死を覚悟した。ザトウクジラに30秒間のみこまれた漁師が振り返る

「私はそのとき『ここから出る方法はない。終わった、私は死んだ』と思いました。12歳と15歳の息子のことだけ気がかりでした」
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ザトウクジラのイメージ写真
MIGUEL MEDINA via Getty Images

アメリカの漁師が、ザトウクジラの口の中で生き延びた。

そんな恐怖の体験をしたのは、ロブスター漁をしているマイケル・パッカードさんだ。6月11日午前8時ごろ、自分の仕掛けをチェックするためにマサチューセッツ州プロビンスタウン沖でボートからダイブした。しかし、水深約14メートルで、突然 「大きな衝撃を感じ、すべてが暗くなった」 と地元テレビ局のWBZに語った。

パッカードさんは最初、自分がサメに襲われたのではないかと恐れていた。鋭い歯がないことに気付き、自分を飲み込もうとしているのがクジラだとわかった。

■「ここから出る方法はない。終わった、私は死んだ」そう思ったが……。

「突然、大きな衝撃を感じた後、完全に真っ暗になりました」と、地元紙「ケープコッドタイムズ」にパッカードさんは振り返った。「私は、こう思いました。『ここから出る方法はない。終わった、私は死んだ』。12歳と15歳の息子のことだけ気がかりでした」

パッカードさんは、ダイビング用のレギュレータで呼吸しながら、何とか外に出ようとしたという。クジラはそれが嫌だったようで、頭を振った。そして30秒か40秒後にクジラは水面に浮上し、パッカードさんを口から追い出したという。仕事仲間のジョサイア・メイヨさんもクジラの口から、パッカードさんが水とともに吐き出されるのを見たと言っている。

パッカードさんは地元の病院に運ばれたが、負傷は彼が予想していたよりは軽い物だったという。

■「クジラが彼を助けようとしていたことは、完全にありえると思います」

ニューイングランド水族館の海洋哺乳類専門家ピーター・コーカロンさんはボストン・ヘラルド紙に対し、パッカードさんが遭遇したようなザトウクジラは「人間を食べない」と語った。

クジラは魚を捕まえようとしているだけで、パッカードさんを朝食にするつもりはなかったのではないかとコーカロンさんは考えている。

彼はまた、ザトウクジラは人間を助けようとする傾向があり、だからこそパッカードさんを飲み込んだクジラも、水面に浮上してから吐き出したのではないかとして、次のように言った。

「クジラが彼を助けようとしていたことは、完全にありえると思います」

 

■クジラに呑み込まれるも生還したパッカードさんの画像

※今回のようなケースはごく稀にあり、2019年2月にも南アフリカのダイバーが、クジラに呑み込まれた後に生還したことがあった。

ハフポストUS版の記事から翻訳・編集しました。