「PCが勝手にWindows 10に自動アップグレードされ、仕事に支障をきたした」として、アメリカの女性がマイクロソフト社を訴えていた裁判で、マイクロソフト社に1万ドル(約100万円)の支払いを命じた一審判決が確定した。6月28日、地元紙のシアトルタイムズなどが報じた。
旅行代理店を経営するテリー・ゴールドスタインさんは「PCが勝手にWindows10に自動アップグレードしてしまい、しかも失敗に終わった。その結果、処理速度が遅くなり、仕事に支障をきたした」としてマイクロソフト社を提訴。「Windows 10なんて聞いたこともなかった。アップデートするかどうかも聞かれなかった」と話している。
マイクロソフト社の広報担当は一審敗訴を不服として上訴したが、その後取り下げた。同社は不正を否定した上で、訴訟費用が増えることを避けるため支払いを決めたという。
■苦情相次ぎ、アップグレード通知画面の仕様変更へ
相次ぐ苦情を受け、マイクロソフト社は28日、Windows 10の自動アップグレードの通知画面の仕様を見直すと発表した。CNETはマイクロソフト関係者からの情報として、「今すぐアップグレードするか、スケジュールを設定するか、無料アップデートを拒否するか」を選べるようになると伝えた。
現在は通知画面を放置しても、画面を閉じても自動アップグレードを拒否できない仕様になっている。また、過去数週間は、通知画面の右上にある赤い「X」印をクリックすると自動的にアップデートが始まる仕様になっていた。
仕様変更後は「X」印をクリックすると通知画面が消えるようになり、この操作でアップデートが自動的に開始されることはないという。ただし、消した通知画面はその後も不定期に表示され、Windows 10への移行を続けて推奨するという。
Windows 10の自動アップグレードをめぐっては日本でも苦情や問い合わせが相次いでおり、22日には消費者庁が利用者に確認・留意を呼びかける事項を発表した。
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