今年の世界の年平均気温が、1891年に統計を取り始めて以来の最高になるという見通しを気象庁が明らかにした。日本は統計開始以来、4番目に高い値になる見込みという。
気象庁は21日、今年1~11月の観測データを基に速報値を発表した。今年の世界年平均気温偏差は、プラス0.4度となった。世界年平均気温偏差は、1981~2010年の30年間平均値を基準値とし、年平均との差を示す値。統計を始めた1891年以降でこれまで最も高い値は昨年のプラス0.27度で、今年はこの値を更新する見通しとなった。
地域別で見ると、北米北東部から北大西洋にかけての一部地域などで低温となったが、ユーラシア大陸、太平洋北部と熱帯域、インド洋など広い範囲で顕著な高温となっている。季節別では春(3~5月)、夏(6~8月)、秋(9~11月)の平均気温偏差が統計を開始して以降で最も高い値となった。
日本の年平均気温偏差(基準値は1981~2010年の30年平均値)は、プラス0.63度で、1898年に統計を取り出して以降、4番目の高い値となる。
高温の年が近年頻出している要因としては、二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの増加に伴う地球温暖化と、数年~数十年の時間規模で繰り返される自然変動の影響が考えられ、今年の世界の年平均気温が高くなった要因の一つに、2014年夏から続いていたエルニーニョ現象が15年春以降さらに発達したことが挙げられる、と気象庁は言っている。
【関連リンク】
・気象庁プレスリリース「世界の年平均気温がこれまでの最高値を更新 ~2015年(平成27年)の世界と日本の年平均気温(速報)~」
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・2015年10月21日ニュース「新目標でも気温上昇2度未満は困難 OECDが報告書」
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