朴槿恵氏の失職で韓国大統領選が事実上スタート 有力な候補はこの5人だ

織り込み済みで政治日程が動いている。
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EPA時事/Getty Images

韓国の朴槿恵大統領の罷免が決定した。当初12月の予定だった大統領選は前倒しされ、5月9日までに実施される。

弾劾による大統領の失職は韓国史上初だが、国民の8割以上が大統領の罷免を支持しており、決定前から織り込み済みで政治日程が動いている。

リアルメーターによると、次期大統領選に立候補が予想される主要候補者の支持率は以下の通り。保守系の有力候補の一人とみられていた潘基文・前国連事務総長が2月に不出馬を宣言してから、2位以下の順位は混沌としている。

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上位5人のうち、1位、3位、4位の3人はすべて最大野党「共に民主党」に属しており、3月27日から投票が始まる党内予備選を経て、4月8日までに1人に絞られる見通しだ。朴槿恵氏のスキャンダルで逆風の与党・保守系は、大統領権限代行を務めた黄教安首相の動向に注目が集まる。

■文在寅(ムン・ジェイン)「共に民主党」元代表

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3月上旬の時点で支持率がほぼ独走状態の弁護士出身の政治家。やはり弁護士だった故・盧武鉉元大統領の側近で、盧武鉉政権では青瓦台の民情首席秘書官や大統領秘書室長を務めた。2012年の大統領選に野党統一候補として立候補し、朴槿恵氏に大接戦の末に敗れており、今回は雪辱を期すことになる。

当選後は北朝鮮との関係改善を掲げ「アメリカより先に北朝鮮を訪れる」と述べている。前回大統領選などでは、盧武鉉政権時代の北朝鮮に融和的な姿勢がたびたび保守派の批判にさらされており、現在は高い支持率も北朝鮮情勢次第で影響を受ける可能性がある。

■黄教安(ファン・ギョアン)首相(大統領権限代行)

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逆風が止まない保守陣営の中で唯一、支持率が比較的高い人物だが、本人は出馬の意思を明言していない。公安検事出身で、朴槿恵政権で法相として入閣。所属国会議員が内乱陰謀罪で実刑判決を受けた「統合進歩党」の解散請求を主導し、民主化後初の政党強制解散となった。首相に昇格後、朴大統領の職務停止に伴って大統領の代理となり、無難な政権運営で評価が高まった。

大統領の代理としての立場から、慰安婦問題の日韓合意については支持と履行を訴えているが、有権者に不満の強い日韓合意には、他の候補者が軒並み「破棄」や「再交渉」を唱えており、実際に立候補した場合に現在の主張を維持するかは不透明だ。

■安煕正(アン・ヒジョン)忠清南道知事

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学生運動から政界入りし、2002年に盧武鉉氏の大統領選で選対幹部を務める。その後、郷里の韓国中西部の忠清南道知事に当選し2期目。進歩(革新)系の「共に民主党」に属するが、「財閥解体」や「既得権益の一掃」ではない穏健な政権運営を訴え、保守・中道層の取り込みを狙う

潘基文・前国連事務総長の不出馬を受けて支持率が急上昇し、文在寅氏に迫る勢いだったが、2月19日に国民に人気のない朴槿恵、李明博の歴代大統領の施策を「善意(でやった)と受け取るべきだ」と発言して猛反発を買い、支持率が急落している。

■李在明(イ・ジェミョン)京畿道城南市長

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弁護士、民主運動家を経てソウル郊外のベッドタウンの市長2期目。極貧の家庭で育った家庭環境から、若者支援など独自施策で注目される。朴槿恵氏のスキャンダルを糾弾する演説で人気を集め、2016年末に大統領候補として注目された。大統領選では「腐敗した既得権益の一掃」や「ベーシックインカムの導入」など急進的な改革を訴えるが、支持率は一時期より伸び悩んでいる。

「日本は適性国家」「侵略の野望を露わにし続けている」として、慰安婦問題の日韓合意や、日韓の「軍事情報包括保護協定」(GSOMIA)を最も強硬に批判する候補者の一人。

■安哲秀(アン・チョルス)「国民の党」前共同代表

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医学博士。大学教授や、ウイルス対策ソフトのベンチャー企業を立ち上げ成功させるなどの経歴が、既成政治とのしがらみと無縁な人物として注目される。2012年大統領選に立候補を表明したが、文在寅氏との野党候補一本化で投票直前に辞退した。その後、国会議員となり「統合民主党」の共同代表となるが、文氏との確執から離党し「国民の党」を結成。38議席を得て野党第2党に躍進する。

支持率は10%前後と伸び悩んでいるが、朴槿恵・前大統領を支持してきた与党・自由韓国党(旧セヌリ党)や、セヌリ党から分裂した「正しい政党」など、保守勢力との連携が取りざたされている。

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