[ロンドン 26日 ロイター] 日銀の大胆な金融緩和を背景とする円安で、ドイツの輸出企業は日本企業とあらたな競争に直面しており、投資家にとりドイツの勝ち組企業を選定する作業を困難にしている。
円は対ユーロで昨年半ば以降、30%下落。とりわけ4月4日の日銀の異次元緩和発表後に下げが加速し、日本企業の輸出競争力が高まる一方、ドイツ企業は大きな転換期を迎えた。
独連邦統計局によると、輸出が独国内総生産(GDP)に占める割合は、1992年の20.8%から2012年には41.5%に上昇しており、競争力がそがれれば大きな打撃が及ぶ。
海外投資家にとって、リスクは独クセトラDAX指数
日本企業は、こうしたドイツ企業と自動車や工業機械、電子機器などで競合しており、今後は成長著しい新興国が主戦場になるとみられている。
アルテミスのグローバル株式ファンドマネジャー、サイモン・エデルステン氏は「日本企業のドイツでの売り上げ、もしくはドイツ企業の日本での売り上げへの影響が問題なのではない。新興国市場を誰が勝ち取るのかが問題」と指摘。「新興国のシェア獲得では、こうした為替相場の動きが大きく左右する」と述べた。
ただそれ以外では、日独にとって北米が大きな市場であることは共通だが、DAX採用企業は売上高の3分の1を欧州市場が占める(アーンスト・アンド・ヤング調べ)のに対し、日本は東アジアが主要な輸出先となっており、円安は主に韓国企業への影響の方が大きい。
また通常は為替相場の動きが実際の輸出データに反映されるまでに半年から9カ月ほどかかるとされ、キャピタル・エコノミクスの欧州担当エコノミスト、ベン・メイ氏は「円安による影響が出てくるのは夏以降」とみる。
投資家にとっては、見極めるのにまだ時間的余裕がありそうだ。