安倍首相、「リーマン・ブラザーズ」の名前が違っていたら会社は続いていたと指摘【争点:ウーマノミクス】

安倍首相が2008年に破綻した「リーマン・ブラザーズ」について、名前が違っていたら会社は続いていたかもしれないとの認識を示した。
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首相官邸

安倍首相が2008年に破綻した「リーマン・ブラザーズ」について、名前が違っていたら会社は続いていたかもしれないとの認識を示した。

安倍首相は12月6日、都内で開催された「日本女性エグゼクティブ協会」の発会式で講演。今年9月にハフィントン・ポストのチェアマン・プレジデント兼編集長であるアリアナ・ハフィントンらと、女性の社会進出について議論したことを紹介し、女性が経営陣にいる企業は潰れにくいという考えを次のように述べた。

ハフィントン・ポストで有名な、アリアナ・ハフィントンさんは、この9月にもニューヨークでお目にかかりましたが、ハフィントンさんが、かつてこう語ったと言います。「もし、リーマンブラザーズが、リーマンブラザーズ&シスターズだったら、今も隆々と仕事を続けているのではないか」ということであります。

(首相官邸 総理の一日「平成25年12月6日 日本女性エグゼクティブ協会発会式」より 2013/12/6)

安倍首相は講演の中で「女性取締役が3人以上いる企業は、そうでない企業に比べて業績がいい」とする海外の調査結果にもふれ、女性の登用は社会政策ではなく、成長戦略の一環であることを強調した。

女性リーダーの経営能力の高さは、データからも裏付けされています。イギリス・リーズ大学によると、1万7千社を対象とした調査では、女性役員が1人以上いる企業では、女性役員のいない企業と比べて、破たんする確率を20%減らすことができるということであります。米倉会長もいま真剣に聞いておられましたが、3人いれば全く問題ないということだと思います。

 

もうお分かりいただけると思いますが、これは社会政策ではありません。企業の更なる発展と、日本の経済の成長のために不可欠だと信じている。「女性の活躍」は、私の成長戦略の中核でもあります。

 

米倉会長、いま3人女性の役員がいるという風におっしゃられたわけでありますが、経済界の意識も、確実に変わりつつあるわけであります。今年は、多くの上場企業で、初の女性取締役が誕生したとも聞いております。この動きを、単なる「流行」に終わらせてはならないと思います。

 

(首相官邸 総理の一日「平成25年12月6日 日本女性エグゼクティブ協会発会式」より 2013/12/6)

安倍首相が成長戦略に女性の活躍推進を盛り込んだことは、海外から評価が高い。安倍首相は10月にも、アメリカの次期大統領候補の一人でもあるヒラリー・クリントン前国務長官から、女性の活躍推進政策に関する手紙を受け取っている。

手紙は1日付で、首相が9月にニューヨークの国連総会演説で「紛争下の地域、貧困に悩む国々でも女性が輝く社会をもたらしたい」と訴えたことや、米紙への寄稿で「日本女性という最も活用されていない資源をさらに開発」と主張したことを高く評価した。

 

また、「この課題に対する首相の支持について長く注目してきた」「女性による貢献で、日本経済が繁栄するという将来ビジョンを明瞭に訴えてくれたことに感謝する」などと強調。その上で、「私は首相のパートナーであることを誇りに思っており、いかなる方法でも支援していく考えです。前進あるのみ!」との激励で締めくくっている。

 

(MSN産経ニュース「安倍首相、ヒラリー氏から熱い激励の手紙 女性重視政策「支援します」 - 」より 2013/10/23 10:23)

また、先日来日したアメリカのジョー・バイデン副大統領は、3日午後にソーシャルゲーム大手のディー・エヌ・エー(DeNA)を訪問し、女性社員らと女性登用の重要性について意見交換。安倍政権の女性の活用推進政策を評価した。

(バイデン副大統領は)女性初の駐日大使となったケネディ大使や日本企業の女性経営者らとの意見交換に臨み、「すばらしい能力を持つ女性を活用することが経済の成長によい影響をもたらす」と述べ、女性が働きやすい職場環境を整えることが、経済全体にプラスの影響をもたらすという考えを強調しました。

(NHKニュース「米バイデン副大統領 女性経営者と懇談 」より 2013/12/03 18:42)

とはいえ、女性が取締役などの役員になることに対して、気後れする女性もいるのではないだろうか。ニッセイ基礎研究所で准主任研究員を務める久我尚子さんは、ハフポスト日本版に掲載された記事の中でFacebookのCOO(最高執行責任者)シェリル・サンドバーグさんの本を引用し、次のように述べている。

サンドバーグ氏の発言の中に「どうやって仕事と育児を両立しているのかと聞かれるが、男性ならこんなことを聞かれない。こうした質問が女性の自信を喪失させる。女性はもっと仕事をしなくてはならない。そのためにも男性が家事を手伝う、企業がサポートするといった変化が必要。女性が活躍するために、個人が行動しなければならない。」とあった。

 

私は「男性ならこんなことを聞かれない」という部分に目からうろこが落ちた。確かに男性にそのような質問はしない。何より、自分自身、このような質問を受けた時に、女性だけに聞かれているということに何ら疑問を持たずに会話をしていたことに驚いた。私が鈍感なだけかもしれないが、日本では同じような感覚を持つ方も多いのではないだろうか。

 

(「女性の活躍には女性の意識改革も必要?~フェイスブックCOO著「LEAN IN」で考える(久我尚子) | ニッセイ基礎研究所」より 2013/08/07 15:58)

いつの間にか日本の女性のなかには、「女性が働くことは特別である」とも捉えられるような考え方が、染み付いてしまっているのではないだろうかとの指摘ともみえる。

【※】企業の女性役員の活用についてあなたはどのように考えますか。ご意見をお寄せ下さい。

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