妻の「名誉を守る」必要あった?ウィル・スミスの平手打ちをめぐり賛否両論

妻のジェイダは大人の女性であり、自分の身を守ろうと思えばそうする能力が十分にある、と主張する人たちもいる。
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アカデミー賞Vanity Fairオスカーパーティーでのスミス夫妻
ジェイダ・ピンケット・スミス(左)とウィル・スミス(右)
2022年3月27日(現地時間)米カリフォルニア州
Arturo Holmes via Getty Images

第94回アカデミー賞授賞式で、俳優のウィル・スミスがプレゼンターのクリス・ロックの頬を平手打ちするという一幕があった。

ロックがスミスの妻、ジェイダのスキンヘッドをジョークのネタにすると、スミスは腹を立てた様子で壇上にあがり、ロックの頬を平手打ちした。ロックは呆然とした様子で立ち尽くし、「ジョークだったのに」と弁明したが、スミスは「妻の名前を口にするな」と怒鳴った。 

※下記の動画は平手打ちのシーンが含まれています。

ジェイダは髪が抜けたり薄くなったりする脱毛症と闘っていることを公表している。

スミスの行為を「妻の名誉を守っただけ」と擁護する人もいるが、その表現に違和感を覚える人もいる。

殆どの人は、愛する人を守るのに暴力以外の方法があることに同意するだろう。と同時に、もう一つ疑問が浮かぶ。女性は未だに男性に「名誉」を守ってもらう必要があるのだろうか?

多くの人が、妻を「守る」ために立ち上がったスミスを称賛している。

 「ウィル・スミスを妻を守るキングだ」

「ウィル・スミスは何も悪いことなんてしてないと思う。もし誰かが私の病気をネタに無神経なジョークを言ったら、夫に私の名誉を守ってもらいたい」 

一方、妻のジェイダは大人の女性であり、自分の身を守ろうと思えばそうする能力が十分にある、と主張する人たちもいる。

 「ウィルは、自分を守る能力が十分にある妻を『守った』。クリスが叩かれた後、誰も彼が大丈夫か声をかけない。平手打ちはミームになってる...。もういろんな意味で間違ってる」

その後の授賞式でスミスは、テニス選手のヴィーナスとセリーナ・ウィリアムズ姉妹の父、リチャード・ウィリアムズを演じた映画『キング・リチャード』で主演男優賞を受賞した。

受賞スピーチでスミスは、アカデミーと他の候補者に自身の行為を謝罪し、妻を侮辱され怒った自分と映画で演じたリチャード・ウィリアムズを重ねてこう付け加えた。「私もクレイジーな父親みたいですね。でも、愛があるからこそクレイジーなことをしてしまうんです」

しかし、彼の言葉は更なる批判を巻き起こした。

 「『愛しているからやった』なんていうのは、もっとも有毒な言い訳」

この一件では、無神経なジョークを放ったロック、平手打ちをしたスミス共に悪いと感じている人が多く、両者の「有毒な男らしさ」を指摘する声が上がっている。

「スミスとロックの一件には驚いた。2人とも悪かったし、未熟さとエゴがむき出しだった。他人の病状をジョークにする人なんている?そしてそれに対して暴力で返したりする?『有害な男らしさ』の極致だね」

しかし、一つだけはっきりしていることがある。

今朝の見出しはすべてクリス・ロックとウィル・スミスについてばかりだということ。この物語の中心であるはずの女性、ジェイダ・ピンケット・スミスは、これらの騒動の中でかき消されてしまったのだ。

ハフポストUK版の記事を翻訳・編集しました。