カナダのサッカーキャプテン、負けたアメリカの選手を抱擁し慰める【東京オリンピック】

クリスティン・シンクレア選手が教えてくれる、勝者の品格や寛容さとは何かということ
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それは、世界ランキング1位のアメリカ代表チームにとって、予想していなかった敗戦だったかも知れない。

そして同8位のカナダ代表チームにとっては、20年待ち続けてきた勝利になった。

8月2日にカシマスタジアムで行われた東京オリンピック女子サッカー準決勝で、カナダがアメリカに1-0で勝利した。 

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アメリカ代表チームに勝利し、喜ぶカナダ代表の選手たち
Atsushi Tomura via Getty Images

終了を告げるホイッスルが鳴った途端、カナダ選手は喜びの叫び声をあげて抱き合った。その一方で、アメリカチームの中には、頭を抱えて立ち上がれなくなる選手もいた。

チームメートが喜びを爆発させる中、負けたアメリカチームの選手の元へ向かった選手がいる。

カナダのキャプテンのクリスティン・シンクレア選手だ。

シンクレア選手はアメリカのリンジー・ホラン選手に歩み寄り、落ち込むホラン選手を抱きしめ、励ました。

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ホラン選手を慰めるシンクレア選手
MARTIN BERNETTI via Getty Images

シンクレア選手とホラン選手は、アメリカのプロサッカーチーム、ポートランド・ソーンズのチームメイトで、シンクレア選手は同チームのキャプテンでもある。

国際試合では対戦相手となった2人だったが、勝者のシンクレア選手が敗者のホラン選手を慰め、励ます姿に「寛大さや品格を示している」といった声がSNSに投稿された。

サッカー界のレジェンド、シンクレア選手 

CBCによると、女子サッカーカナダ代表チームは2001年3月のアルガルヴェカップを最後に、アメリカ代表チームに勝っていなかった。

それだけにミーガン・ラピノー選手やカーリ・ロイド選手などのスター選手を擁するアメリカチームに勝利したことは、カナダチームにとって大きな喜びとなったはずだ。

また、サッカー界のレジェンドで、カナダで最も成功したサッカー選手とも言われているシンクレア選手にとっても、キャリア初の金メダルを手にするチャンスが生まれた。

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東京オリンピック準決勝、対アメリカ戦でプレーするシンクレア選手(左)
Naomi Baker via Getty Images

シンクレア選手は2015年、CONCACAF女子オリンピック予選で185得点目のゴールを決めて、男女を通じ代表選の最多ゴール記録保持者になった

また、7月21日に札幌ドームで行なわれた対日本戦では187得点目のゴールを決め、記録を伸ばしている。

シンクレア選手はこれまでに、ワールドカップに5回、オリンピックは3回出場している。ロンドン大会とリオ大会でそれぞれ銅メダルを獲得したが、金メダルはまだない。

初のオリンピック金メダルをかけ、カナダは8月6日の決勝戦でスウェーデンと対戦する。敗れたアメリカは、銅メダルをかけて、8月5日にオーストラリアとの3位決定戦に臨む。