ヒーローは男性だけじゃない。「ワンダーウーマン」が子どもたちをこう魅了した

ある女の子は、「ワンダーウーマン」と呼びかけるまで、全く返事をしてくれなかった。
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Mario Anzuoni / Reuters
REUTERS/Mario Anzuoni

アメリカで大ヒットした映画「ワンダーウーマン」が、日本でも8月25日に公開された。

強くたくましい女性ヒーローの活躍を描いていることから、「ヒーローといえば男性」という固定観念を破る映画、と大きな注目を集めている。

女性のスーパーヒーローは、子供たちにとっても刺激になっている。日本より3カ月早く公開したアメリカで、同作の監督パティ・ジェンキンスが投稿したツイートが話題になった。

ジェンキンスは6月11日、幼稚園で働くある人物がまとめた「ワンダーウーマンが公開されて一週間以内に幼稚園で起きた出来事」リストをツイートした。

「プロデューサーが、これを私に送ってくれました。これ、本当にすごい。読むだけで一日が明るくなる。これを作って下さった方、本当にありがとうございます!!」

リストに書かれていたのは、以下のような出来事。

  • 月曜日、アイアンマンに夢中だった男の子が「両親に新しいワンダー・ウーマンのお弁当箱を買って欲しいとお願いした」と話してくれた。
  • ある女の子は「大きくなったら、ダイアナみたいに色んな言葉を話せるようになるんだ」と話してくれた。
  • この女の子は、両親が計画していた「美女と野獣」をテーマにした誕生日パーティーを、3日で「ワンダーウーマン」のパーティーに変更した。
  • 火曜日、休み時間に遊んでいた7人の女の子たちが、全員ワンダーウーマンになりたがっていた。結局、みんなアマゾン族(ワンダーウーマンにでてくる女性の一族)になって、喧嘩せずに、協力して悪に立ち向かうことにした。
  • ある女の子は、「ワンダーウーマン」と呼びかけるまで、全く返事をしてくれなかった。
  • 別の女の子は先生に、「世界を救わなければいけない場合に備えて」、制服の代わりにワンダーウーマンの格好をしてきてもいいかと本気で尋ねた。先生が笑いながら「いいよ」と言うと、次の日女の子は、ワンダーウーマンの格好で登園した。周りの子たちは、彼女を当たり前の様に受け入れていた。
  • 男の子が怒ってプラスチックの車のおもちゃを放り投げたら、それを見ていた女の子がびっくりして「映画の中と同じね」と言った。
  • 飴の包み紙を床に捨てる男の子を見た5歳の女の子は、「汚さないでよ、この馬鹿者。これだからセミスキラ(ワンダーウーマンに出てくる都市)には男の人がいないんだ」と言った。
  • 水曜日、一人の女の子が「女性のスーパーヒーローと、そのヒーローが使える力」をまとめたリストを作ってきた。休み時間にどの役をやるのかで喧嘩にならないようにするためだ。
  • ワンダー・ウーマンを観ていない女の子に映画の話をしたら、次の日にその子がやってきて「言っていた通りだった。『ワンダー・ウーマン』は『アナと雪の女王』よりずっとよかった」と真剣な顔で語った。

リストを作った人物は最後に、「この女の子や男の子たちの人生観や世界観が1週間で大きく変わったのだとしたら、ワンダーウーマンのような映画が増えたら将来の世代がどう変わるのでしょう。そんなことを考えさせてくれるエピソードです」と綴っている。

スーパーマンやスパイダーマン、バットマン、アイアンマン......。子供たちが憧れる「スーパーヒーロー」はこれまで男性中心だった。

アメリカの映画批評サイト「Rotten Tomatoes」が選ぶ「ベスト・スーパーヒーロー映画」に選ばれているヒーローたちも、ほとんどが男性だ。

「大きくなったら◯◯になりたい」。幼い頃にみた映画やテレビ、本はその後の人生を考える上で、大きな影響力がある。

ワンダーウーマンのような「強くかっこいい女性」が、当たり前になった世の中では、女性も男性も、今よりもっと自由に生きられるようになるかもしれない。

ワンダーウーマンは、日本の子供たちにどんな気持ちで受け止められるのか楽しみだ。

カナダでも......。ワンダーウーマンの格好をしてレインボーパレードに参加した女の子がトルドー首相とハイタッチ。