統一地方選挙に向けて公職選挙法の再改正を

大阪市長選挙が終わった。投票率は23.59%と記録的に低く、橋下徹票は半減した。前回の選挙では投票総数の0.7%にすぎなかった無効票が、今回は14%(67551票)に上った。これらを受けて、多くのメディアが「無意味な選挙」だったとの記事を掲載している。
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大阪市長選挙が終わった。投票率は23.59%と記録的に低く、橋下徹票は半減した。前回の選挙では投票総数の0.7%にすぎなかった無効票が、今回は14%(67551票)に上った。これらを受けて、多くのメディアが「無意味な選挙」だったとの記事を掲載している。マック赤坂氏(スマイル党)は「投票率は50%未満の選挙は全て無効とし再選挙を行う」という公約を掲げているが、「その通り」と言いたい事態である。

僕の興味はネット選挙運動なのだが、これも盛り上がった気配は感じられなかった。かねてより僕は、付け焼刃のネット選挙運動は無意味で日常の政治活動にネットを活用すべき、と主張してきたが、今回もまったく同じ感想を持った。大阪都構想への賛否を各政党がネットを通じて詳しく訴え、その延長線で市長選挙を実施するのでなければ、ネット選挙運動が盛り上がるはずはない。(今回は候補者を立てなかった自由民主党大阪市会議員団のサイトを見たが、都構想についてはビラがあるだけだった。)

次に控える大きな選挙は2015年春に実施される統一地方選挙である。残りは一年しかない。各政党には、今からネット政治活動を強化することを求めたい。地方選挙、中でも市議会・県議会議員選挙では、当選に必要な票数は少ない。東京都調布市の市議会議員選挙では1716票、神奈川県平塚市では2092票であった。少ない票数での当選可能なのだから、東京都知事選挙における家入一真候補のように、有権者とともに政策を立案することも含め、ネットを通じて支持層を拡大していけば無名の候補にも当選の可能性がある。「インターネッ党」の成否はわからないが、数十名の単位で無名候補が当選すれば、日本の政治に大きな影響を与えることができるだろう。

その前に公職選挙法の再改正も進めていく必要がある。解禁されたネット選挙運動には不合理な制限が付いているからだ。有権者のメール利用の制限はその一つである。今は、有権者がメールで支持を訴えるのは禁止されており、一方で、ツイッターやフェイスブック、LINEなどを通じての呼び掛けには制限がない。同様に、ツイッターなどで投票日当日に投票を呼び掛けるのも禁止である。法律で、選挙期間は投票日前日までと規定されているからだ。他にもサイトを印刷して配布するのは禁止など、市民の実感からはかい離した規定が多数存在する。秋に臨時国会が開催されるとしても、統一地方選挙に間に合うためには、今年一杯がギリギリの期限である。国会で議論が進むよう求めたい。

僕ら、情報通信政策フォーラム電子行政研究会ではセミナー「東京都知事選挙におけるインターネット選挙運動の検証」を3月26日に開催する。インターネットと選挙運動の研究に取り組んでいる西田亮介氏、家入一真陣営の選挙プランナー松田馨氏、ネットを使いこなす音喜多駿都議会議員をお招きする。ぜひご参加ください。