福田淳一前財務事務次官によるテレビ朝日記者へのセクハラ報道をきっかけに、新聞やテレビの女性記者十数人とともに「メディアにおけるセクハラを考える会」を結成しました。
長く放置されてきたセクハラの実態を集めて検証し、社会に伝えていくことで、セクハラをなくしていこうというのが、会の目的です。
4月下旬、これまでに受けたセクハラを共有してほしいとFacebookで呼びかけたところ、10日間で新聞やテレビの女性記者ら35人から、150の事例が寄せられました。5月21日に外国特派員協会で会見し、分析結果を公表すると、大きな反響がありました。
記者会見では150の事例のほんの一部だけを公表しましたが、それで終わりにせず、ほかの事例もハフポストのブログ連載で伝えることにしました。
初回は、全国紙とテレビ局の女性記者3人のセクハラ被害を紹介します。
●県警幹部に抱きつかれた
入社したての22歳で地方の警察担当をしていた時、県警のある部署の部長からタクシー車内で抱きつかれたことがある。
「やめてください」と言っても酔っぱらっているからか耳を貸してくれなかった。
翌日、その部長から男性キャップのもとに「昨日はすまなかった」という電話が入った。しかし、その男性キャップも「(部長の)ヤサを割る(*自宅住所を把握するの意)ためには仕方がないだろう」といい、結局泣き寝入りした。
●内閣府の官僚に背後から体をつけられた
官公庁のコンピューターセキュリティーについて内閣府に取材した。国会中で時間が取れないからと、午後8時に霞が関に呼び出され、会議室で担当官僚と2人きりになりました。
「俺が原稿を書いてやるよ」と椅子に座ってメモを取る私の後ろに回って背後から身体をぴったりつけてきた。
手の上に手を重ねて、「あー、うまく勃たねえな、フニャチンだな」と耳元で言われた。「原稿は自分で書くので、データをください」とかなり強く言ったら「興ざめだよ」と言われた。
●政治家秘書「ホテルとってるんだけど」
衆院選の取材をして、投開票の後日、候補者秘書から「打ち上げするよ」と言われて行ったら二人きりでした。
この時「ホテル取ってるんだけど」と言われましたが、「冗談こけ」と思ってワリカンにしてタクシーで帰りました。この秘書はその後、地方議会議員になっています。
この女性記者だけでなく、被害を受けた場所は、宴席や車中など、ほぼすべてが仕事中の出来事だったということが、150事例の調査から見えてきました。
ハラッサー(加害側)には上司や同僚に加え、性犯罪を取り締まるはずの警察関係者も多く見受けられました。これでは被害を受けても、女性が訴える先がありません。
メディアは社会の公器であり、社会の鏡です。
海外では大きなうねりが起きた#MeToo が、日本のメディアでしっかり扱われず、セクハラをはじめさまざまな性暴力が過小評価されてきたのは、それを伝えるメディア内のセクハラや性差別が放置されてきたことが大きな要因だと考えています。
メディアで働く女性たちからの声がきっかけでしたが、会では職種を問わず、さらに多くの人から声を寄せてほしいと考えています。まずは、前は言えなかったけれど、いまだから言える「声」をあげていきませんか?
被害の経験やご意見は、Twitterのハッシュタグ #いまだから言えるMeToo かメール
(nomoresh2018@gmail.com)までお寄せください。このブログ連載でご紹介させていただきます。
どこで働いていようが、次世代に同じ思いをさせないためにつながって、私たちの世代でセクハラを終わらせないといけないと考えています。
お寄せいただいた経験談はハフポストのブログで紹介させていただきます。多くの声が集まって公表され続ければ、さらにセクハラ被害は減っていくと思います。
顔も知らない関係だけど励ましあいましょう!