「女性差別」と批判の広告、ワコールが謝罪・撤回「提案したのは広告代理店」

ワコールの広報・宣伝部が、ハフポスト日本版の質問に答えた。
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衣料品メーカー「ワコール」が、自社の男性下着を宣伝するスポンサード記事と、記事を紹介したツイートが「女性差別的だ」と批判を受けていた問題。ワコール広報・宣伝部はハフポスト日本版の取材に対し、批判を受けたスポンサード記事は「広告代理店が提案したもので、その企画をワコールが採用しました」と明かした。広告代理店は、インターネット上の広告を取り扱う「トランスコスモス」だった。

ワコール広報・宣伝部は「読者の不快感に対する配慮を欠いたものでした」と、記事内容とツイートについて不適切な表現があったと認めた上で、ツイートは5月18日に削除。謝罪文を投稿した。

■批判されたツイートとスポンサード記事とは?

ワコールは5月11日に公式Twitterアカウントの一つ「ワコールブランド」で、同社の男性下着ブランド「WACOAL MEN」のスポンサード記事を紹介。その際に、「東北美人に後ろから抱かれているような感じのシャツ」などの表現を用いた。

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批判を受けたワコールブランドの投稿(現在は削除されている)
Twitter@wacoal_now

この表現は、ツイートで紹介されていた講談社のWEBマガジン「FORZA STYLE」が4月27日に掲載したスポンサード記事で、FORZA STYLE編集長の干場義雅氏が用いたものだった。干場氏は記事内で、ワコールのMD(マーチャンダイザー)と対談している。

対談では、吸汗速乾性や接触冷感のある素材を使用した商品を紹介。干場氏は、手触りの良い生地を「すごいモチ肌の女性に抱かれているような感じですね」と表現したり、女性の下着について「あ、この人レースのブラジャー着てるんだなってわかっちゃう。良いとこでもあるんですけど、楽しみにしときたいじゃないですか」と語っていた。

すでに記事は削除されているが、Twitterなどでは「男性の購買意欲を高めるための『もの』として『女性』を使おう、使っても良いという発想、女性差別以外の何物でもありません」などと批判が集まっていた。

■ワコール「皆さまから頂いたご意見、真摯に受け止める」

インターネット上で寄せられた批判について、ワコール広報・宣伝部は以下のように回答した。

《今回のスポンサード記事の表現は、読者の不快感に対する配慮を欠いたものでした。不適切な表現となりましたこと、重く受け止めており、誠に申し訳なく思っております。この件の反省に立ち、企画そのものから広告表現、情報発信におけるまで、このようなことが再び起きないよう徹底いたします》

なぜ、下着を女性の肌に例えるような表現をしたのか。これについては「こちらは、スポンサード記事のコメントを引用したものです」とするに留めた。

問題となったツイートやスポンサード記事が批判が生じる可能性について、社内で事前に十分に検討したのだろうか。

同社広報・宣伝部は「社内及び講談社様とも内容を確認しながら進めましたが、読者の不快感に対する配慮に欠けていたと認識しています。講談社様とは今回の事案を情報共有しております」と答えた。

その上で、「ツイートの広告配信は中止し、スポンサード記事は削除しています」「今回、皆さまから頂いたご意見を真摯に受け止め、今後の宣伝活動に活かして参ります」「これまで以上に留意して、今後 繰り返さないよう努めてまいります」とした。

広告代理店「トランスコスモス」の広報担当者はハフポスト日本版に対し、問題となったスポンサード記事の企画を提案したことは事実だと認めたが、「守秘義務があり、取材にお答えすることはできない」とした。ハフポスト日本版では、記事を掲載した講談社にも取材を申し込んでいる。