学校を出たら、就職し、3年で結婚し、子どもは3人。マイホーム。家にはピアノ――。今の20-30代の親世代が子どもだった時代、ピアノは習い事の定番のひとつだった。
ライフスタイルや習い事が多様化する昨今、「音楽教室」はどのようなニーズにどう応え、価値を生み出しているのか。ヤマハミュージックジャパンに聞いた。
――昨今の音楽教室は、どのような状況でしょうか?
私たちには60年間かけて築いてきたメソッドがありますが、絶えず時代の変化に耳を傾けていかねばらないと考えています。その一つが夫婦共働き増加です。
昔は、専業主婦の方も多くいらっしゃって、平日に子どもさんを音楽教室に送り迎えすることは比較的難しくない家庭が多かったのですが、共働き世帯が半数を超える今、世の多くのお母さんは働いています。一般的に、4歳、5歳となれば、朝、保育園に送って、夜、迎えに行き、家に帰ってお風呂に入れ、寝かしつける、それで精一杯という方も多いのが実状なのではないでしょうか。
共働きによって忙しい親が増えてきている中、ヤマハ音楽教室の特徴のひとつである「保護者同伴」は、親にとって負担になるのでは?という意見も聞こえてきています。
――では、ヤマハ音楽教室では、なぜ今でも「保護者同伴」にこだわっているのでしょう?
音楽教室に通うことで、音楽的な能力が身につく。それはもちろん大事です。加えて、ヤマハが大切にしているのは音楽を心から楽しめること、そして音楽で人とつながる心です。幼児期の子どもがのびのびと、積極的にレッスンに参加するためには、保護者の方の存在がとても大きいものです。親子で一緒に音楽を楽しむ経験は、子どもにとって大きな喜びとなります。それだけでなく、同伴されるご両親にとっても、親子一緒のレッスンは価値のあるものになると考えています。
教室普及部 部長 串田厚司さん
――子どもはもちろん、親にとっても良い経験ができる場になっているということでしょうか?
はい。たとえば日曜にレッスンに参加している保護者からは「平日は仕事と子育てで精一杯。だけど、休日に子どもと音楽教室に通って、一緒に歌うのがすごく張り合いになっています」とおっしゃっていただいています。実際、市場調査をしてみると、親子一緒のレッスンを負担に感じる割合は共働き世帯のほうが少ない、という結果が出ました。
「習い事の最中は、子どもと離れていたい」という方も一定数はいらっしゃると思います。ですが、共働きの家庭が増えてきた背景もあり、「普段、子供だけを見ていられる時間が少ない」という思いから、触れ合いを持つ大切な時間を過ごす場として、ヤマハ音楽教室に価値を見出してくださっている方も増えていると感じています。また、音楽教室に来て親子で同じ体験をすることで家庭での共通の会話が増えたという声も、多くの保護者から頂いております。
ヤマハ音楽教室は今まで大半の教室で日曜日を休みにしていたのですが、共働きで忙しいご両親が、時間が取れるのはほとんどが土日です。
土曜日だけでなく日曜日も来ていただけるようにしよう、親子の時間を大切にしてもらおうという思いから、日曜にレッスンに通える教室を拡大させています。
教室普及部 桐野瑶子さん
――昔と今と、変わったところはありますか?
土日のレッスンで、お父さんが一緒にレッスンを受ける姿もよく見られるようになりましたね。お母さんよりもさらに、接する時間が短くなりがちですから、「ふたりっきりだと何を話していいかわからなくなってしまう時もあるけど、音楽教室だと一緒に楽しめる」というお父さんの話も聞きます。
あとは、兄弟・姉妹がいる家庭だと、実は親がひとりの子どもと一対一で向き合う機会が意外と少ないといいます。ヤマハ音楽教室の時間は親子の大切な一対一の時間と捉えて頂いている方も増えていると思います。
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「家事をしながら」でもなく、「仕事をしながら」でもなく、「スマホを見ながら」でもなく。ただ、子どもと向き合う。リラックスした環境で。メロディとリズムとハーモニーのある場所で。
※音楽教室に通う実際の親子が出演する動画はこちら
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