プロテニス選手が試合後、大会の公式タオルをファンに投げるパフォーマンスが、思わぬ事態に発展した。
ウィンブルドン1回戦で、ジャック・ソック選手(アメリカ)が少年に向けて投げたタオルが、別の観客に横取りされた。これを知ったソック選手がSNSを通じて少年を探し当て、改めてタオルをプレゼントすることを約束した。ガーディアンなどが報じた。
ソック選手は7月4日、クリスチャン・ガリン選手(チリ)と対戦。4セット目までもつれ込む接戦を制した。ガーディアンによると、2列目で試合を観戦していた少年が、手を叩いて身体を前に乗り出し、ソック選手が使用したタオルを欲しがる身振りをした。
これに気づいたソック選手は、少年に向かってタオルを投げた。ところが、前に座っていた男性と取り合いになり、男性が少年の手から強引にタオルを奪った。
この様子を撮影した動画がTwitter上に投稿されると、「年寄りの嫌な男が、ジャック・ソック選手が少年に投げたタオルを横取りした」などと怒りの声が上がった。
後からこの出来事に気づいたソック選手は、自身のTwitterやInstagram更新。「不幸にもタオルを奪われてしまった少年を知っている人がいたら、彼の名前を僕にツイートで教えてください。改めてタオルを渡します」と協力を呼び掛けた。
すると、ソック選手のメッセージは届いたようで、代理人を通じて5日、少年と連絡が取れたことを明らかにした。声明の中で、「少年はアイルランドから観戦に訪れ、Instagramを通じてソックにメッセージをくれた。既に帰宅してしまったが、ソックが少年を試合に招待し、タオルを送る予定だ」と述べたと、BBCが報じた。
この出来事に対して、こんな人もツイートしている。世界ランク1位のアンディ・マレー選手(イギリス)の母、ジュディさんは「恥ずべき行為だ」と男性を批判した。
■全米、豪、仏も少年にタオル送る「グランドスラム制覇を」
ソック選手の対応は、思わぬ広がりを見せた。同じく4大大会の全米オープンは、大会の公式Twitterで「もし少年を見つけ出したら、全米の公式タオルも送りたい」と表明。さらに「グランドスラムを達成のために、全豪や全仏も一緒に公式タオルを送りませんか?」と呼び掛けた。
すると全豪のTwitterはすぐさま「お安い御用さ。喜んでタオルを渡すよ」と快諾。全仏も「もちろんタオルのグランドスラム制覇に協力するよ」と応じ、少年に思わぬプレゼントが舞い込むことになった。
ウィンブルドンも、公式サイトで一連の出来事を紹介し、「ソック選手、よくやった」とねぎらった。ソック選手は、セバスチャン・オフナー選手(オーストリア)との2回戦を6日に控えており、少年はこの試合に招待され、念願のタオルを受け取ることになるとみられる。
選手がタオルをファンに向けて投げるパフォーマンスはよくあるが、ファン同士で取り合いになることも想定される。今回男性に批判が集まる中、BBCやテレグラフは、タオルが少年に向けて投げられたことを男性が知っていたかははっきりしないなどと指摘している。
■関連画像集「ウィンブルドン2016 男子シングルス決勝」
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