第一子を出産し、産休から復帰後、芸能活動を続けているタレントのSHELLYさん。彼女は、女性のカラダについて家庭でも職場でもなかなか話せない現状に疑問を感じていました。
今回、女性にもっと自分のカラダについて、オープンになって欲しいという思いから、スタートしたハフィントンポストの企画『Ladies Be Open』に賛同して、「生理」や自分自身のカラダとどう向き合ってきたのかを話してくれました。
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学校でも、家でも話せない。じゃあ誰が教えてくれるの?
——SHELLYさんは、「生理」で辛かった思い出はありますか。
18歳くらいの時は、生理が重くて病院に行っていました。その頃は、父がアメリカの軍人だったので、家族で基地内の病院に通っていました。アメリカのお医者さんに診てもらっていたので、「生理が重くて大変です」って言ったら、「じゃあ、ピルにしましょう」ってすぐに言われて、18歳から子供が欲しいと思うまで、ずっとピルを飲んでいました。編注:ピルの効果については、個人差がありますので、まずはかかりつけの医師や専門家に相談してください
——2015年の国連人口局の調査によると、日本はピル服用率が1%です。
教科書にも書いてなかったですからね。学校でも教えない、家の中でも恥ずかしくて話せない、友達にも言えない、じゃあ誰が教えてくれるのっていう。
自分の経験から、友達にも「ピルいいよ」って勧めていましたが、友達には「でも、太るんでしょ?」とか「ニキビできない?」のように、噂程度の情報を真に受けている人が多くて、びっくりしました。友達の中には、産婦人科に行ったことがない人もいました。アメリカは、若い時から子宮頸がんの検診に行くのが当たり前だったので、18歳から毎年ずっと行っていました。
定期的に歯医者さんに通うように、産婦人科に通っていました
——10代から産婦人科に通う人はあんまり聞いたことがないですね。日本では、特にないと思います。何のために産婦人科に行けばいいのかわからない人が多いことが原因の一つだと思います。生理が止まったり、不正出血したりして、異常が出た時にやっと行きだす人が多いのではないでしょうか。
私の家族はみんな必ず行くんですよ。年に1回。
歯医者さんに行くことみたいに思っていました。定期的に歯のクリーニングに行く感じです。自分の中で、「毎年このくらいの時期に行こう」って決めているので、その時期になると、インフルエンザの注射と一緒に受けていました。11月になると、「インフルエンザ行かなきゃ、あ、そうだ、あっちも行かなきゃ」って思い出します。
生理は、月に一回やってくる本当に迷惑なお客さん、でも…
——SHELLYさんがMCをされているAbema TVの番組『Wの悲喜劇~日本一過激なオンナのニュース~』(毎週金曜・深夜0時~)1回目の放送時に、「子供を産んでから生理をポジティブに考えられるようになった」って言っていましたが、あれはどういう意味だったのでしょうか。
生理って、はっきり言ってしまうと邪魔なものでしかない。月に一回来る、本当に迷惑なお客さん。「また、お前か」っていうのを毎月毎月感じていて、子作りを始めると、「お前また来たか」って。
だけど子供が欲しいから、いろんなことを勉強して生理周期のことも勉強しました。恥ずかしいのですが、この年になって月経と排卵の違いを知りました。妊娠してから改めて知識を身につけたことで、「月一の邪魔者」だったものが、「これを我慢してきたから、今の自分がいる」とポジティブに捉えられるようになりました。
自分のカラダは毎月大変な思いをして生理を経験しています。イライラしたり、体の変化、気持ちの変化、体力の変化が起きたりしても、毎月カラダ全体で乗り越えてきたのがすごいなって思うし、それを知ることで誇りに思えるようになりました。ちゃんと自分でコントロールして普通に仕事しているんだとか、日々を送っているんだ、とか。
——逆に、「生理」に関することで、改善してほしいところはどこですか。
紙ナプキンと、タンポンは進化しなさすぎです。こんなにテクノロジーが発展しているのに、何十年一緒なのって言いたいくらい何も変わっていません。
なぜなら、それは当たり前に生理を我慢しなくてはいけない空気があるからです。人類の半分が買って利用したいものなのに、生理はもうしょうがないと諦められている…。
そういうところの進化がないのも色々な業界のトップが男性であったということと、女の人がもっと声を大にして、もっと新しいものが欲しいんだ、便利なものが必要なんだということを言わなかったことの両方ですよね。
——SHELLYさんは、生理を職場でオープンに話していますか。
私は症状もそこまで重くなかったので、わざわざマネージャーに「生理なんだけど」とは言ってませんでした。ただ、生理とは違うかもしれないんですけど、妊娠した時のつわりについては話していました。
8週目くらいのタイミングで、現場マネージャーに話しました。彼に言う前は、毎日一緒にいるから隠し事しているっていうストレスにもなりますし、つわりでめちゃくちゃ体調が悪いのに、平然としなければいけない辛さがありました。妊娠していることを打ち明けた時は、辛そうな顔をしたり、オープンに振る舞えたりできるので、めちゃくちゃ楽になりました。職場でそういうことが言えたら、どれだけ楽かっていうのは身をもって感じましたね。
——初めてマネージャーさんに伝えた時は、どんな反応でしたか。
体調悪すぎて、全然覚えてない。(笑)
マネージャー:東京駅で、新幹線に乗るときに言われて、なんとなくわかっていたので、「そうですよね」って言いました。たしかに最近炭酸水いっぱい飲んでいるなって思っていました。(笑)それをきっかけにつわりのことを調べ出したりして、彼女の体調管理も含めて食べてはいけないものなどをメモしました。
全員にオープンにするのは無理かもしれないけど、「生理バディ」みたいに一人仲間を作ると、大きいです。孤独じゃないと感じるし、その人と会社ですれ違う時に「大丈夫、大丈夫。頑張れ」って言われただけで、心の中で「わかってくれてありがとう!」ってだいぶ楽になります。
私も誰にも「つわり」のことを言わずに隠していました。その間は身近な存在であるスタイリストさんにも言えないわけです。一回楽屋出るってなると「よし」って気合い入れて、トイレに入るまで「別に」って涼しい顔をして、トイレでたくさん吐いて、また出るときに「別に」って顔を続ける。みんなにオープンに言えたら楽ですけど、言えない場合は、最初は「生理バディ」を作るのが重要かもしれないですね。
——「生理バディ」は、すぐにでも実践できそうですね。
仕事上で信頼関係を築いているからこそ、お互いの仕事に対する真剣な姿勢がわかっているからこそ、仕事で携わっている人に自分のカラダについて理解してもらうことは重要です。
生理中は、イライラしているし、気づくとどうしても顔が辛そうになってしまう、でも「機嫌悪いわけじゃないんだよ、生理生理!」っていうことができれば、「あぁ、そうか」ってわかってもらえるだけで気が楽になります。
車の中ではずっと2人でいることが多いんですけど、つわりのときはしゃべるのも辛かったりするんですよね。マネージャーさんにつわりのことをオープンにしてからは、全然気を遣わずに車内で寝ることができました。「覚悟してね、私はこれからありのままの姿で過ごすから!」ってオープンに言えるようになりました。だって妊婦ですもの!
「生理になったんだけど」「あぁ、じゃあタンポン買って帰るね」って父親が答える、それが当たり前の家庭にしたい
——SHELLYさんは、パートナーとも「生理」について話しますか。
娘が生まれてからはより話しています。女性にとっては当たり前の生理現象なのに、恥ずかしくて言えない、言ってはいけない社会で娘を育てたくないなっていうのがあって…。「お父さん、生理になっちゃった」って言える関係にしていきたいです。例えば、「生理になったんだけど」って娘が電話で伝えたとして、父親が「あぁ、じゃあタンポン買って帰るね」と自然に答える、それが当たり前の家庭にしたいと思っています。
——それでも、まだまだ恥ずかしいと思う人がいると思います。なかなかSHELLYさんのように、家庭内でもオープンに話せる人は少ないのでは…。
本当は、「恥ずかしい」ということがおかしいじゃないですか。ちょっとトイレに行きたいんだっていうのと同じ生理現象のはずなのに、当たり前に毎月訪れる「お客さん」のことをなんで恥なくてはいけないのでしょうか。それは男性も女性もお互いにです。女性もそれを隠そうとすることで、男性もそれは触れてはいけないのかって感じるでしょう。
——パートナーの方とこのようなタブー視されているトピックについて話すときに、印象に残っているエピソードはありますか。
つわりはなかなか理解されませんでした。帰ってきて、私が寝てたりすると、「何もやってないじゃん」って言ってきて、その瞬間刺したいって思いますね。(笑)「今、なんて言った?誰の子供を産んでいると思ってるの?」って言いたくなる。
やっぱり男性の理解不足はあるみたいです。ただ、お互いにきちんとコミュニケーションをすることで、相手もわかろうとしてくれるのが伝わります。生理痛についても出産してからの方が優しくなりました。辛そうにしていると、「お腹痛いの?」って声かけてくれて、「生理痛?」って言ってくれるようになりました。妊活を経験して2人がオープンになったことで、生理についてもお互いに言えるようになったし、向こうもきついって理解してくれるようになりました。
——相手は痛みや辛さがわからないからきっと「気をつかえない」発言をしてしまうんですね。
そうですね。だからってパートナーにオープンに言って、「気持ち悪い」って言われたら、こっちも傷つきます。仕事場とかでも、「私は生理なんです!」って言って引かれるのも嫌ですよね。
それでも信頼出来る誰かに言って、すごく理解してくれるかもしれなくて、そうしたことで人って生きやすくなるのかもしれません。そのためには、一回会話する、オープンなことにするっていうのは大事なことだって思います。
オープンなSHELLYさんの原点となった家族の話は、こちら↓
ハフィントンポストでは、「女性のカラダについてもっとオープンに話せる社会になって欲しい」という思いから、『Ladies Be Open』を立ち上げました。
女性のカラダはデリケートで、一人ひとりがみんな違う。だからこそ、その声を形にしたい。そして、みんなが話しやすい空気や会話できる場所を創っていきたいと思っています。
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