あなたは、現在の働き方、あるいは働く場所に満足しているだろうか?
働き方や働く場所は、企業の成長や、個人のワークライフバランスに影響する。
コロナ禍で働き方が変化する中、企業成長やワークライフバランスを向上させるためには何が必要なのか? WeWork の最新調査*からひもといていく。
調査対象者の約半数がハイブリッドワークを導入。柔軟な働き方が浸透
まず、働き方としては、オフィス勤務とテレワークを組み合わせた「ハイブリッドワーク」が一般化してきている。調査では、「オフィス勤務とテレワーク勤務の両方が認められている人」は、55.6%となり、昨年の48.0%より増加したことがわかった。
経営・人事・総務を対象とした調査では、「ハイブリッドワークは従業員にとって魅力的だと思う」と回答する人が74.9%となり、こちらも昨年より増加している。一方、「思わない(12.2%)」と回答する人もそれ以上に増えた。昨年「わからない」と回答したが、1年を経て、ハイブリッドワークのデメリットないしオフィス勤務のメリットを認識した層もいると考えられる。
そのため、安易にハイブリッドワークを肯定することはできないが、それでもなお、4人に3人がハイブリッドワークを魅力的だと捉えている状況は特筆すべき点だ。新型コロナウイルス感染症が広がった当初は、在宅勤務を余儀なくされていた。それがテレワークを認めるきっかけとなり、現在はハイブリッドワークなどの柔軟な働き方が浸透し始めていると言えるだろう。
オフィスでのコミュニケーションも重要。ハイブリッドワークが支持されるワケ
ハイブリッドワークのメリットとしては、「ストレスの少ない環境を選ぶことができる(52.9%)」、「自分のスケジュールを自分でコントロールできる(45.5%)」、「通勤時間の短縮・通勤費の節約になる(41.6%)」と回答する人が多かった。
スケジュールをコントロールできることや、通勤時間を短縮できることで、家族との時間の増加や、ワークライフバランスの向上にも繋がっていると考えられる。
さらには、近年は政府が副業を推進するなど、働く形がさらに多様化している。ハイブリッドワークはこれらの動きとも呼応しているのだろう。自分でスケジュールをコントロールしながら、本業も副業もこなす。それは単に収入を増やすだけでなく、個人のスキルアップや、社外のコラボレーションにつながり、結果的に企業の成長に貢献することが期待されている。
ハイブリッドワークが加速するのは時代のニーズを考えれば自然なことなのだ。
しかし、これらのメリットだけならば、フルリモートという選択肢がある。それでもハイブリッドワークが支持されているのは、オフィス勤務のメリットがあるからだ。
オフィスで仕事する魅力については、「集中できる(57.3%)」と回答する人が昨年に引き続き最も多かった。次いで「社内の人との繋がり・偶発的な出会い(34.5%)」*が多く、昨年よりは0.2%ポイントを下げたものの「自分のチームとのコラボレーション(28.4%)」が続く。
一方、「ITサポートが受けられる」「接客スペースがある」と回答する人は比較的少ない結果となり、昨年と比較してもポイントを約1%ずつ下げた。テレワークの体制が整備され、オフィスではなくとも対応できるようになったのだろう。現在は、そのようなハード面よりも、「コミュニケーション」や「コラボレーション」といったソフト面をオフィスの魅力として認識する人が増えている。
社内コミュニケーションの先へ。オープンイノベーションを求める声も
以上のように、「コミュニケーション」や「コラボレーション」が生まれる場として、オフィスが認識されていることがわかった。調査では主に社内でのコミュニケーションについての声が多かったが、近年は社外とのコミュニケーションないしコラボレーションも求められ始めている。
理由の一つは、企業の成長の鍵となる「オープンイノベーション」の推進だろう。近年、グローバル化や市場ニーズの多様化などを背景として、さらに革新的な製品やサービスの開発が求められている。複雑化した社会の中で、もはや一社での開発は難しく、積極的に他の企業や団体とコラボレーションすることが重要となっているのだ。行政も、経産省を中心に地域企業・スタートアップと意欲的な大手企業をマッチングさせるなど、オープンイノベーションを推進している。
実際に、企業成長のための「働く上での価値観」について、「オープンイノベーション(全体45.1%)」や「コラボレーション(全体51.4%)」が経営者らから重視されていることが調査からも見えてきた。
オープンイノベーションやコラボレーションを重視しているのは一般従業員も同様だ。
働く上での価値観として、「ウェルビーイング(全体69.9%)」のポイントが最も高いものの、約半数が「オープンイノベーション(全体46.7%)」や「コラボレーション(全体57.3%)を重視していると回答した。
では、オープンイノベーションやコラボレーションはどのようにして生み出すことができるのか?
実際にオープンイノベーションを推進している株式会社JR東日本情報システム(以下、JEIS)に話を聞いた。同社は2022年より、スタートアップ企業とコラボレーションしたプロジェクトを開始。実現の背景には、オープンイノベーションを期待して利用を始めたオフィス「 WeWork 」の存在があったという。
「AIアシスタント機能をもつロボット『temi』を研究するにあたり、当社が入居している WeWork を実証実験の場に使えないかと考えました。 WeWork に相談したところ、フィールドとして利用できることになった他、全国の WeWork メンバーに向けて、協業の募集をかけてもらいました。現在までに、ソフトウェア開発をおこなうスタートアップ2社とコラボレーションが生まれています」
WeWork には各拠点に「コミュニティチーム」がいる。メンバーを対象としたイベントの開催や、メンバー内のビジネスマッチングなど、オフィス内のコミュニティ活性化を目指すチームだ。JEISもまずはコミュニティチームに相談したという。
「今回のプロジェクトには、多様な価値観と意見が必要でしたが、コミュニティチームや、 WeWork メンバー同士でのコラボレーションにより、意義の高いプロジェクトに発展しました」
JEISの事例から、オープンイノベーションの実現には、多様性のあるコミュニティ、そしてビジネスマッチングを推進する仕組みが鍵になりそうだとわかった。
オープンイノベーションを目指すのは民間企業だけではない。静岡市も、企業とのコラボレーションやオープンイノベーションを求めて WeWork メンバーとなった。
「企業との接点を持つためには、基本的には飛び込み営業のような形になってしまうことが多いですが、 WeWork には、多種多様な入居メンバーとの交流が実現しやすい環境があります」
WeWork は、個人単位から本社やサテライトオフィス、プロジェクト単位など、フレキシブルな形態で利用することができる。だからこそ、大企業からベンチャー、そして自治体まで多様なメンバーが入居しているのだ。
「積極的にイベントを開催し、メンバー企業とのコミュニケーションを図っていますが、コミュニティチームのサポートも手厚く、マッチングが実現しそうな企業を紹介いただくこともあります」
実際に、静岡市への企業誘致や、静岡市のプロモーションに関する取り組みが多数生まれているという。
ハイブリッドワークの時代、柔軟な働き方を認めながら、社外とのコミュニケーションの場、オープンイノベーションが生まれる場を確保することが重要になってきている。それは、多様性あるコミュニティで、企業や団体がマッチングされる仕組みがある場とも言えるかもしれない。
それらが実現されることで、私たちのワークライフバランスが向上するとともに、企業の成長にもつながっていくに違いない。
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■ WeWork Japan 合同会社
2010年に米・ニューヨークで創業した WeWork は、全世界38か国150都市以上777拠点*でフレキシブルオフィスを展開。 WeWork Japan は、2018年2月に国内初となる拠点を東京で開設。
創造性や生産性が高まる空間デザインを用いたワークスペースにおいて、柔軟なオフィスソリューションを提供する。また、スタートアップから大企業、自治体やNPO団体など、多種多様なメンバーが入居する WeWork では、業界業種や企業の壁を越えたコミュニティが形成され、ビジネスにおけるコラボレーションを多く創出してきた。
「変化は、ここで創造する。」 WeWork Japan は、今後も新時代の多様な働き方を支援し、イノベーションやコラボレーションを促進する新しいオフィスの価値を提案する。
■ WeWork Japanの最新調査
①【コロナ禍長期化における働き方意識調査2022】ハイブリットワーク普及率が昨年より上昇の5割強となり、従業員・経営者層ともに、よりフレキシブルなワークスタイルの実現に向かう傾向
②【コロナ禍長期化における働き方意識調査2022】スタートアップ従業員の6割以上がハイブリッドワークを実現全体平均の5割強を上回る結果に
③【コロナ禍長期化における働き方意識調査2022】WeWork メンバー企業は、企業成長やオフィスの役割において「オープンイノベーション」や「コラボレーション」を重視
参考:経済産業省:「オープンイノベーションの推進」