商品が売れなくなり原料がだぶついてしまったため、闇落ちトマトとして販売しました。

 

——「闇落ちとまと」の販売はいつから始まりましたか?

2020年6月後半から約2週間ほどです。そこでフルーツトマトのシーズンが終わってしまいました。販売期間は短かったのですが好評だったので、今年も始めました。

 

——「闇落ちとまと」は直売所で人気商品になったということですが、どんな声がありましたか?

「めちゃくちゃ甘い!」とか「これしか食えない」とか「トマトが食べられるようになった!」とか「子どもの舌が贅沢になってこまる」とかでしょうか。

 

—— 今回のTwitter投稿で投稿から3時間足らずで約3万回リツイートされるなど大変な反響を呼んでいます。どう感じていますか?

びっくりしました。怖いです。

 

—— 「闇おちとまと」を今後、ネット販売する考えはありますか?

 たぶんトラブルになるのでしないと思います。直売所では生産者の私自身が対面で説明するのでしっかりと理解してもらえるので販売できます。黒い部分を削って食べるとか常温で赤くするともっと甘くなるとか状況に応じてお客さんに説明する必要があります。インターネット販売ではそれが難しくトラブルになるリスクが高いです。

 

■曽我農園直売所の詳細

 

住所:新潟県新潟市北区木崎1799

開店時間:平日は9時~12時、土日は9時~15時(水曜定休)

電話番号:025-311-7729

(受付は9時~12時、畑仕事で忙しい場合電話対応ができない場合あり)