ワールドカップ開幕戦主審に選ばれた西村雄一さんってどんな人?

国際サッカー連盟(FIFA)は6月10日、12日に行われるワールドカップ(W杯)ブラジル大会の開幕戦、ブラジル―クロアチア戦で西村雄一さん(42)を主審、相楽亨さん(37)と名木利幸さん(42)を副審に選んだと発表した。日本人の審判が開幕戦に起用されるのは初めて。
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RECIFE, BRAZIL - JUNE 16: Referee Yuichi Nishimura gestures during the FIFA Confederations Cup Brazil 2013 Group B match between Spain and Uruguay at the Arena Pernambuco on June 16, 2013 in Recife, Brazil. (Photo by Miguel Tovar/Getty Images)
Miguel Tovar via Getty Images

国際サッカー連盟(FIFA)は6月10日、12日に行われるワールドカップ(W杯)ブラジル大会の開幕戦、ブラジル―クロアチア戦で西村雄一さん(42)を主審、相楽亨さん(37)と名木利幸さん(42)を副審に選んだと発表した。日本人の審判が開幕戦に起用されるのは初めて。朝日新聞デジタルなどが報じた。

西村氏は04年から国際主審。07年と11年にはアジア杯、12年にはロンドン五輪で審判を務めるなど国際経験が豊富。前回W杯では、準々決勝ブラジル―オランダ戦など4試合で主審を務め、決勝では第4の審判として判定に関わった。昨年6月、ブラジルで開かれたリハーサルの大会コンフェデレーションズ杯でも主審を務めた経験を持つ。

FIFA公式ホームページでW杯に向け「多くの人が準備を支えてくれた。毎試合、キックオフの笛に感謝の気持ちを込めたい」とコメントしている。

(朝日新聞デジタル「W杯開幕戦の主審に西村さんら 日本人で初 - 2014ワールドカップ」より 2014/06/11 10:25)

選手同様に審判にとってもW杯は実力を試される大会だ。W杯審判になるには、まずアジアのレベルの高い国際試合で腕前を認められ、アジアサッカー連盟(AFC)がFIFAに推薦する必要がある。

■高校時代の出来事がきっかけに

西村さんは2010年大会の準々決勝、オランダ─ブラジル戦で主審を務め、ブラジルのフェリペメロにレッドカードを出した。ブラジルはこの試合に1─2で敗れ、6回目の優勝への道が閉ざされた。このジャッジで一躍、W杯での「主役」になった。

朝日新聞GLOBEなどによると、西村さんは1972年、東京都出身。小学校時代に駒沢サッカークラブジュニアユースでサッカーを始め、プロになることを目標としていた。

サッカー審判を目指したきっかけは、東京都立新宿高校に通っていた時の出来事だった。指導をしていた少年チームが、審判の判定ミスで試合に負けて悲しむ姿を目のあたりにした。「子供たちの夢を壊さないようにしたい」と思い、独学で審判の勉強を開始。1990年に4級審判員資格を取得した。

1994年に日本電子工学院専門学校(現・日本工学院専門学校)を卒業。オフィス機器販売・メンテナンス会社「ボナファイド」に就職し、サラリーマン生活を送りながらアマチュアの試合で審判を続け、1999年に1級審判員として登録された。

2004年、サッカー協会からスペシャルレフェリー(SR、現プロフェッショナルレフェリー)に誘われ、Jリーグや国際試合の審判員として活躍。サッカー協会には20万人のサッカー審判員が登録されているが、このうちJリーグやJFLで笛を吹くことができる1級審判は150人。代表チームどうしの試合を裁く国際主審ともなると、わずか7人しかいない。西村さんはSRになった年、その1人に抜擢された。2012年には、アジア・サッカー連盟(AFC)の年間最優秀レフェリーを受賞した。

西村さんの何が優れているのか。朝日新聞GLOBEは2010年9月に掲載された西村さんを紹介する記事で、次のように伝えている。

FIFA審判委員の上川は、180センチを超える体格と、試合の最後まで動ける持久力を挙げる。そのおかげでポジショニングがうまく、反則につながりやすい競り合いを近くで見ることができているという。

サッカー協会審判委員長の松崎は「選手と会話をしようという姿勢がある」と評価する。確かに、取材後にも必ず笑顔で握手を求める。営業マン時代に培ってきたコミュニケーション能力が、ピッチの上でも生きているのだろう。

(朝日新聞GLOBE「Breakthrough -- 突破する力 西村雄一」より)

西村さんはFIFAのホームページで、W杯開催を前に「私の挑戦は続いている」と話している。

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