2016年アメリカ大統領選挙で、民主党の本命とみられていたヒラリー・クリントン前国務長官(68)に、バーニー・サンダース上院議員(74)が激しい勢いで迫っている。2月1日のアイオワ州党員集会を控えた直近の調査では、長らく独走状態だったクリントン氏に3%差にまで肉薄した。
自ら「社会民主主義者」と名乗り、格差是正を訴える姿勢が、若い層の共感を集めている。
サンダースはバーモント州バーリントンの市長などを経て、下院議員、上院議員を歴任した。上院では無所属だが、民主党と統一会派を組んでおり、民主党の大統領候補選びに名乗りを上げた。選挙公約には、富裕層への増税や、大企業の租税回避地(タックスヘイブン)を経由する課税逃れの取り締まり強化、国民皆保険制度、公立大学の授業料無償化など、社会の公平性を重視した施策が並ぶ。一方でクリントン氏は、サンダース氏の経験不足や政策の実現可能性を疑問視し、自らの優位を訴える。
毎日新聞は、クリントン氏を中高年が支持する一方、大学生や高校生ら「ネット世代」がサンダース氏を熱狂的に支持しているとした。
ライブに来た高校生のマディソン・ディロンさん(18)は、「私たちはいろいろな情報に接するので、親の世代より価値観が多様でリベラルになっている。同性愛も中絶の権利も尊重する」と語り、「バーニーは平等な考えを持ち、信念を持って未来を良くしようとしている」と期待した。
(米大統領選:ネット世代、サンダース氏支持 民主アイオワ - 毎日新聞より 2016/01/31 21:23)
■選挙資金は広く薄く
こうした支持基盤の違いは、選挙資金集めの面でも際立っている。
ハフポストUS版によると、サンダース氏陣営は、寄付金の額が2015年10-12月で3360万ドル(約40億7000万円)、2016年1月だけで2000万ドルに達したと発表した。約130万人が325万件の寄付をしており、この時期の寄付者数としては新記録だという。
陣営の担当者は「低賃金で働く労働者が、史上最大の集金マシーンを打ち破ろうとしている」と声明を出した。サンダース氏に寄付する大多数は、募金額が200ドル以下で、クリントン氏に寄付した多くが法定上限額の2700ドルを払っているのとは対照的だ。クリントン氏も少額寄付者の数は増えているが、ほとんど少額寄付者に頼っているサンダース氏の選挙運動は前代未聞だ。
陣営は、2015年10-12月は寄付の約7割が少額寄付者から寄せられる見込みと述べた。さらに1月の2000万ドルは、ほぼ全額がオンラインでの寄付で、1件あたりの平均は27ドル(約3200円)という。
2015年にクリントン氏は1億1400万ドル(約169億5500万円)の寄付を集めた。これに対しサンダースは7500万ドル(約90億8300万円)で、資金集めでもクリントン氏を猛追している。
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