中国共産党の重要会議「第18期中央委員会第6回全体会議(6中全会)」が4日間の日程を終えて、10月27日に閉幕した。会議で採択されたコミュニケでは、習近平国家主席を「党中央の核心」と位置付けた。コミュニケは人民日報系のニュースサイト「人民網」などで発表された。
中国共産党「6中全会」、中央が習近平国家主席 2016年10月27日
コミュニケでは、習氏が「率先して党の管理強化を全面的に推し進め、党内政治を浄化し、民心を獲得した」として、厳しい汚職摘発が「民心を勝ち取った」と評価。習氏の指導力をアピールするものとなった。
これまで中国共産党において、最高指導者を「核心」と呼ぶ表現は毛沢東、鄧小平、江沢民の3氏にしか用いられていない。前国家主席の胡錦濤氏の時代は集団指導体制を重んじていたこともあり、「核心」という表現は使われなかった。
歴代の最高指導者。左から毛沢東、鄧小平、江沢民、胡錦濤の4氏
党中央機関の決定を経て「核心」となったことで、習氏への権力集中がさらに進んだことになる。2017年秋には指導部メンバーの大幅な交代が予想される党大会を控えており、人事でも強い主導権を握ることになるとみられる。
■「個人崇拝」批判に配慮? 集団指導体制を強調
習近平氏への権力集中は、毛沢東の個人崇拝が推められた文化大革命の頃の空気に似ていると懸念する声も出ている。
こうした声に配慮してか、コミュニケでは集団指導体制を堅持する方針を強調。集団指導体制は、「常に守られるべきで、いかなる状況、または理由においても、どのような組織や個人によっても破られるべきではない」としている。
ただ、中国国内では習氏の個人崇拝を思わせる場面が見られるのも確かだ。
2016年は「文化大革命」から50年となる節目の年だが、5月にはアイドルが北京の人民大会堂で、文化大革命の頃の歌を披露。習近平国家主席を礼賛し話題となった。
文化大革命で「毛沢東語録」を掲げ、デモ行進する「紅衛兵」たち(1966年06月01日)
ロイターによると、コミュニケでは「党内政治生活に関する規則」についても変更を発表したが、詳細には言及していない。この規則は個人崇拝を禁止するもので、毛沢東の指揮下で混乱に陥った文化大革命への反省から1980年に制定された。
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