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誰からも愛された俳優のロビン・ウィリアムズが2014年8月、自ら命を絶ってから2年が経った。彼が残した大きな遺産の一つは、心の病や神経疾患がどれだけ深刻な影響を与えるかについての議論が、現在も続いているということだ。
幻覚や情緒の不安定さなどの症状を引き起こす、レビー小体型認知症を患っていたロビン・ウィリアムズ。どんな要因が彼の死をもたらしたのかは知る由もない。しかし。ウィリアムズのうつ病の経験は、死を悼むファンやエンターテインメント界に大きな反響を与えた。
うつ病の症状は人によって様々だが、この病をより理解するための大切なこととがいくつか存在する。下にいくつか挙げるのは、うつ病に関して全ての人に知っておいてほしいことだ。
ロビン・ウィリアムズの死をきっかけに、現在もうつ病に関する活発な議論が行われている。
1.うつ病には遺伝的な要因がある。
最近の研究で、うつ病には生物学的な要因があることが示されている。新しい研究では、人間のDNAの特定の部分がうつ病に関連していることが明らかになった。遺伝子解析サービスを行う企業である23andMeのデータを用いて、科学者たちはうつ病には約15の遺伝子が関わっていることを突き止めた。これらの遺伝子は、脳神経の分化に関わっている遺伝子と同じだ。
2.うつ病は身体的な疾患でもある。
うつ病は心の病であると同時に、身体的にも非常に影響を及ぼす病気だ。うつ病にかかっている人は食欲の低下や、頭痛、また睡眠障害などを経験することが多い。
3.今も新しい効果的な治療法が発見されている。
うつ病には、適切なメンタルヘルスケアは非常に効果があるとされている。最近の研究によると、患者がうつ状態を引き起こす状況への対処の仕方と、どうしたらそのことを考えなくてよいかを学ぶ新しいトークセラピーの「行動活性化療法」が、うつ病の治療に非常に有効だという。またいくつかの研究は、オンラインでのトークセラピーも治療に有効なことを示している。
4.うつ病は稀な疾患ではない。
世界中では3億5000万人がうつ病にかかっている。うつ病は世界中で、人から生活能力を奪ってしまう最も多い原因の一つだ。
5.うつ病は仕事にも深刻な影響を与える。
うつ病の最も顕著な症状のひとつは意欲の消退で、このことは仕事をする人の生活に影響を与える可能性がある。ミシガン大学のうつ病センターによると、(アメリカでは)従業員の心の病が原因による生産性の低下による損失は、毎年440億ドル(約4.45兆円)ほどにもなるという。
6.うつ病は誰もがかかる可能性がある。
うつ病や、その他の心の病は、年齢や社会的地位、人種に関わらず誰にも起こり得る。女優ケリー・ワシントン、歌手で女優のデミ・ロヴァートのようなセレブや、アメリカンフットボール選手のブランドン・マーシャルやテニスのアンドレ・アガシといったスポーツ選手も、メディアの前で自身のうつ病の経験を語ってきた。
7.うつ病には大きな偏見がある。
まだうつ病にはネガティブな固定観念が存在する。メンタルヘルスに関する言葉は人を侮辱するネタとして使われたり、また日常会話の中で何気なく使われたりすることが多い。また多くの人は、心の病は人に暴力を振るったりするような病気だと誤解している。これらのことは心の病に対して誤った認識を与えてしまうことになりかねない。
8.多くの人はうつ病にかかっていることを周りに言えない。
うつ病にかかっている人は、周囲の人に判断される恐怖や恥ずかしさから、うつ病にかかっていることを周りに言えないままになってしまう。研究によると、うつ病に対する偏見がうつ病患者を治療から遠ざけてしまうこともあるようだ。このことは特に男性において顕著で、2015年の研究によると、自殺を考えるレベルになっても男性はなかなかうつ病であることを周りに言えないという。
9.最悪のケースでは、うつ病は自殺にもつながりかねない。
心の病は深刻な結果につながることもあるため、メンタルヘルスケアと思いやりのある態度が非常に重要だ。精神障害者を持つ親の草の根運動から始まったアメリカ最大の支援団体「NAMI」によると、心の病は自殺の約90%に関わりがあるという。
10.うつ病がその人を定義するわけではない。
うつ病はその人の欠点でも、性格的な問題でもない。がんや糖尿病がその人の人格を決めないのと一緒で、うつ病がその人を定義するわけではないのだ。
うつ病は適切な治療を受けていればコントロールできる疾患だ。うつ病にかかっていても、幸福で健康的、そして充実した人生を送ることは十分可能なのだ。
ハフポストUS版に掲載されたものを翻訳・編集しました。