アメリカ南部バージニア州シャーロッツビルで、白人至上主義団体やネオナチ支持者と反対派が激しく衝突した翌日の8月13日、ニューヨーク市に住む89歳の女性が、人種差別的な行動を非難する力強いメッセージを掲げた。
「私はかつて、ナチスから逃れた。あなたたちに今、打ち負かされたりはしない」
マリアン・ルビンさん。孫のレナ・シュナルが8月13日に撮影。(LENA SCHNALL)
この女性、マリアン・ルビンさんがメッセージを掲げる姿はSNSで多くの人たちにシェアされた。
ルビンさんはハフポストUS版の電話インタビューで、白人至上主義者たちやネオナチ支持者による脅迫を軽く見てはいけないと語った。
「昨日は私にとって大変な日でした。しかし私には共に闘う友人たちがいました。終わってからずっと考えています。なぜ、メッセージを掲げる必要があったのだろう?」
ルビンさんがサインを掲げる姿は、大勢の人にシェアされた。
ユダヤ人のルビンさんは、ナチス政権下のドイツで育った。6歳の時に家族と暮らしていたアパートの部屋をナチスの兵士に襲撃されたことを、今でも覚えている。
「何か悪いことが起きていると幼心に理解しました。彼らはずかずかと入り込んできて、私を押し倒しました。それから父を押し倒しました。父が床に倒れているのが目に入りました」
その後兵士たちはアパートの2階の部屋に向かい、その隙にルビンさんは玄関の扉を閉めて鍵をかけた。
「父はこのことを決して忘れず、その後ずっと私に感謝していました」
1930年代後半、ルビンさんは両親とともにドイツを出国し、イタリアへ逃れた。その後フランスを経て、最終的にアメリカ合衆国にたどり着いた。
しかし、家族全員が助かったわけではない。一緒にドイツを逃れた祖母は、他の家族を助けるためにドイツへ戻った。その後、彼女はチェコスロバキアにあったテレジン強制収容所で亡くなった。
白人至上主義団体を見ると、幼い頃の体験を思い出すというルビンさん。ヘイトグループが再び台頭してきた事実を「信じられない」と話す。
シャーロッツビルで衝突が起きた後、トランプ大統領は双方に責任があると発言した。その後に白人至上主義者側を非難する声明を出したが、再び15日に、責任は双方にあると発言を修正した。
衝突が起きたシャーロッツビルでは、「トランプ大統領を支持する」といった白人至上主義団体のプラカードが見られた。
ルビンさんは、ヘイトグループに厳しい態度をとらないトランプ大統領に向けてメッセージを掲げたという。冗談まじりにこう語った。
「トランプ大統領に『ファック・ユー』と言いたい気分です。私の子供たちなら、私の言っている意味がわかるでしょう。こう言いたいのです。『あなたのやっていることを、あなたは止めなければいけない』」
ハフポストUS版に掲載された記事を翻訳しました。
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