ストリート・ハラスメント。路上での嫌がらせ。これは、世界中の女性が経験している問題だ。
動画制作会社のロブ・ブリス氏は、この問題の実態を明らかにしようと考えた。女優のショシャナ・B・ロバーツさんと非営利組織「Hollaback!」の協力を得て、公共広告風に仕上げた動画を制作したのだ。この動画は、ストリート・ハラスメントについて、いままでとは異なる視点を視聴者に提供するものだ。
撮影にあたって、ブリス氏は「GoPro」カメラをチェスト・ストラップで背中に装着し、黄色いリュックにサングラスにイヤホンという控えめないでたちで、ロバーツさんの1.5~3メートルほど前方を歩いた。
一方のロバーツさんは、それぞれの手にマイクを持ち、ジーンズに黒いクルーネックのTシャツという、ごく普通の服装で撮影に臨んだ。この服装は、派手にならないよう意図的に選ばれたという。
10時間歩くあいだに、ロバーツさんは100回を超えるストリート・ハラスメントを受けた。その内容は、「美人だね」「セクシー」「気をつけて」といった野次から、険悪で攻撃的な言葉まで、多岐にわたった。
「きみを美人だって言っている人がいるんだから、もっと感謝しなきゃだめだよ」と言った男性もいた。
「話したくないの? 俺がブサイクだから? 友だちになれない? だめ? あんた、話せないの?」としつこくつきまとう男性もいた。
複数の男性が、かなりの時間にわたってロバーツさんと並んで歩いた。5分にわたって無言で横を歩く男性もいた。
ブリス氏はハフポストUS版の取材に対して、「あれほど声をかけられて、しかも、その一部があれほど攻撃的だったことに、とても驚いた。(まるで)いくつもの集団から繰り返しストーキングを受けているかのようだった。胸がむかむかした」とコメントしている。
取材時点でロバーツさんのコメントは得られなかったが、ロバーツさんはHollabackに対して次のように語っている。「笑みを浮かべているとハラスメントを受け、浮かべていなくてもハラスメントを受ける。白人男性からも、黒人男性からも、ラテン系男性からも。ハラスメントを受けずにすむ日は1日もない」。
Hollabackは次のように述べている。「ストリート・ハラスメントを受けるのは、女性、有色人種、LGBTQ(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クィア)、若い人に偏っている。ロバーツさんがあれほどのハラスメントを受けたのはショッキングだが、有色人種やLGBTQの人々の場合、それよりも悪質なハラスメントに直面することもしばしばで、暴力にエスカレートする可能性も高いのが現実だ。この種のハラスメントは、性差別的なだけでなく、人種差別や同性愛嫌悪といった性質も持つ」
この記事はハフポストUS版に掲載されたものです。
[日本語版:梅田智世/ガリレオ]
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